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2026年5月28日
フェラーリ初のBEVスポーツカー、ルーチェを世界初披露
Ferrari Luce|フェラーリ ルーチェ
フェラーリが初のBEVスポーツカー「ルーチェ」をイタリア・ローマでワールドプレミアした。これまでのフェラーリと一線を画す初のBEVモデルの全貌が明らかになった。
Text by YANAKA Tomomi
観音開きのドアに、フェラーリ初となる5シートを採用
2025年秋にその存在がアナウンスされ、今年2月にはインテリアを公開されるなど、徐々にその姿を現してきたルーチェがいよいよ世界初披露された。



まず目に飛び込んでくるのはその外観。これまでのマラネッロ発のものとは大きく異なるデザインは、元Appleデザイナーのジョナサン・アイブ氏とマーク・ニューソン氏が率いるデザイン集団LoveFromによるもの。
これまでのフラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタイリング・センターの外部からチームを迎えることで、新たな視点や知識の相互作用がもたらされたという。


ボディサイズは全長5,026×全幅1,999×全高1,544㎜で、フェラーリ初となる4ドア5シートを採用。スタイリングは、前後の空力的なウイングをグラスエリアのシルエットを包み込むように浮遊させたことで気流やドライビング・ダイナミクス、空力音が制御され、唯一無二の特徴的なシルエットが生み出された。
印象的なのは「プロサングエ」を思わせる観音開きのドア。また丸型のテールライトは「360モデナ」や「458イタリア」などをオマージュしたもので、フェラーリのファミリーであることを確実に感じさせるものだ。


なめらかな面のようなボディは斬新なデザインとともに、徹底した空力の配慮につながっており、フェラーリのロードカー史上最小の空気抵抗係数を実現した。このほかにも、高速走行時にフロントを10㎜下げ、空気抵抗を少なくするアクティブ・ライドハイト機能なども装備する。
足元にはフロントが23インチ、リアが24インチという専用ホイールを装着。フェラーリ・ロードカーのなかではリム径の前後差がもっとも大きくなった。



技術面では専用シャシーと専用プラットフォームを開発。モータースポーツの経験を生かした技術により、バッテリー容量は122kWhと大容量でありながら、車両重量は2,260kgに抑えられている。
駆動は各輪に1基、計4基のモーターからなり、「F80」由来のアクティブサスペンション、独立操舵式のリアアスクルを備えたものに。各輪には駆動・回生用アクチュエーターや上下振動制御用アクチュエーターがそれぞれ備わり、路面状況や望ましい性能に応じてリアルタイムでトルク配分の変化されることができるため、ドライバーが流れるような一体感を味わえるように設計されたという。


その結果として、最高出力は772kW(1,050ps)、最大トルクはモーター計測値で990Nm、ホイール計測値で1万1,500Nmを発生し、0-100km/h加速は2.5秒、0-200㎞/h加速は6.8秒を記録。また最高時速は310㎞で制限される。
駆動方式は電動四輪駆動をフェラーリで初めて採用。新しいトルク・シフト・エンゲージメントと拡張回生ブレーキがダイナミックで刺激的な走りに寄与するそう。





サウンドに関しても「本物であり、機能的でなければならない」というフェラーリのフィロソフィーに基づき開発。アクスル中央の高精度加速度計で回転部品の質感や振動をとらえ、自然な音波を作る外部増幅システムなどを経由して発せられるという特許取得のシステムが用いられた。
バッテリー容量は先述の通り122kWhで、推定値ではあるものの航続距離は530㎞超と、ロングドライブにも対応する。


一方で、このバッテリーパックは車体構造要素のひとつとなっており、シャシーやボディとともに重心などの構造性能と効率性を最適化。バッテリーケースもフロアと後席の下に一体化することで、室内空間を広くするとともに、剛性にも貢献した。
室内は機能的にまとめられ、頭上のコントロールパネルには、ローンチモードを起動する物理レバーやエクステリアライト、緊急SOSシステムのスイッチなどが設けられた。





ボディカラーは、ルーチェの現代的な個性を反映する5色を展開。なかでも専用に開発されたイエローは、フェラーリのロゴにある黄色をインスピレーションとしており、ホイールハブやステアリングホイールなどにアクセントカラーとして用いられている。
日本への上陸時期などは未定。これまでにないフェラーリのジャパンプレミアが待たれる。
Ferrari Luce|フェラーリ ルーチェ
ボディサイズ|全長5,026×全幅1,999×全高1,544㎜
ホイールベース|2,961㎜
トレッド前/後|1,696/1,690㎜
車両重量|2,260kg
最高出力|772kW(1,050ps)
最大トルク(モーター計測値)|990Nm
最大トルク(ホイール計測値)|11,500Nm
最高時速|310㎞
0-100㎞/h加速|2.5秒
0-200㎞/h加速|6.8秒
バッテリー容量|122kWh
航続距離推定値|530㎞
フェラーリ ルーチェをより深く知るために
Q. 「ルーチェ(Luce)」というモデル名には、どのような意味が込められているのでしょうか?
「Luce」はイタリア語で「光」を意味し、明快さと方向性を想起させる言葉です。未来への道を照らす存在であることを示すとともに、単なる「電動フェラーリ」ではなく、より深い一体感とパフォーマンス、そしてひと目で分かる唯一無二の個性を兼ね備えたフェラーリを生み出すという目標も、この名前には込められています。
Q. なぜワールドプレミアの舞台にローマが選ばれたのでしょうか?
1947年、フェラーリはローマで開催されたローマGPを制し、ブランドとして初めての勝利を手にしました。ドライバーのフランコ・コルテーゼが走り出したその地で、79年後、フェラーリは初の電動モデルを発表することを選びました。歴史の出発点となった都市で、再び新たな章を開く——その重なりこそが、ローマという舞台に込められた意味です。
Q. ルーチェの登場は、フェラーリの既存エンジンモデルが終わりに向かうことを意味するのでしょうか?
そうではありません。フェラーリは「技術に善悪はない」という技術中立性の原則を掲げており、電動化は既存エンジンを置き換えるものではなく、製品アーキテクチャーや設計能力を拡大するための手段のひとつと位置づけています。ルーチェによって、フル電動・ハイブリッド・内燃エンジンという3種類のアーキテクチャーを持つスポーツカーが揃う世界初のメーカーとなりますが、これはラインナップの終わりではなく、まったく新しいセグメントの誕生を意味します。