中田英寿が語るジョンロブ

「ジョンロブの靴は、僕にとっては特別感があって、カジュアルに毎日履くより、決めるときに履くイメージがありました。今回はビスポークですが、あえて、いつでも使える靴を作ってみたかった。みなさんもそうでしょうが、好きな靴は毎日履きたいものです。そういう一足を高いクオリティで作ってみたかった」

現役当時、スパイクにはグリップ性と軽さを求めていたという中田さん。全体にバランスが良く、負担のかからないスパイクを求めて、何度も作り直していたという。

「もちろんスパイクと靴では求める履き心地はちがいますが、現役を退いてからは、靴は自分のスタイルを成り立たせるものとしての役割の大きさを感じています。僕はカジュアルだけどデザイン性のある格好をすることが多いので、上質なものを日常に取り入れることが好きですね」

“ReVALUE NIPPON”＝中田英寿にとっての“旅”

現役を引退して、世界約90カ国、150以上の都市を3年間かけて巡ったあと、自分の旅を“ReVALUE NIPPON”と称して、2009年春から日本全国47都道府県をめぐる旅をスタート。そこで日本には世界に誇れる技術や文化があることを再発見したという中田さん。

「現役時代、海外生活で日本のことを聞かれることが多く、でもうまく答えることができずにいました。日本に興味をもっているひとが多くて、僕がどんな職業とか関係なく、自分が日本人でありつづける以上、この先も質問されるだろうと思い、海外の友人たちに日本を好きになってもらえるよう、いい情報を伝えたいという想いから、47都道府県をめぐる旅をはじめました」

その土地の文化をつくるひとに会いに行く

「自分がまず体験してみよう、勉強してみよう」という動機から思い立った日本の旅は、すでに足かけ4年。45都道府県を制覇して、残るはふたつ。

「47都道府県のすべてを知っているひとがいても面白いですよね。自分の旅は観光地ではなく、その土地の文化をつくるひとに会いに行こうというもの。文化・生活とは、“食べることと作るひと"のことで、そこでしか得られない伝統文化や農業、酒、ものづくりなどを通じて、自分はさらに神道と仏教の勉強などにも興味をもちました。机上ではなく、自分の経験になることをしてみたいと思ったのです」

45都道府県を終えて感じたのは、「“ひとの生き様"がすばらしい」ということ。
「旅で出会った伝統工芸家たちの技術を見て、話を聞いて、実践するほど、“生き様"がすばらしい。それを多くのひとに伝えたいと思いました」

日本の職人とフランソワの出会いを橋渡し

「多くの職人と出会って感じたのは、職人同士の交流が少ないということ。とくにそれぞれがこだわりと経験と、考え方があって成り立つ世界なので、カテゴリーを超えての交流が少ない。でも、イタリアの職人も、日本の職人も、フランスの職人も、ものづくりのアプローチという根っこの部分は変わらないはずです。職人はもっと表に顔を出してもらって、ファンをつくるべき。国という垣根を越えて、文化をリスペクトしながら、多くのひとに、ものづくりのすばらしさを理解してほしい」

日本の文化をめぐる旅「ReVALUE NIPPON（http://nakata.net/rnp/）」で、これまでに訪れた場所は1343カ所。そして、これまでに出会った工芸家は312人にのぼり、「誰もが人間として尊敬できるひとばかり」という中田さんの尊敬の念は、職人技を媒介として日本とフランスを繋げることに行き着いた。

今年7月、中田さんはフランソワを京都の職人のもとへと案内する。そこでは、どんなあたらしい化学反応が起こるのか。こうご期待！

中田英寿がトライオンで訪れたパリのアトリエ（1）へつづく

ジョンロブ「ビスポーク」
価格｜99万3600円～（税込）
※同一ラストでの2足目以降は89万1000円
期間｜メジャーメントから約4カ月でトライオン（仮縫い）、さらに約4カ月後に納品

ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp