MOVIE|世界が絶賛したドイツ映画界の新鋭デビュー作『コーヒーをめぐる冒険』
MOVIE|世界が絶賛したドイツ映画界の新鋭ヤン・オーレ・ゲルスター監督のデビュー作
青年の不思議な1日を描く『コーヒーをめぐる冒険』
朝、1杯のコーヒーを飲み損ねた青年の不思議な1日を、新人監督ヤン・オーレ・ゲルスター監督が描いた『コーヒーをめぐる冒険』。3月1日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムなど全国順次公開される。
Text by YANAKA Tomomi
20人以上の個性豊かなドイツの名優たちが集結!
大学を中退し、“人生一時停止中”の青年ニコがさまざまな人と出会い、奇妙な体験の数々をとおして、人生を見つめる『コーヒーをめぐる冒険』。本作が長編デビュー作となり、“ドイツ映画の救世主”と評され、一躍スターダムを駆け上がったのがヤン・オーレ・ゲルスター監督だ。
映画学校「ドイツ映画テレビ・アカデミー(DFFB)」の卒業作品として発表され、本国ドイツをはじめ、海外でヒットを飛ばし、ドイツ版アカデミー賞で作品賞や監督賞を受賞した本作。世界が注目する新鋭の作品がいよいよ日本で公開される。
ドイツで高い人気を誇るトム・シリングが、等身大の青年ニコを演じきった。そして、ニコの人生に句読点を与える、ちょっと変な人たちを演じるため、20人以上もの個性豊かなドイツの名優たちが集結。物語を彩っている。
またモノクロのシャープな映像とらえられたベルリンの街も本作の重要なキャラクター。アートと歴史、過去と現在が溶け合った幻想的で美しいベルリンとともに、全編に流れるジャズにも注目してみたい。
ひと癖ある人たちがニコの前に次々あらわれ──
2年前に大学を辞めてから、ベルリンでただ“考える”日々を送っているニコ。恋人の部屋でコーヒーを飲み損ね、そこからついていない1日が幕を開けた。
クルマの免許は停止になり、銀行のキャッシュカードはATMに吸い込まれ、アパートの上階に住むオヤジに絡まれる。親友マッツェと街に繰り出せば、ダイエットに成功してまるで別人の元同級生ユリカ、クサい芝居の売れっ子俳優ら、ひと癖ある人たちが次々にあらわれるのだ。さらに退学が父親にばれ、ユリカに誘惑され、行く先々でコーヒーを飲み損ね……。
誰にでも身に覚えのある、なにをすればよいのかわからない不安な時期と、そこから抜け出す瞬間が、ユーモアにアイロニーをピリッと効かせたタッチで繊細に描かれた本作。少し苦いけれど心まで温めてくれる、1杯のコーヒーのような物語だ。
『コーヒーをめぐる冒険』
3月1日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムなど全国順次公開
監督・脚本│ヤン・オーレ・ゲルスター
出演│トム・シリング、フリデリーケ・ケンプター、マルク・ホーゼマン、カタリーナ・シュットラー
配給│セテラ・インターナショナル
2012年/ドイツ/85分/原題『OH BOY』
http://www.cetera.co.jp/coffee/
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