復刻ではなく復活。オニツカタイガーのリスタートは欧米から

スポーツブランド「オニツカタイガー」は、1949年に故・鬼塚喜八郎氏によって誕生し、スポーツウェアメーカー3社が合併して株式会社アシックスが設立された1977年まで製造されていた。一度ブランドの歴史は途切れたが、ヨーロッパとアメリカで同時多発的に“復活”する。

2000年ごろ、ヨーロッパのアシックスでは、カタログのなかに「ライフスタイル」というあたらしいカテゴリーを創出。今も欧州で人気が高く定評のある「ランニング」の次の成長カテゴリーとして、休止していたオニツカタイガーに着目し、当時のファッショントレンドのレトロブームにものって、あえてスポーツ専門店ではなく、ファッションブティックやセレクトショップでスニーカーを展開。カラフルなスニーカーは、欧州のファッションピープルはもちろん、日本のセレクト系のバイヤーたちからも絶賛され、インディペンデント的な逆輸入というかたちで日本に入ってきた。

同時期、ジョギングの本場・アメリカでも、現地のアシックスの開発チームがあたらしい切り口として会社の財産でもあるオニツカタイガーに注目。昔のカタログを日本から取り寄せて、2000年にプロジェクトをスタート、2001年10月には「MEXICO 66」が完全復刻で誕生し、2002年9月からスポーツファッション市場向けのブランドとして国内外で本格的に展開をスタートさせた。

あたらしいモノをつくりだしたい情熱と、ファッションのレトロトレンド、スニーカーの履きやすさ、さらにオリジナリティを求めるマーケットが合致して、鮮やかに日本ブランドは復活を遂げた。

オニツカタイガー パリ店

オニツカタイガー パリ店 オープニングパーティより

オニツカタイガーの誇りは、ジャパニーズクオリティ

欧米でリスタートし、日本生まれのスポーツファッションブランドとして、世界を舞台に闘う数少ないブランドともいえるオニツカタイガー。その使命となるのは、世界に日本の本当の伝統文化を紹介すること。それはたとえば、2008年8月に“本物の日本”をテーマにシリーズ化された＜NIPPON MADE＞のこだわりにあらわれる。

NIPPON MADEバージョンの「MEXICO 66 DELUXE」は、日本の職人の手により、1足1足製品洗いされ、機械では表現できないひと手間くわえた味のある風合いやシワ感、足になじむユーズド感を表現。さらに、洗い加工独特の表情を生かすためにタンニンなめし加工の本革を使用し、素材感やクラフト感など＜NIPPON MADE＞だからこそ表現できるディテールへのこだわりがたっぷりつまった逸品に仕上がっている。

世界から注目される“日本のものづくりの良さ”を伝えたいという思いがこもった日本製レザーと、日本人職人による繊細なつくりには、オニツカタイガーの歴史がぎゅっと凝縮されている。

オニツカタイガー アムステルダム店

オニツカタイガー 中国・北京西門店

次に目指すのは、革新。伝統を踏まえて、あらたな未知の世界へ

ヨーロッパはロシアまで、アフリカも南アフリカまでカバーし、南米はチリ、ブラジルなどで人気の高いオニツカタイガー。圧倒的な人気を誇る「MEXICO 66」から、最近では「Monte Pokhara」がヒットシリーズに仲間入り。カジュアルファッションを楽しめるスニーカーブランドとして全世界で愛されている。

さらに、“スニーカーブランドからスポーツファッションブランドへ”の広がりを目指して、2010-11秋冬コレクションから、人気ファッションデザイナーの岩谷俊和氏が、オニツカタイガーのスポーツファッション分野全般のディレクションを手がける。

スポーツマインドと伝統的な日本の文化の融合、ファッションテイストの融合に、岩谷氏のデザイン力がくわわって、オリジナリティあふれるスポーツスタイルウェアを創造するオニツカタイガー。

世界では、サンダンス映画祭のサポートや、ストリートファッションのトレードフェアであるBread and Butterへの出展、日本では、SPACE SHOWER TVが主催する「SWEET LOVE SHOWER」のサポートなど、地域に根づいたカルチャーとも密接な関係を築きはじめた日本のスポーツファッションブランドは、伝統から革新へと、あたらしく刺激的なスタイルを生み出してくれる。

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