Mutant Vinyl HardcoreとMEDICOM TOY LIFE Entertainmentの新コラボレーション|MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2019年3月24日

Mutant Vinyl HardcoreとMEDICOM TOY LIFE Entertainmentの新コラボレーション|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

MVH代表リッチ・モンタナリ・ジュニア
(Rich Montanari Jr.)氏に聞く(1)

世界中のトイコレクターから熱い支持を受けているアメリカのソフビアーティスト、Mutant Vinyl HardcoreとMEDICOM TOYのコラボレーションで、MVHのメインキャラクターをデザインしたソフビトイやTシャツ、ラグマットなどが新登場。これを記念して、MVH代表のリッチ・モンタナリ・ジュニア(Rich Montanari Jr.)氏にこれまでのキャリアに関する質問も含めたメールインタビューを行なった。

Text by SHINNO Kunihiko

〜ハードコアファンがビニールのミュータントを紹介します〜

――あなたが住んでいるニューヘイブンはどんなところですか?

Rich Montanari Jr. ニューヘイブンはアメリカ合衆国北東部にあるコネチカット州の小さな町です。イェール大学のキャンパスを構える学術都市として有名です。

――いつ頃からトイ・カルチャーに興味があったんですか?

Rich Montanari Jr. 物心がついた頃から私の人生には常にトイの存在がありました。おもちゃを通してアートトイに興味を持ち始めて、今となっては”トイのために生きている人生”と言っても過言ではないですね。

――ジャンルを問わず、影響を受けたアーティストを教えてください。

Rich Montanari Jr. 映画、ミュージック、アートなどあらゆるジャンルのポップカルチャーから何かしらの影響を受けてきたので一人を選ぶのは難しいですが、トイに関してはKAWSだと思います。15年前、まだ彼がポップカルチャーにおいて今ほど有名ではない頃に彼の作品と出合いましたが、今では世界的なアーティストとして成功していますよね。誰かの通って来た道を辿ることができるとしたら、彼を選ぶと思います。

――日本のソフビ(Soft vinyl toys)とはどういうきっかけで出合ったんですか?

Rich Montanari Jr. 正確には覚えていませんが、ニューヨークに行った時、Toy Tokyoというお店にBounty Hunter Toysのトイが飾られているのを見たのをきっかけにソフビに興味を持つようになりました。それ以降は日本のトイにとても関心があります。BEMONのソフビが特に好きです。

――日本の特撮、コミック、アニメに興味はありますか?

Rich Montanari Jr. 子供の頃からコミックやアニメが好きです。9歳の時、通っていた地元のアートクラスの学期最終日、『AKIRA』の日本語吹き替え版のビデオを見ました。その当時、アニメをあまり見たことがなかったので、とてもカッコよくて衝撃的だったのを覚えています。それからは、かわいいものからバイオレントなものまでいろいろなアニメを見るようになりました。漫画だったらホラー作家日野日出志先生の作品を読んでいます。

――アーティストとしてソフビを作りはじめたのはいつからですか?

Rich Montanari Jr. 約10年前です。最初は個人的に集めていたソフビの塗装を剥がし、自分でリペイントしたりカスタムをしていました。でも周りから、それはアーティストに対して失礼だと言われたことがあったんです。その言葉がきっかけとなり、自分自身もアーティストとしてオリジナルのソフビを作るようになりました。日本に住んでいる友達のRicky Wilsonが工場を紹介してくれたり、製作するにあたってありがたい環境もありました。

――MUTANT VINYL HARDCORE(MVH)という名前に込めた思いを教えてください。

Rich Montanari Jr. 数年に渡ってソフビを集めているうちに日本のREAL x HEADと代表の森さんの大ファンになり、自分のソフビコレクションについてブログを書き始めたのですが、そのブログのタイトルが「Mutant Vinyl Hardcore」でした。「HardcoreなファンがVinyl製のMutant(突然変異体)を紹介します」──このフレーズがとても気に入っていたので、自分のトイを作り始める時にブランド名としてそのまま使うことにしました。

――日本でのデビューは2011年9月、メディコム・トイから発売された「OLLIE」でした。

Rich Montanari Jr. アーティストとしてのデビュー時に手を貸してくれた友人がメディコム・トイバーションの「OLLIE」を企画した時にも色々と手伝ってくれました。トイメーカーとして、自分に将来があると感じさせてくれた瞬間でした。

――それまでメディコム・トイのことはご存じでしたか?

Rich Montanari Jr. もちろん、よく知っていましたよ。作っているトイもハイクオリティですし、私の中で彼らはトイメーカーのトップにいるという印象がありました。さらにはKAWSやBounty Hunterなど私個人が憧れを抱いているアーティストたちともコラボレーションしていたこともあり、とても注目していました。

――「OLLIE」は全高約335mmの巨大なひとつ目の鬼というインパクトのある作品でした。

OLLIE

OLLIE 2011年9月発売
1万3800円(税込)
© M.V.H

Rich Montanari Jr. 正確には「OLLIE」は二番目の作品にあたります。デビュー作はもっと小さくてシンプルな2ピースのみでデザインされた「Sludge Demon」でしたが、「OLLIE」が作られる過程で「Sludge Demon」の製作から学んだことが、とても重要な経験として活かせたと思います。もともとの予定では「OLLIE」をそんなに大きくするつもりはなかったんです。その頃はほぼ造形の経験がなかったので、私が練習として「Sludge Demon」を製作している間に、日本に住んでいる友人に協力をお願いして、「OLLIE」の製作を始めました。

「Sludge Demon」の製作がひと通り終わった時点ではまだ「OLLIE」完成とは程遠い状態でした。「Sludge Demon」を商品化するためにサンプルを日本に送ったタイミングで、製作途中の「OLLIE」を送ってもらったのですが、見た瞬間サイズの違いにとても驚いたことを覚えています。ボディ、腕、頭などに修正を加えたりして、完成時には当初の原型からずいぶん変わっていましたね。実際に製作していくうちに「OLLIE」くらいのビッグサイズの方がいいな、と思っていました。

――あなたの作品からは異形のもの、怖いものへの敬意が感じられます。

Rich Montanari Jr. 9歳か10歳くらいの頃から、ポップカルチャーテイストを感じるファンタジーやホラーに興味を持つようになりました。特に野蛮なコミックやモンスター映画、ホラー映画が大好きでした。それらから受けた影響が私の中に感覚として残っているので、私が作るトイにはその美意識が表れているんだと思います。もちろん度が過ぎないように意識していますが。

Page02. ディスプレイ用のケースの外でも好きなものを見せたい

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

MVH代表リッチ・モンタナリ・ジュニア
(Rich Montanari Jr.)氏に聞く(2)

ディスプレイ用のケースの外でも好きなものを見せたい

――その後もメディコム・トイから「Berserker」「TOXIGON」などが発売されました。発売作品、カラーリングの指定などメディコム・トイとのやりとりで感じたことを教えてください。

Rich Montanari Jr. メディコム・トイはアーティストにアートワークを任せてくれるのでとてもやりがいを感じさせてくれます。カラーリングも全て私に任せてくれました。

彼らはアーティストの魅力を100%引き出すためには、アーティストに自由を与えることが必要だと分かってくれている気がします。「Berserker」「TOXIGON」を製作した時のやりとりも、楽しみながらスムーズに進めることができました。

TOXIGON

Berserker 2014年7月発売。2万2000円(税別)。© M.V.H

TOXIGON

TOXIGON 2014年10月発売。2万円(税別)。© M.V.H

――「OLLIE」は昨年9月、VAG(VINYL ARTIST GACHA) でも発売されました。カプセルトイという大人から子供にも手に入れやすいかたちでミニフィギュア化された感想はいかがですか?

VAG OLLIE

VAG OLLIE

VAG OLLIE

VAG OLLIE

VAG OLLIE

VAG OLLIE 2018年9月発売。各463円(税別)。© M.V.H

Rich Montanari Jr. メディコム・トイのおかげで、もともと高価で手の届きにくい作品を、ファンの方たちが安価で手に入れ易い商品にすることができました。VAGで遊んでいる人、外出先へ一緒に連れて行ってくれている人、さらに他のMVHトイと組み合わせている人を見つけると、とても楽しいです。自分の作った作品が、ミニバージョンと一緒にいるところを見るとワクワクします。

――MUTANT VINYL HARDCOREのメインキャラクター「LASH」について教えてください。

Rich Montanari Jr. トイメーカーになる前から悪魔の頭部をロゴとして使っていました。モンスター・ホラー映画からたくさんの影響を受けて育ったので、そういう見た目が好きなんです。私らしくて、とてもクールだと思っています。ただ、最初はこのキャラクターに名前を付けていませんでした。アーティスト活動を始め、自分の名刺にこのキャラクターを使っていたのですが、メディコム・トイとこのキャラクターを商品化する話が挙がった時、初めて「LASH」という名前を付けました。その時のフィーリングで、「LASH」という名前がフィットすると思いました。

――「VCD LASH」として立体化された感想をお聞かせください。分かる人には分かるポーズなど、これまでのあなたの作品とひと味違ったユーモラスな仕上がりになりましたね。

Rich Montanari Jr. MVHはモンスタートイを作って有名になりましたが、それらはマスマーケット向けではなくニッチなコレクター向けだったので、よりたくさんの人にコレクションしてもらうために新たな挑戦をしてみたくなったんです。そこで過去にヒットしたアートトイを作ったアーティストについて調べてみたところ、再び「KAWS」と彼の代表作であるCompanionの名前が挙がりました。

KAWSのCompanionはミッキーマウスにインスパイアされた作品です。私も彼のようにポップカルチャーのキャラクターをベースにした作品を作ってみたいという気持ちがあったので、幼い頃から大好きなキャラクター「Felix the Cat」を選びました。これはKAWSへのオマージュであり、アイコニックキャラクターへのオマージュでもあります。私のキャラクターがネコ、KAWSのキャラクターはネズミというのもちょっと面白いですね。

――オリジナルキャラクター「LIXX」について。これは「LASH」とよく似ていますが、どういう違いがあるのでしょうか?

Rich Montanari Jr. 「LASH」と正式に名前がつくまでは「LIXX」と呼んでいました。とても似ているので分かりづらいかと思いますが、「LASH」のひとつ前のバージョンが「LIXX」です。見分ける時のポイントは、「LIXX」の背中にはスパイクがあって、「LASH」にはありません。

――今回「LIXX」がTシャツやマットになって発売されます。これらの展開についてメディコム・トイとどのような話をしたのでしょうか? 商品の感想も教えてください。

Rich Montanari Jr. Mutant Vinyl Hardcoreはトイだけでなく、ライフスタイルブランドにしていこうとここ数年で決めていました。私みたいにトイに囲まれて生活しているコレクターはたくさんいると思います。フィギュアをディスプレイする以外でも自分の好きなものに囲まれたいという気持ちはみんなにあるはずなので、まずはTシャツやラグマットを作ってみました。新しいことへのチャレンジは時に失敗することもありますが、何事もやってみないと分からないですよね。これまでだって何度も失敗してきましたが、新しい作品を作る際、過去の失敗が何かしらのステップとして活かされています。

今回の新商品MEDICOMTOY LIFE ENTERTAINMENTシリーズ「LASH」のアイテムを多くの皆さんに気に入ってもらえることを祈っていますが、もしダメだったとしても今回の失敗をステップにして、次こそは皆さんに気に入ってもらえるアイテムを作ります。私とメディコム・トイに共通しているのはファンの方たちを愛していて、彼らがハッピーになれるものを提供したいと思っているところですからね。

――メディコム・トイという会社の魅力はどういうところにあると思いますか?

Rich Montanari Jr. 彼ら自身、彼らの作り出す商品が大好きだというところです。良いものを作るために時間をかけ、アーティストのサポートに尽力する。そういった考え方や価値観が私とよく似ているので、何をやってもうまくいきます。既に何年も一緒に仕事していますが、いまだに彼らがどのようにしたらベストなものを作れるかということにフォーカスして進めていく姿に発奮させられますし、勉強になります。

――今後のMVHの展開についてお話しできることがあればお願いします。

Rich Montanari Jr. いまは私の得意分野であるインデペンデントトイをメインとして作っていますが、今後に向けて新たなプロジェクトがいくつか同時に動いています。次にリリースするものはまだ発表はできませんが、気になる方はインスタグラムをフォロー&チェックしてください(@mutantvinylhardcore)。2番目のブランド「Death’s」にも力を入れていて、新しいフィギュアも製作中です。

――最後にメディコム・トイとやってみたいことがあれば、お聞かせください。

Rich Montanari Jr. 赤司さんと、彼のメディコム・トイチームにお任せしていれば間違いないでしょうね。新しいトイはもちろん、LASHの新色バージョンなどのアイデアもあります。新作BE@RBRICK2種類のデザインも現在考案中です。


NEW PRODUCTS

VCD LASH

VCD LASH
MUTANT VINYL HARDCOREのメインキャラクター「LASH」がソフビトイとして初立体化。全高約190mm。FABRICK取り扱い店舗及びメディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店にて2019年3月発売予定・1万9440円(税込)。


TEE

TEE

TEE "LASH"
S/M/L/XLの4サイズ展開(Sサイズ:着丈65cm/身巾49cm/袖丈19cm。Mサイズ:着丈69cm/身巾52cm/袖丈20cm。Lサイズ:着丈73cm/身巾55cm/袖丈22cm。XLサイズ:着丈77cm/身巾58cm/袖丈24cm)。素材:COTTON 100%。カラー:WHITE/BLACK。FABRICK取り扱い店舗及びメディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店にて2019年3月発売予定・4860円。


PLUSH CUSHION

PLUSH CUSHION "LASH"
サイズ:W400mm×H500mm。素材:COTTON 100%。FABRICK取り扱い店舗及びメディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店にて2019年3月発売予定・6480円(税込)。


RUG MAT

RUG MAT "LASH"
サイズ:φ700mm。素材:ACRYLIC 100%。FABRICK取り扱い店舗及びメディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店にて2019年3月発売予定・1万4040円(税込)。


PINS

PINS "LASH"
サイズ:W32mm×H40mm。素材:BRASS。FABRICK取り扱い店舗及びメディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店にて2019年3月発売予定・1080円(税込)。

※いずれも数量限定販売となります。品切れの場合はご容赦ください。
©️ MUTANT VINYL HARDCORE

問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート

Tel.03-3460-7555

           
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