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2021年6月21日
和を感じるグラフィックがスポーツウェアと共鳴 | adidas HIROKO TAKAHASHI COLLECTION
adidas HIROKO TAKAHASHI COLLECTION|アディダス ヒロコタカハシコレクション
アディダス初の法被&浴衣ジャケットに注目!
着物で多用される青海波のようにも見える高橋理子のグラフィック。サステイナブルな取り組みでスポーツウェア業界を牽引するアディダス。一見相容れない両者でありながらも、完成したプロダクトは今日的なストリート感を放つリアルクローズへと昇華された。
Text by KAWASE Takuro
アーティスト・高橋理子(たかはしひろこ)氏インタビュー
2015年からスタートしたアディダスのキー・シティと呼ばれるグローバル戦略。世界主要6都市に対して戦略的な投資を行い、その都市に根付いた文化を取り入れた商品やマーケティング活動を展開するというものだ。6都市のひとつである東京でもさまざまな活動を行なっているが、今季の商品戦略の目玉として選ばれたアーティストが高橋理子(たかはしひろこ)だ。彼女のシグネチャーである真円と直線のみで構成されるグラフィックを採用し、アディダス初となる法被ジャケットや浴衣ジャケット、キッズ用甚平など全89型もの限定アイテムを発売したばかり。ポップアップストアに登場した彼女に話を伺った。
−高橋さんが普段の生活で取り入れているスポーツやアクティビティはありますか?
「現在定期的に行っているスポーツは特になく、ストレッチくらいなのですが、高校時代は柔道部に入っていました。監督が山下(泰裕)選手と同期の有名な方で、かなりハードな練習をこなしていました。厳しい指導を受けてきたので、自分自身でも根性はある方だと思います(笑)。幼少期からファッションデザイナーを目指していて、入学した高校もファッションに特化していたのですが、何かしらスポーツはやりたいという思いが以前からあったのです」
−まさに文武両道のスポーツ少女だったのですね。アディダスとの出会いはいつ頃だったのでしょうか?
「小学生時代は器械体操のクラブに入っていましたし、中学校時代のジャージがアディダスだったので、すごく身近なスポーツウェアブランドでした。また、叔父が広島カープのプロ選手で引退後もスカウトマンをやっていたのです。その叔父から父へのお下がりとしてアディダスのジャージなどをもらっていて、私も着ていました。当時のジャージを現在まで保存していたら、高価なヴィンテージになっていたでしょうね(笑)」
それでは、今回高橋さんがアディダスとコラボレーションすることになった経緯を教えてください。
「3年ほど前にアディダスさんから今回のコラボレーションのオファーをいただきました。高校から大学時代を通じて、一枚の布からジャケットやドレスを作れるように、パターンメイキングをしっかり勉強してきました。ですから、単に既存の製品にグラフィックを載せたアイテムだけではなく、形状そのものからデザインしたアイテムもいくつかあります。1つ1つのアイテムによって素材特性もプリント技法も違うので、位置やグラフィックの大きさをサイズごとに調整して、プリントの版を変える必要があるアイテムもありました。アディダス側には手間をかけさせてしまいましたが、私なりにこだわりがあったので、サンプルを1つ1つチェックさせていただきました。そうしたこともあり、全アイテムのサンプルが揃うまで3年近くかかりました」
−今回の使用されたグラフィックは、青海波にも見えるし、アイヌ文様のようにも見えます。スポーツと和装は全く縁が無いように思っていましたが、意外にも両者が無理なく共存していると思いました。アディダスからのリクエストなどはあったのでしょうか?
「私の円と直線のグラフィックに込めた想いに共感してお声がけくださったということもあり、いつも通りの円を用いたグラフィックをこのプロジェクトのために新たに描きました。おっしゃる通り部分的には青海波にも見えますし、アディダスのスリーストライプにも見えるとおっしゃる方もいらして、見る人によって異なる受け入れ方や感じ方をしてくださるのが面白いですね。実際は、真円が中心から花のように広がっている模様です。円は古くから世界中で当たり前に使われていますし、普遍的なモチーフとして私の作品に欠かせない存在です。円は繋がり、循環、再生をイメージさせることもありますし、このグラフィックを通じて人々が繋がったり、スポーツするときのモチベーションが上がったりしてくれれば嬉しいですね」
−多くのアイテムはブラック&ホワイトで、グラフィックは均一な太さの線で描かれているのもユニークですね。
「私の作品は基本的にモノトーンです。技法の特徴を活かすためにあえて色を使うこともありますが、必要最低限の色で表現することを常に意識しています。ほとんどのアイテムが白と黒なのですが、アディダスのライフスタイルラインを象徴するブルーを採用したアイテムもいくつかあります。また、裏地やステッチの一部にネオンピンクを使ったアイテムもあります」
−アディダスは他のスポーツブランドに先駆けて、サステイナブルな素材や製法を取り入れました。現在は多くのブランドでサステイナブルがキーワードになっていますが、高橋さんのご意見をお聞かせください。
「アイテムによって混率は違いますが、ほとんどのアイテムにリサイクルポリエステルが使用されています。また、私自身のブランドで展開している着物や浴衣は、そもそも生地の無駄がほとんどありません。縫い込む量を変化させることで身幅を調整し、仕立て直すこともできます。結果として、環境負荷を低くすることができます。和服以外にも定番として手ぬぐいをリリースしています。ただの四角い布なのですが、色んな使い方ができ、長く使っていただけますので結果的にサステイナブルです。着物や浴衣のように素材を極力無駄にせず作ることができる四角い形状のTシャツも今回のコレクションに追加していますので、ぜひ手に取っていただきたいです」
今回のアイテムの多くがジェンダレスでカテゴライズできない不思議な魅力がありますね。特に法被ジャケットや浴衣ジャケットは、スタイリングを一変させてくれる力強さがあります。
「多くの着物は、色や柄で男用・女用と分けられていることが多いですが、自分のブランドでは性別を限定せずに楽しめるようにデザインしていて、今回のコレクションにおいても同じことが当てはまります。私は常に着物や浴衣を日常的に取り入れて欲しいと思っていますし、今回の浴衣ジャケットは特に普段使いして欲しいアイテムです。速乾性のある軽い生地ですので、水着の上に重ねていただくのもおすすめですし、旅行の際には平らにたためてかさばらないので、リラクシングウェアや軽い羽織ものとして、さまざまなシーンで楽しんでもらえると思います」
高橋理子(たかはしひろこ)
1977年、埼玉県生まれ。東京藝術大学にて伝統染織を学び、博士課程在学中に仏外務省AFAAの招聘により、パリにて活動。’06年 株式会社ヒロコレッジ(現 高橋理子株式会社)を設立。’08年 東京藝術大学博士後期課程修了。博士号(美術)を取得。’19年 ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に作品が永久収蔵。’21年4月に武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科教授に就任。
1977年、埼玉県生まれ。東京藝術大学にて伝統染織を学び、博士課程在学中に仏外務省AFAAの招聘により、パリにて活動。’06年 株式会社ヒロコレッジ(現 高橋理子株式会社)を設立。’08年 東京藝術大学博士後期課程修了。博士号(美術)を取得。’19年 ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に作品が永久収蔵。’21年4月に武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科教授に就任。
問い合わせ先
アディダスお客様窓口
Tel:0570-033-033
(土日祝除く、9:30~18:00)
https://shop.adidas.jp/item/?collection=hiroko_takahashi&order=10