“M”の系譜を凝縮したデザイン

この「BMW 1シリーズ Mクーペ」は、初代M3のスピリットを受け継ぎ、1シリーズにエアロパーツを追加する、Mらしさを凝縮した一台だという。エクステリアについては、まずアグレッシブなフロントダンパーに目がいく。このダンパーに備えられている大きなふたつの開口部、均整のとれたフロントマスク、そして流れるようなくびれをもつアウトラインによって、エアロダイナミクスを生み出す設計になっている。これらの空力特性を生み出すデザインは「エアカーテン」と呼ばれ、市販車両においては同車が初の採用である。そのほか、LEDの眉をほどこしたバイキセノンヘッドライトや、軽量な19インチのアロイホイールなどを装備している。
外装色はアルパインホワイト、ブラックサファイアメタリック、とバレンシアオレンジメタリックの3色から選択が可能。

ボディサイズは全長4,380mm、全高が1,420mmとコンパクトだが、全幅は1,803mmと135iクーペに比べ55mm幅広である。

車内に目をうつすと、スポーツシート、ボストンレザー張りの内装、アルカンターラのトリム、M用にリファインされたインストゥルメントパネル、スポーツステアリング、オレンジのコントラストステッチなどが印象的だ。さらに、オプションでデュアルゾーンオートエアコン、ハーマン・カードンのオーディオシステム、BMW ConnectedDrive、8.8インチディスプレイを採用したGPSナビゲーションなどを選ぶことができる。

エンジンは、以前から予想されていたとおり、最高出力250kW（340ps）/5,980rpmを発生する3.0リッター直列6気筒ツインターボを搭載。最大トルクは450Nm（45.89kgm）を1,500rpmという低回転から4,500rpmまでワイドに発生し、さらにオーバーブースト時は500Nm（50.99kgm）という強力なトルクがえられる。

このエンジンは6速マニュアルトランスミッションを介して、Mクーペの1,495kgのボディを0-100km/h加速4.9秒で引っ張り、最高速度はいわずと知れたドイツの紳士協定でリミッターが介入するため、250km/hに抑えられる。これほどの高性能車であったとしても、環境性能も両立させるBMWのコンセプト「エフィシエントダイナミクス」は忘れていない。ヨーロッパでのテストドライブにおいて、燃費が9.6ℓ/100km（10.42km/ℓ）という好結果を出しており、CO2排出量は224g/kmとなっている。

強靭なブレーキ設定

BMWらしいハンドリング性能を実現させるため、強化アルミニウムをもちい、フロントアクスルにダブルピボットを採用、リアサスペンションは5リンク式とした。くわえて、後輪の回転速度のちがいに瞬時に反応して、適切なトルク配分をおこなう、可変式“Mディファレンシャルロック”も装備される。

純粋なスポーツ車ではあるが、DSC（ダイナミックスタビリティコントロール）、ABS、ASC（アンチスリップコントロール）は、DBC（ダイナミックブレーキコントロール）、CBC（コーナリングブレーキコントロール）などが装備される。もちろん、それらの装備がなくとも強力なブレーキが奢られており、ブレーキディスクはフロント360mm、リア350mmとM3とおなじ大径ディスクが採用されている。

この1シリーズMクーペ、価格は5万500ユーロ（約560万円）で、2011年1月に開幕するデトロイトモーターショーでお披露目されたあと、2011年5月からドイツ本国で販売が開始されるという。

BMW 1Series M Coupe｜ビー・エム・ダブリュー 1シリーズ Mクーペ

ボディ｜全長4,380×全幅1,803×全高1,420mm
ホイールベース｜2,660mm
エンジン｜3.0リッター 直列6気筒
最高出力｜250kW/5,900rpm
最大トルク｜450Nm/1,500-4,500rpm
燃費｜13.6ℓ/100km
CO2排出量｜224g/km
（上記データは欧州仕様に基づく）