フェラーリのマーケティング&コマーシャル部門最高責任者にインタビュー|Ferrari
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2018年12月6日

フェラーリのマーケティング&コマーシャル部門最高責任者にインタビュー|Ferrari

Ferrari|フェラーリ

最も好きなフェラーリは次にデビューするモデル

フェラーリ ジャパンはイタリア大使館を舞台に、フェラーリオーナーをはじめ、各界のクリエイターなど約300名を招待し、フェラーリ テーラーメイド プログラムの特別イベント「「フェラーリ テーラーメイドの芸術(The Art of Ferrari Tailor Made)」を開催。イベントに合わせてマラネロのフェラーリ本社より来日した、同社のマーケティング&コマーシャル部門最高責任者、エンリコ・ガリエラ氏にインタビューした。

Text by OPENERSPhotographs by Ferrari Japan

唯一無二のフェラーリに仕上げられる「フェラーリ テーラーメイド」

フェラーリの創業者、エンツォ・フェラーリが、レースで勝つために同社を興したいうのはよく知られた逸話だ。いっぽう彼は、レース活動のための資金を得るために、顧客からのオーダーに応えるかたちで、1点モノのこの上なく贅沢なモデルを手がけ、世界中の富裕層を魅了してきた。顧客リストには、巨匠ロベルト・ロッセリーニ監督やイラン最後の皇帝であるパフラヴィー2世など、超がつくほどのVIPが名を連ねた。

そうしたフェラーリの伝統を今に受け継ぐとも言えるのが、現在のプロダクトモデルをベースに、顧客の嗜好やスタイルとマッチする唯一無二のフェラーリに仕上げる、パーソナライゼーションプログラム「フェラーリ テーラーメイド」だ。

Ferrari

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顧客は、パーソナルデザイナー率いる専門家チームによるサポートを受けながら、ボディのカラーリングをはじめ、インテリアの素材やカラー、ステッチの入れ方などを選び、自分だけの特別な1台を実現させることができる。マラネロのスタイリングセンターと上海ブランチに設けられたテーラーメイドセンターへ訪問し、素材サンプルを手に取って感触を確かめながら仕上げていくことも可能だという。

このたびフェラーリ ジャパンは、イタリア大使館にて300名のゲストを招き、同プログラムをプロモーションするための特別イベント「フェラーリ テーラーメイドの芸術」を開催。フェラーリが、日本のために「GTC4ルッソT」をベースに特別に仕立てた9台のテーラーメイドモデルも披露した。

OPENERSでは、イベントに合わせてマラネロのフェラーリ本社より来日した、同社のマーケティング&コマーシャル部門最高責任者、エンリコ・ガリエラ氏に話を聞く機会を得た。

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最も好きなフェラーリは次にデビューするモデル (2)

9台9様のGTC4 ルッソT

「テーラーメイドプログラムについて日本のお客さまにもっと知っていただきたい。そんな想いから、9台のGTC4ルッソTをそれぞれ異なるテーマのもとに仕上げ、その可能性をみていただこうと、『フェラーリ テーラーメイドの芸術』を開催しました」

今回、イベントを開催した意義について、そう語るガリエラ氏。仕立ての良いネイビーのスーツに上品なネイビーのタイを合わせ、シャツの袖からウブロのビッグバンをさりげなくのぞかせる。かなりのスタイリストである。

実際、9台のGTC4 ルッソTは、ラグジュアリーヨットの世界をイメージした「Yacht Concept」や、ポルトローナ・フラウのソファ「GranTorino」にインスパイアされた、クラフツマンシップあふれるシックなインテリアが魅力の「Italian Style Concept Ⅱ」など、いずれも個性豊かに仕上げられた内外装が印象的だ。フェラーリ テーラーメイドの可能性を日本の顧客にプレゼンテーションするための、絶好のサンプルだといえるだろう。

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出張で1、2年に1回のペースで来日するというガリエラ氏。では、日本のマーケットについては、どう感じているのだろうか。

「日本のお客さまはクルマに対するこだわりが強く、特別なものだとか人とは違うものを求める傾向があります。大掛かりなパーソナライゼーションではない場合でも、わざわざマラネロのテーラーメイドセンターを訪れてくださったり、こういうレザーやマテリアルを使いたいだとか、自身のアイデアを明確に持っていらっしゃる方が多い」

ガリエラ氏によると、日本人の顧客のなかには奥様のヘアカラーや、息子さんのバッグの色と同じボディカラーにしたい、なんていう人もいるのだそうだ。そんな遊び心あふれるオーダーを形にできるのも、「フェラーリ テーラーメイド」の価値なのだ。

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最も好きなフェラーリは次にデビューするモデル (3)

スポーツカーとしてのDNAは絶対に変らない

ところで、パーソナライゼーションの責任者であるアンドレア・バッシ氏は今回のイベントのプレス向けプレゼンテーションにて、フェラーリ テーラーメイドはフェラーリオーナーのライフスタイルを体現するためのプログラムだと語っていた。また、例えばフェラーリが9月にお披露目した限定モデル「モンツァ SP1」および「モンツァ SP2」では、ロロ・ピアーナやベルルティなどのラグジュアリーブランドとコラボレーションしたアパレルやアクセサリーを展開するなど、同社はよりライフスタイルブランドとしての側面を強めているように感じられる。その辺りについて質問すると、ガリエラ氏は静かに、しかし力強く語った。

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「フェラーリはまずなによりもスポーツカーのブランドです。ですので、いつの時代もスポーツカーとしてのDNAが最も重要なのです。現在フェラーリには、812スーパーファストや488に代表されるハイパフォーマンスを追求したモデルと、ポルトフィーノやGTC4 ルッソのようなライフスタイルコンシャスなモデルという2つのレンジが存在します。しかし、スポーツカーとしてのDNAは確固たるもの、絶対に変らないもととして、常にフェラーリのすべてのモデルに存在しつづけているのです」

最後に、モデルバリエーションが多様化しつつある現在のフェラーリのラインナップにおいて、個人的に最も好みなのはどのモデルなのか、ガリエラ氏に質問すると、氏は笑みを浮かべながら穏やかな口調で答えてくれた。

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「エンツォはこういう質問をされると、決まって次にデビューするモデルだと答えていました。それは僕たちもまったく同じです。なぜなら、僕たちは常に現状に満足しないで先を見ているからです。それこそがフェラーリの姿勢なのです」

エンツォ・フェラーリがこの世を去って今年で30年。今もなお、彼の精神はフェラーリに息づいている。ガリエラさんのお話を聞いて、僕はそんな思いを強くした。そして、それゆえにフェラーリは自動車界で孤高の存在であり続けているのだろう。

           
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