特集|森の神に会う旅~岐阜・東濃地域の「宿」「自然」「文化」
特集|岐阜県の“ウェルネス・ツーリズム”
東濃地域の「自然」「宿」「文化」
森の神に会う旅
世界遺産「白川郷」、三名泉の一つといわれる「下呂温泉」、1300年の歴史を有する「長良川の鵜飼」など、数多くの観光資源を有する岐阜県。その岐阜県が、今年3月社団法人モア・トゥリーズと包括協定を締結し共同で取り組むのが、岐阜県ならではの自然やエコロジーにこだわったあたらしい旅のスタイル「ぎふウェルネス・ツーリズム」である。OPENERSでは、人にも環境にもやさしいこの「ぎふウェルネス・ツーリズム」の魅力を全3回でレポート。今回の旅は、包括協定調印式の際に坂本龍一氏が訪れた足跡をたどるものとなる。県の南東部「東濃エリア」。ヒノキの神宮備林、古民家を移築した宿、地歌舞伎と呼ばれる伝統芸能と、知られざる東濃文化の一端をご覧いただこう。
Photographs by JAMANDFIXText by KASE Tomoshige(OPENERS)
14世紀より伊勢神宮遷宮のための木材を育み、「建築用材の最高峰」といわれている東濃ヒノキの原産地が、岐阜県中津川市だ。この地の林業は連綿と受け継がれてきた伝統にのっとったものであり、その流通も建築用が主である。しかし時代に対応したあらたな取り組みもはじまっている。すなわち木工インテリアであり、ヒノキから生まれた商品の数々である。
山野草やキノコといった山の恵みはもちろんだが、岐阜において森と同列、いやそれ以上に豊かなのが「川」であろう。揖斐川、木曽川、そして鵜飼いで全国にその名を知られる長良川。岐阜の川がもたらす恵みの最たるものはアユであり、5月の声をきけば黙っていても宿ではアユが供されるはずだ。そして水の良いところは酒が良い――すなわち、岐阜の宿の食事は自ずと充実するのである。
素人が演じる地芝居を岐阜では「地歌舞伎」と呼び、全国最多となる29の保存会が活動している。とくにここ東濃エリアには約半分の15団体があり、芝居小屋も新旧合わせて7つが現存。いまも定期的に上演され、現役の劇場として役目を果たしている。地歌舞伎をやるには時間も金もかかる。それでも地元の人びとは協力しあい、支え合いながら活動をつづけているのだ。
岐阜県観光課
Tel. 058-272-8393
http://www.kankou-gifu.jp/(岐阜県観光連盟公式サイト)