親戚同士が集まったときに、当時の店の写真をはじめて見た

1906年に、アメリカ・サウスダコタ州グロトンに6人のミラー兄弟が『MILLER BROTHERS EXCLUSIVE MEN'S CLOTHEIRS』というメンズショップを開店した。当時、この店は、巧みなハンドテーラリングと、良質で気の利いたデザイン、そして粋なアクセサリーづかいで話題になり、米中西部ではもっとも有名なテーラリングのキーストアとなったが、第一次世界大戦後には消滅。その名前と伝統とスタイルは、ミラー家のなかで温存され受け継がれてきた。

そして103年の年月を経て、創業者の曾孫にあたるカーク・ミラーとデリック・ミラー兄弟により、「MILLER'S OATH（ミラーズ オース）」というあたらしいブランドが立ち上げられた。

──カークさんはおいくつですか？

いま31歳です。英国に本拠地を構える老舗シューメーカーのBarker社と組んで「Barker Black」をスタートさせたのは5年ほど前ですね。パートナーの兄のデリックは37歳です。

──「MILLER'S OATH」をスタートさせたきっかけを教えてください。

7～8年前に、ファミリーの親戚同士が集まることがあって、当時の『MILLER BROTHERS EXCLUSIVE MEN'S CLOTHEIRS』の写真をもっていたひとがいたんです。それから父に話を聞いて調べたら、コンセプトのしっかりした紳士服飾店ということがわかってきました。

──それでブランドの立ち上げを考えたんですか？

父は、ロンドンのサヴィルロウに僕たち兄弟を連れて行ってスーツをオーダーするようなおしゃれないひとで、そこでスーツの仕立て方を見たり、スタイリングを観察したりして、男のダンディズムを習いました。でもスーツで過去の曾祖父たちと繋がるとは思っていませんでしたね。

──「MILLER'S OATH」というブランド名にした理由は？

曾祖父たちが築き上げた歴史と、これから「MILLER'S OATH」を着ていただけるお客さまへの“約束”をブランド名に込めています。伝統にこだわりながら、あたらしく洗練されたものをつくっていきたい。

──スーツの工場はどこですか？

アメリカでハンドメイドで仕立てています。「MILLER'S OATH」にとってはアメリカでつくることが大事でした。テーラードの技術がある工場を調べて、納得できる仕上がりになるまでに5年間かかっています。

──難しかったところは？

ラインをつくることが難しかったですね。着丈や、正統的な英国スタイルの前裾を大きく切り落としたカッタウェイなどを工場に説明するのが大変でした。でも「MILLER'S OATH」としては完ぺきにトライしたできあがりになっています。

──5月にニューヨークに路面店をオープンされましたね。

はい。グリニッジストリートに既製とオーダーメイドも承る店をオープンしました。現在「MILLER'S OATH」を買えるのは、ニューヨークの路面店とユナイテッドアローズだけです。

──ユナイテッドアローズの印象は？

原宿本店はすばらしいお店で、「MILLER'S OATH」のスーツがとてもマッチします。またバイヤーの小木さんをはじめみなプロフェッショナルで、センシビリティに理解のあるすばらしいチームだと思います。

──カークさんにとって、スーツを着る楽しみとは？

「MILLER'S OATH」にとってタキシードは重要なアイテムで、私も大好きです。スーツやタキシードなどを着ると、自然と姿勢が良くなり、気持ちにも張りがでます。そんな“アティチュード”を感じられるところがドレスアップの醍醐味ですね。

──では、ミラー兄弟ファンにひとこと。

「MILLER'S OATH」のジャケットの衿の裏などユニークなディテールは、目的があってつくられています。そういうポイントもぜひご覧いただき、着こなしを楽しんでください。

ユナイテッドアローズ 原宿本店 メンズ館
東京都渋谷区神宮前3-28-1
Tel. 03-3479-8180
www.united-arrows.jp