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2015年2月26日
特集|日本人デザイナーの最新ルック──先鋭と成熟 2012SS
特集|日本人デザイナーの最新ルック――先鋭と成熟
2012年春夏注目メンズコレクションを順次公開!
パリ、ミラノ、ニューヨーク……。世界の錚々たるメゾンの新作コレクションもたしかに気になる。しかし、いま注目したい日本人デザイナーのクリエイションだ。ミハラヤスヒロや、ジョンローレンスサリバンなど、パリコレを舞台に活躍するブランドもある。そして、その評価は高い。
リアルなスタイルを展開しつつ、モードなエッセンスを湛えたその服づくりは、もはや世界水準として認知されている。とくに製品となり店頭でその服に触れたとき、サイジング、時代性、ディテール、巧緻な技術、豊かな感性など、おなじ日本人だからこそ共感を呼ぶものがある。そんな日本人デザイナーたちの2012春夏ルックを、順次ご紹介していこう。
Text by MATSUDA Natsuki
nonative|ノンネイティブ
ノンネイティブが2012年春夏テーマに掲げたのは、"CAFE HAFA" 。
モロッコの最北端、地中海と大西洋のあいだでジブラルタル海峡に面し、航海の要所であり国際色豊かな港町タンジール。この町にたたずむカフェ ”CAFE HAFA" は、多くの旅人や文芸学者などが集っていた異彩を漂わせた場所。ここに集った人たちをイメージした今シーズンは、ワークウェアに存在するユニフォームからインスピレーションを得てデザインされている。規制された統一感のある印象とは異なり、生地感やシルエットに変化をつけ、気の抜けたラフな雰囲気に仕上げてあるのが特徴。
ウォッシュをかけて、自然と肌になじむ着心地と立体感を追求し、パンツ丈の絶妙なバランスと、それに合わせるローカットの靴がリゾートなムードを演出している。
さらに、モロッコの町並みをイメージした発色の良いカラーリングや、落ち着いた配色に落とし込んだリバティー柄をアクセントにコレクションが展開されている。
FUJII Takayuki|藤井隆行
1976年生まれ。武蔵野美術大学中退後、いくつかのショップスタッフを経て、2001年にnonnativeのデザイナーに就任。そして今年で10年目を迎える。2005年、鋭敏な審美眼が高く評価されている中目黒のセレクトショップ『vendor』をオープン。
vendor Tel. 03-6452-3072
http://www.nonnative.com/
http://vendor.co.jp/
CHRISTIAN DADA|クリスチャン ダダ
今季のコレクションテーマは"SIGNAL/NOIZE"。「SIGNAL=布 」「NOIZE=ミクストメディア」 を使用し、混ぜ合わせることで骨の可視化を表現したアルゴリズムを用いている。骨は「死体」のアイコンであり、本来動かない物であることから、その無数の骨化した「不動(無機質)」の表現が、
骨をまとって動くことにより「有動(有機質)」になり、「生命性」そのものを表現している。
MORIKAWA Masanori|森川マサノリ
1984年3月生まれ。「CHARLES ANASTASE/シャルル アナスタズ 」より独立後、友人とともにファッションブランド「LIVRAISON/リブレゾン」設立。2009年に同ブランドを脱退し、2010年A/Wより「CHRISTIAN DADA/クリスチャン ダダ 」をスタート。2011年A/Wに初の単独ランウェイ形式となるショーを、ラフォーレ原宿ミュージアムにて発表。2011年6月25日におこなわれたMTV AID JAPAN AWARDのレディ・ガガの衣装を手がけ話題となった。
CHRISTIAN DADA co.,LTD
Tel. 03-6228‐0611
http://www.christiandada.jp/
FACTOTUM|ファクトタム
ブランドコンセプトは、デニムに対する深い思いと、モードとリアルクローズを融合させること。テーラード、ワーク、ミリタリーをベースに、ワードローブを展開している。毎回、デザイナー自らテーマとする国を訪れ、そこで出会ったひとや風景、空気からインスパイアされた服づくりをしている。2012S/Sのテーマは“Sunday at the park” 。1970年代のアメリカのヒッピーカルチャーからインスパイアされたものだ。ファクトタム初のメンズ、レディース同時発表は、ユニセックスな雰囲気と、陽光のなか、日曜日の公園に集まったコミュニティのような、明るく自由な精神につつまれたコレクションとなっている。
UDO Koji|有働幸司
1971年生まれ。 東京モード学園卒業後、ビームスに入社。退社後ロンドンに留学。帰国後、国内ブランドの立ち上げに参加。 その後、独立し2004年にFACTOTUM(ファクトタム)をスタートさせる。2006年に直営店をオープン。同年、東京コレクションデビュー。2010年、ウィメンズライン、FACTOTUM FEMMEを発表。
FACTOTUM Press Room
Tel. 03-6698-8963
http://www.factotum.jp
Twitter|http://twitter.com/FACTOTUM_PRESS
FaceBook|http://www.facebook.com/profile.php?id=100001110555655
N.HOOLYWOOD|N.ハリウッド
一般的な映画の導入部分で、音楽とともにスタッフやキャスト名などが、テロップで入るタイトルバック。それを独自の文学的、視覚的想像力でいくつもの技法を生みだし、今日スタンダードとなったスタイルを確立したのが、タイトルバックのパイオニア、グラフィックデザイナーのソール・バスという人物。今季は彼の活躍した1960年代の映画にもよく散見できるソリッドなスタイルに、映画のワンシーンを彷彿とさせるポップなテキスタイルや、プリントを掛け合わせ、代表的な作品のタイトルバックをエッセンスとして、ディテールに落とし込んだコレクションとなった。
OBANA Daisuke|尾花 大輔
1974年神奈川県生まれ。1992年専門学校中退後、古着屋でバイヤーとショップマネジャーを兼任する。1995年古着のセレクトショップ「go-getter」の立上げに携わる。2000年「N.HOOLYWOOD」を設立。同年12月、本格的にオリジナルを展開するために原宿に「Mister hollywood」をオープン。2002年にはクラブで初のコレクションを発表。2007年6月には、パリで初の展示会「N.HOOLYWOOD COMPILE」を発表。2008年11月1日、「N.HOOLYWOOD」としての初の路面店を香港にオープン。
Mister hollywood Tel. 03-6447-0977
MIHARAYASUHIRO|ミハラヤスヒロ
今回のMIHARAYASUHIROのコレクションは、あらゆるメッセージを込めたMIHARAの声無き声である。カジュアルなジャージーやカットソーの素材は、クラッシックなテーラードジャケットや乗馬パンツそしてスラックスへと形を変え、日常着という観念を逸脱し、MIHARAらしいアイロニックな表現を素材と形へ表現している。フォトジャカードには、生地のなかに陰影を織り込みあらゆる角度からの視点を盛込んでいる。ニットにはさまざまなディティールを織り交ぜあい、さまざまなテキスタイルをニットで表現した。世の中にはいろんな価値観や表現がある。ひとがひとと紡ぎ合いそして表現していく。この世の中はあらゆる思想のニットである。シューズにはアイロニックな要素をふんだんに用い、つぎはぎされたデッキシューズや、途中で切断されたようなストレートチップのシューズ、折り紙のようなスニーカーやデザートブーツを創出した。
「この世の中には日常や普遍な物ということが存在しない。そして何かあった時、時間はどんどん何かあったことを薄めてしまう。そこにあった何かを忘れないためにも、つねに意味を持って作りつづける。それが今回のコレクションです」(三原康裕談)。
MIHARA Yasuhiro|ミハラヤスヒロ
1972年福岡県出身。1993年 多摩美術大学テキスタイル学部に入学し、翌年独学で靴づくりを開始。1998年、初の直営店「SOSU MIHARAYASUHIRO」を東京・青山にオープ ン。1999年、「SOSU」を設立。同年ウェアラインを東京コレクションにて発表し、大きな話題に。2000年「PUMA by MIHARA YASUHIRO」を国内で発表。2004年、オリジナルブランド「MIHARA YASUHIRO」を海外デビューさせ、ミラノコレクションに参加。2007年 にはパリコレクションに作品を発表。2010年、 表参道のフラッグショップ「SOSU MIHARAYASUHIRO」を『MIHARAYASUHIRO TOKYO』として移転オープン。
MIHARAYASUHIRO TOKYO
Tel. 03-5778-0675
JOHN LAWRENCE SULLIVAN|ジョンローレンスサリバン
今シーズンは素材、パターン、カラーブロックでのコントラストをルックに織り交ぜ、さまざまな要素の組み合わせによって オーセンティックなテーラードスタイルにスパイスをくわえた。リネン素材のジャケットにレザーのエポーレットで、軽やかさのなかにも強さをもたせ、シルクオーガンジーの上にはカモフラージュプリントをのせて、パターンと素材の反応から あらたな表情を引き出している。ボルドー、グリーン、マスタード、ネイビーをベースに構成された彩りでインパクトをもたせ、 モダンかつエレガントな強い男性像を映し出している。コレクションは素材感やカラーがより引き立つよう選んだパリのセーヌ川沿いの会場にて、 自然光が射し心地よい風がとおり抜けるなかおこなわれた。
柳川荒士|ARASHI Yanagawa
広島県生まれ。 プロボクサーとして4年間リングへ上がる。引退後デザイナーへ。 2003年「JOHN LAWRENCE SULLIVAN」をスタート。2008年 東京・中目黒にフラッグシップショップをオープン。 東京コレクションを経て、2011年AWシーズンよりパリコレクションデビュー。
JOHNLAWRENCESULLIVAN
Tel. 03-5428-0068
www.john-lawrence-sullivan.com












