英国モーガン、国内販売網を強化|Morgan
CAR / NEWS
2018年5月23日

英国モーガン、国内販売網を強化|Morgan

Morgan|モーガン

英国モーガン、国内販売網を強化

エス シー アイはイギリスのモーガン・モーター・カンパニーと日本国内での輸入販売契約を締結し、4モデルを国内導入。また、部品販売やアフターセールス業務を開始する。

Text & Photographs by UCHIDA Shunichi

4モデルを日本導入

今回日本で取り扱う車種は、「3ホイーラー」(766万8,000円)、「4/4」(766万8,000円)、「プラス4」(820万8,000円)、「ロードスター」(993万6,000円)の4モデルだ。

4輪モデルはすべてフォードエンジンを搭載。4/4はフォードSigmaの1,595㏄で最大出力は112ps、最大トルクは132Nmを発生。最高速は185km/h、0-100km/hは8秒である。プラス4はフォードGDIの1,999㏄、最大出力156ps、最大トルク156Nmで、最高速189km/h、0-100km/h加速は7.5秒。ロードスターはフォード サイクロンV6エンジンを搭載。このエンジンは現行マスタングにも搭載されているもので、3,726cc、284ps、352Nmを誇る。最高速は225km/h、0-100km/h加速は5.5秒となる。

s_005_morgan

s_007_morgan

そして3ホイーラーはS&S製Vツインエンジンを搭載。1,979ccで69ps、129Nmを発生。最高速度は185km/h、0-100km/h加速は7.0秒を記録している。

これらモデルは、全国8社のディーラーネットワークを通じて販売、アフターセールス業務も行っていく。

ロータスやケイターハムの実績が評価され

今回モーガンの輸入を行うエスシーアイは、ケイターハムやKTM「X-BOW」の輸入、販売を手掛ける、VTホールディングスの子会社である。同じ子会社にはロータスの輸入、販売を行うエル シー アイがある。

このVTホールディングスは、東証一部に上場する自動車販売事業を行っている会社で、国内外でのディーラー展開や、インポーター事業にも力を入れている。

エス シー アイ代表取締役の伊藤誠英氏は、「これまでのロータスやケイターハム等の実績を評価してもらい、モーガンから我々に日本でのインポーターを任せてもらえることになりました」とコメント。

そして、「昨今自動車の話題になると電動化や自動運転などコモディティ化していくような話題が多い中で、本当のクルマ好きの方々にこういったクルマを提供し、安心して維持してもらえるような体制をメーカーとディーラーとモーガンの各クラブとともに運営していきます」と抱負を語る。

s_024_morgan

エスシーアイ代表取締役の伊藤誠英氏

Morgan|モーガン

英国モーガン、国内販売網を強化 (2)

年間50台を目標に

モーガンの年間製造台数は850台。日本での販売は、2016年は10台、2017年は23台であった。なぜそのような台数規模のメーカーのインポート事業に乗り出したのか。「実はずっとやりたかったのですが、なかなかVTホールディングスからOKが出なかったのです」と振り返るのは、エス シー アイ モーガン・カーズ・ジャパン ブランド マネージャーのジャスティン・ガーディナー氏だ。

しかし、VTホールディングスの社長が昨年、モーガンの工場を見学した途端、GOとなりました」という。「職人一人一人が丁寧にクルマを作っているのを見て、700万、800万円は安い、これは売れるという判断があったのです」と明かす。

s_011_morgan

s_016_morgan

またガーディナー氏は、「これまで日本市場では10台から20台の販売でしたが、もっと売れるはずです。しかし、アフターサービスの問題が大きく台数が出なかった。そこで、我々は一層アフターセールスに力を入れます」と話す。

そうすることで、「今年は30台のオーダーを約束しています。もちろん生産キャパシティがありますから、すべてが年内に日本に来るかは――」と笑うが、「たぶんこれ以上のオーダーはいただけそう」と期待を語る。そして、来年以降は「50台ぐらいを目標にしていきます」と述べた。

なお、オーダーしてから納車まで「早ければ8ヵ月から9ヵ月、できれば1年は見てほしいですね」とのことだった。

1世紀以上の歴史を誇る

モーガン・モーター・カンパニーは1909年にヘンリー・フレドリック・スタンリー・モーガンが設立し、3ホイーラーがその始まりだった。最初に作られたプロトタイプはチューブラースチールのシャシーに7HPのプジョー製Vツインエンジンを搭載。車重1トンあたり90HPという異例のパワーウエイトレシオが特徴的だったという。その後1953年まで3ホイーラーは排気量拡大などを伴いながら生産が続けられた。

4輪モデルは1936年に登場したモーガン4/4が最初だ。この4/4の意味は4気筒と4輪で3ホイーラーと区別され、デザイン的にはフロント周りに手が加えられているが、それ以外の構造を含め現在に至るまで大きな変更はない。搭載されるエンジンも1955年のシリーズ2以降、フォードエンジンを使い続けている。

モーガンのフレームはスチール製のラダーフレーム(3ホイーラーはチューブラーフレーム)に、トネリコ属(モクセイ科)のアッシュをボディ骨格に使い、そこにアルミ製のボディパネルを張り合わせたもので、これもほとんど変更がない。つまり、モーガンは戦前から大きな変更なく、現代に生き続けているメーカーなのである。

s_022_morgan

s_023_morgan

しかし、モーガンのモデルレンジは21世紀を迎えて進化した。2000年のジュネーブショーで「エアロ8」を発表。2011年には50年以上の時を経てハリーモーガンの設計を現代流にアレンジしたモーガン 3ホイーラーが再登場した。またモーガン初の電気自動車として2016年のジュネーブショーで発表された「EV3」はこの人気の3ホイーラーをベースとしている。

「モーガンの理念は100年以上経った今も設立当時のまま続いています。研究から設計、塗装、内装に至るまですべてを、1913年から変わらずマルバーン丘陵の麓にあるピッカーズレイロード工場で行い、お客様一人一人のクルマを職人の手仕事で丹念に仕上げることにこだわっています」と話すのは、モーガン・カーズ・ジャパン広報の谷田恵美氏だ。

そして、「モーガンは伝統とチャレンジの精神を受け継ぎながら一流のパフォーマンスを発揮するクルマをこれからも開発し続けます」と語った。

問い合わせ先

モーガンカーズ・ジャパン

https://www.morgan-cars.jp/

           
Photo Gallery