DANESE | ダネーゼという存在。(1)
DESIGN / FEATURES
2015年11月11日

DANESE | ダネーゼという存在。(1)

DANESE|ダネーゼ

ダネーゼという存在(1)

デスクまわりの道具から、照明、家具と、バラエティにとんだ製品ラインナップを誇るイタリアのデザイン・ブランド《ダネーゼ》。今特集では、日本での《ダネーゼ》総代理店「クワノトレーディング」代表として、初期の《ダネーゼ》の貴重なヴィンテージアイテムの蒐集も続けている、桑野素弘さんが登場。2001年に新生《ダネーゼ》としてスタート以降も、独自の存在感を放ち続けている同ブランドの魅力を多角的に語ってもらった。

文=川合将人写真=加藤佳男

すごいものつくるなーと思いましたね

“cubo” | ブルーノ・ムナーリ作の灰皿。

“Colleoni” | エンツォ・マーリ作の鉛筆立て&クリップ入れ。

(どちらも現行商品にはないカラーが使われたもので、現在は大変に貴重な存在。)

――《ダネーゼ》の製品を取り扱いされるまでの経緯を教えてください。

ブランドの存在自体は洋書のデザイン年鑑なんかを読んで知っていたけれど、はじめて実物に触れたのは20年前。1988年か89年ごろじゃないかな。大阪の近鉄デパートの大リニューアルだったか、梅田にロフトができたときだと思います。

文房具売り場に、こんなものなんかが並んでて。どんな会社かは知らなかったけど、すごいものつくるなーと思いましたね。しかも当時、実家の近くに輸入元の倉庫があったんですよ。そのころから、会社勤めのかたわら地方に行ってはデザイン系の古書を集めたりしてました。

96年あたりになると、ブルーノ・ムナーリの本や《アルノルフォ・ディ・カンビオ》のグラスなどを個人輸入であつかうディーラー業みたいなことをはじめていて、都内のセレクトショップなんかに販売していました。その後、副業がばれて怒られたりしながら(笑)、2000年の7月には会社を辞めて本屋宣言をしました。

発表当時のカタログなど、貴重な資料の数々。ブルーノ・ムナーリ、エンツォ・マーリのほか、アキッレ・カスティリオーニといった、イタリア・デザイン界を代表する顔ぶれの作品が発表されていたのだ。

2001年のミラノ・サローネが転機に

新刊の卸しをはじめて、10月にドイツのディーラーやミラノの知り合いを訪ねに行ったときのことです。
ミラノで時間があって、照明メーカーのアルテミデのショールームに立ち寄ったおり、『ドムス』か『カーサ・ブルータス』かを読んで、《ダネーゼ》が《アルテミデ》の傘下に入っていたことを知っていたので、いまどんな状態にあるのか聞いてみたんです。
そしたら《ダネーゼ》の輸出担当者の人を紹介されて。すぐに扱いたいって話をもちかけたら、ちょうど日本での販売は宙に浮いた状態だったらしくて、《カッシーナ・インターデコール》、いまの《カッシーナ・イクスシー》ですね、が取り扱い開始するまでの3ヵ月間限定という条件なら、ということで契約できたんです。

帰ってからさっそく動いたら、結構なボリュームで注文が来て、そこそこ売れたんです。それで2001年の4月にミラノ・サローネのときに《ダネーゼ》に行って社長やマネージャーと話したら、目標金額を設定する形で取りあつかいを
延長できた。その目標をクリアしたから、カッシーナとは契約しなかったんですね。その後当時あったカッシーナの在庫を全部引き取って、2002年に本契約を結びました。

次回に続く

PROFILE
桑野素弘

《ダネーゼ》製品の日本におけるインポーターであるクワノトレーディングの代表を務める。 輸入卸業を営むかたわら、デザイン専門古書店「パージナ」の店主も兼ねる。 今年2月にピエ・ブックスよりイタリアの50~70年代のグラフィック・デザインをまとめた『イタリア モダン デザイン グラフィックの巨匠たち』を上梓した。

ダネーゼの商品のお問い合わせ
(有)クワノトレーディング
Tel. 03-5825-3053
http://www.kuwano-trading.com/

           
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