東京モーターショー 2015 リポート|Porsche
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2015年11月5日

東京モーターショー 2015 リポート|Porsche

Porsche|ポルシェ

東京モーターショー 2015 リポート

2台がワールドプレミアを果たしたポルシェ

今回の東京モーターショーに出展する、数少ないスポーツカーブランドのひとつがポルシェだ。彼らにとって重要な市場であるというこの日本では、「マカン GTS」と、最新パワートレーンを搭載した「911カレラ」の四輪駆動モデルを世界初公開した。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

4WDの911にもターボを搭載

フェラーリやランボルギーニといったブランドが出展を見合わせるなか、東京モーターショーで気を吐いていたスポーツカーメーカーがポルシェだ。9台のスポーツカーやSUVを並べ、多くの来場者を惹きつけていた。やはりブランド力は衰えていない、というかんじである。スポーツカーメーカーでありながら、燃費を考え、環境適合性に配慮するなど、市場性をアップデートしているのが、ポルシェの特徴といえる。それだけに、ショーは本来ポルシェにとって、重要なコミュニケーションの場であるはずだ。

ポルシェのブースでもっとも目立つところに展示されていたのは、ワールドプレミアになる追加車種2台である。1台は「911 カレラ 4S」。 911カレラには、じつは大きなニュースがある。フランクフルトの自動車ショーで既報なのだが、911ファミリーの6気筒はターボ化され排気量は3リッターに縮小して効率化がはかられたのだ。東京モーターショーでは、272kWのこのモデルと、さらにパワフルな309kWのカレラ4Sが発表された。どちらも従来モデルより排気量が小さくなったいっぽう、出力は約15kW上がっている。

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911一族の排気量が小さくなったこと。911ターボ以外のモデルでもターボチャージャーを装着したこと。さらに言えば、ポルシェもCO2排出量低減を強く意識しはじめたこと。どれも大きなニュースである。

ただ、東京モーターショーのポルシェのブースで、これらの情報はそれほど強く前面に押し出されていない。スポーツカーのトップトピックスとしてCO2低減への取り組みは似合わないと考えたのだろうか。つねに“クルマがすべてを語る”というかのように、そっけない展示に終始するポルシェのコンセプトは、東京モーターショーでも不変だったということもできる。

「日本はポルシェにとってアジアでは二番目に大きなマーケット。世界では第6位になります。昨シーズンの販売実績は5,000台を超え、19パーセントの伸び率を達成しました。うちスポーツカーが3,169台をしめ、そのなかで1,537台が911です。なので、(あたらしいエンジンを得た)カレラ4が日本でデビューしたことは驚きではありません」。

ポルシェジャパンの七五三木敏幸代表取締役社長は記者会見でそう語った。

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911カレラ 4シリーズは、性能がアップしている。静止から100km/hまでの加速に要する時間は、従来の4.5秒から4.1秒へ、カレラ 4Sでは4.1秒から3.8秒へと大きく向上しているのだ。電子制御で前後輪への駆動力配分をおこなう4輪駆動システムは、反応時間が短縮されたと謳われる。ポルシェ アクティブ サスペンション マネージメントと呼ばれる電子制御ダンパーシステムとのマッチングもよりよくなったというのも注目点だろう。

東京モーターショーでは、さらにもう1台、ワールドプレミアが用意された。

Porsche|ポルシェ

東京モーターショー 2015 リポート

2台がワールドプレミアを果たしたポルシェ(2)

マカンGTSも世界初公開

「マカンは日本ではたいへん人気のある車種です。発売開始後6ヵ月で1,246台がオーナーの手に渡り、現在、ラインナップでもっとも売れているモデルとなっています」。ポルシェジャパンの七五三木代表取締役社長は、(やや)小ぶりの車体をもつSUVの好調ぶりについて言及した。人気を背景に、東京モーターショーで姿を現したのが、世界初のお披露目となる「マカン GTS」である。

マカンGTSは、265kWの最高出力と500Nmの最大トルクを発生する3リッターV6エンジンを搭載。マカンのラインナップにあって、従来からある「マカンS」(250kW)と「マカン ターボ」(294kW)のあいだに押し込まれる高性能バージョンだ。

外観的には「スポーツ デザイン パッケージ」を装着し、外板色は、ツヤのあるブラックをボディ上半分に、マットブラックを下半分に使うというスタイリッシュな仕上げが特徴的だ。くわえて、20インチのホイールと、LEDヘッドランプがすごみを効かせている。シートもGTS専用。「コンパクトSUVのなかのスポーツカー」というポルシェの表現にあるように、マカンGTSはこのシリーズが独自のポジションを築いていることの証明といえるだろう。

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Porsche Macan GTS

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フランクフルトの自動車ショーでは、「ミッションE」という電気モーターで4つの車輪を駆動する4ドアのコンセプトモデルを見せたのは記憶にあたらしい。ポルシェのマティアス・ミューラーCEO(当時)は、「ポルシェはこれからフォルクスワーゲングループのなかでもっとも先鋭的な電気自動車の開発を担当する」という方針をあきらかにした。東京モーターショーでのポルシェは現世御利益追求型の展示だったが(ファンにはたまらないだろうが)、ここで触れたように、排気量縮小など、じつは目を離せない動きがあるのだ。

ちなみに、911カレラ4は1,437万1000円、同カレラ4Sは1,712万1000円。カブリオレはそれぞれ、1,510万円、1,813万円。さらにタルガは、タルガ4が1,610万円、タルガ4Sが1,913万円となっている。すべてカレラ4およびカレラ4Sのクーペとおなじパワートレインを搭載しているモデルだ。いっぽう、マカンGTSは939万円である。

           
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