築120年を超える町家がショップに

パスザバトンは“すごく愛用していたけれどいまは使わない、でも捨てるのは惜しい”という品物に、持ち主の顔写真とプロフィール、品物にまつわるストーリーを添えて販売するリサイクルショップ。個人のセンスで見いだされたモノや、使っていた人物の“ひととなり”が伝わるアイテムを扱うあたらしいスタイルで、丸の内ブリックスクエアと表参道ヒルズに店舗を構える。

3店舗目となるパスザバトン京都祇園店は、文化財保護法に基づき国から選定を受けた重要伝統的建造物群保存地区で、優れた歴史的風致を形成している祇園新橋伝統的建造物群保存地区にオープン。築120年を超える建物（町家）のインテリアデザインは、丸の内店、表参道店と同様、ワンダーウォールの片山正通氏が手がける。

“すでにあるものを大切にし、あらたな価値を創造する”というパスザバトンのコンセプトのもと伝統的建造物をリデザインした同店は、リサイクル品を預かる出品専用カウンター（パスカウンター）とパスザバトン初の飲食スペース「お茶と酒 たすき」が併設されているのも見逃せない。

細尾×PASS THE BATON

中川木工芸　比良工房×PASS THE BATON

京都ならではのオリジナル商品に注目

注目は伝統工芸を継承する地元・京都を代表する企業とコラボレーションしたオリジナル商品の数々。

1688年に京都・西陣で創業した「細尾」とは、プロダクト生産過程で出た端材を生かしたジャガードのコサージュや、「carnet」とのコラボレーションでは1点もののバッグを制作。京金網の歴史を代表する「金網つじ」とは、豆腐すくいや茶こしを編む際に少しずつ残ってしまう端材を使い、世界中を旅してきたアンティーク缶バッジを菊や亀甲の文様で編みつつんだ、世界でひとつのジュエリーを生みだした。

明治8年創業の日本で一番長い歴史をもつ手作り茶筒の老舗・京都「開化堂」とは、使用には差し支えないもののちょっとしたキズやへこみ、高さちがいなどのある茶筒に手をくわえ、時の経過を表現。1898年創業の老舗創作竹芸品メーカー「公長齋小菅」とは、竹籠の制作過程で、品質としては問題がないもののはじかれてしまうシミのある竹で箸を制作。京焼の絵付け前のB品箸置きとセットで販売する。

また「中川木工芸　比良工房」とは、木質としては最高でありながら、天然木であるがゆえの木目の粗さや節目などによって、木桶の制作からはねられてしまった木材のもつ自然な曲線を生かして作られたカトラリーのシリーズを制作した。

飲食スペース「お茶と酒 たすき」で一服

パスザバトン京都祇園店内に併設されている飲食スペース「お茶と酒 たすき」は、日本人ならではのおもてなしの心と美意識にフォーカス。喫茶とバーで、あたらしいお茶のあり方を提案する。

一年中楽しめる「富士山の天然氷」を使ったかき氷や、ほかでは味わうことのできないお茶をベースにしたオリジナルのカクテルなどを揃え、提供する食器やグラスはほとんどのものがその場で購入可能だ。

伝統的な建築様式という美しい制約のなかで生まれたインテリアデザインと、京都が誇る伝統工芸とのコラボレーション、そして白川の美しいせせらぎの音に癒されながら、お茶やカクテルで一服できる飲食スペース。早くも京都・祇園の新名所になりそうだ。

PASS THE BATON KYOTO GION（パスザバトン京都祇園店）
営業時間｜11:00～20:00
住所｜京都市東山区末吉町77-6
オープン日｜8月8日（土）

お茶と酒 たすき
営業時間｜喫茶 11:00～19:00（LO 18:30）、バー 20:00～4:00（LO 3:30）