松浦俊夫｜圧倒的な歌唱力とパフォーマンスで世界を虜にするシンガー、ブイカ

松浦俊夫｜from TOKYO MOON 7月21日オンエア

世界を虜にするシンガー、ブイカ

DJ松浦俊夫による、大人のための音楽番組『TOKYO MOON』。日曜の夜23:30から、InterFM 76.1MHzにてオンエア中です。世界中から選りすぐった“フレッシュ”な音楽や、大人の知的好奇心を刺激するトピックスをご紹介。ここではオンエアされたばかりの内容を振り返ります。アーティストについて深く掘り下げたり、関連した楽曲を紹介したり、さらにはその曲が購入できたりと、『TOKYO MOON』を目と耳で楽しむ連載です。今週は2005年にソロとして本格デビューを果たしたシンガー、コンチャ・ブイカをフィーチャーしてお届けします。

Text by MATSUURA Toshio

圧倒的な歌唱力とパフォーマンス！

今回はこの暑い夏をクールダウンさせてくれる私の大好きなアーティストを紹介します。地中海に浮かぶスペイン、バレアレス諸島のマリョルカ島出身の女性シンガー、コンチャ・ブイカ。『長い夜』と名付けられた5作品目となるニュー・アルバムは、いつもにも増してジャズの薫りを深く漂わせていました。

アフリカのギニアの血を引くアフロ・スパニュッシュのブイカは、幼いころから近所のヒターノ（ジプシー）たちの歌を聴いて育ち、歌手に憧れをもったそうです。その環境が悲恋の苦しみや、人生の絶望などの深い嘆きの心情を吐露するカンテ･ホンドと呼ばれる本物のフラメンコの歌唱に大きく影響を与え、2005年にソロとして本格的にデビューする以前は、R&Bやソウルも歌っていたこともあり、多様な文化と音楽が渾然一体となった彼女独自の世界を生み出しました。

Buika / La Falsa Moneda from the 3rd Album 『Niña De Fuego ‎』

さらにニューヨークのラテン・ジャズを代表するミュージシャン、ジェリー・ゴンザレス、キューバのラテン・ジャズのスーパー・バンド、イラケレのピアニストであるチューチョ・ヴァルデス、そして最新作でのパット・メセニーといった実力派との共演によって、彼女の音楽世界は広がりつづけています。

ジャズやソウルの要素が入ったオルタナティヴな音、フラメンコ独特のハスキー・ボイスによる圧倒的な歌唱力と豊かな感情表現は、世界中のリスナーを虜にしています。私もそのひとりです。残念ながら日本では3作目のみのリリースですが、輸入盤やiTunesでほぼすべての作品を入手することができますので、気になった方はぜひ聴いてみてください。