Panasonic|ミラノサローネ2013にて建築家の平田晃久氏とともに“エネルギーの情景”を表現
DESIGN / FEATURES
2015年4月20日

Panasonic|ミラノサローネ2013にて建築家の平田晃久氏とともに“エネルギーの情景”を表現

Panasonic|パナソニック

コンセプトは「Energetic Energies」

建築家、平田晃久氏とともに“エネルギーの情景”を表現

太陽光パネルによる「創エネ」、蓄電池による「蓄エネ」、LED照明による「省エネ」、そしてそれらをコントロールするエネルギーマネジメントをあらたな形で都市にインストールした“エネルギーの情景”を提案──パナソニックは昨年とおなじ会場のミラノ大学内インテルニ会場で、「Energetic Energies / エネルギーの情景」をコンセプトとしたインスタレーション展示をおこなっている。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by Satoshi Shigeta

閉じて広がる」と解説

4月9日に開幕したミラノサローネ2013。現地からは、「今回の展示は、発電効率だけを考えて画一的に太陽光パネルが配備された無機質な世界ではなく、太陽光パネルが植物のように立体的に配備され、人工物と自然が違和感なく融合し、生命力に満ち溢れる未来の都市の情景を表現しました。来場者の想像力のスイッチをオンにしているイメージです」とのリポートが寄せられた。

昨年はミラノサローネ期間中、約3万3000人(パナソニック調べ)が訪れたパナソニックのインスタレーション展示。6年目となる今回は、昨年とおなじく建築家の平田晃久氏による会場構成で、「Energetic Energies / エネルギーの情景」をコンセプトに出展している。

今回の展示について平田氏は、「閉じて広がる」と表現。「今回は屋内という閉じた空間に、小さなスケールでの表現だが、表現している内容はもっと大きな都市の広がりになっている。昨年のPhotosynthesisの展示との対比をつくりつつ、コンセプトを継承しています」と語る。

長さ30メートルにおよぶ都市のミニチュア

会場のミラノ大学のメインエントランスを入って右側の柱廊、会場のメインプレゼンテーションは、長さ30メートルにおよぶ都市のミニチュアだ。約6000枚の太陽光パネルが、ビル群を覆うように散りばめられて、人工物である都市に丘を作り出している。その丘の上には、自然の地形の上を動くのとおなじように雲の影がゆっくりと通り過ぎていき、都市に住むひとが忘れがちな空との関係を想起させる。16台のプロジェクターと、点在するスピーカーから流れる音響によって、ダイナミックな自然の動きを表現。来場者は、丘を通り抜けながら、都市と自然が融合したあたらしい姿を体感できる。

太陽光パネルについて平田氏は、「近い将来、都市の屋上は太陽光パネルにを覆われる可能性が高いと思います。太陽光パネルは我々の住んでいる街の風景を作っていく。そんななか、どのような風景になるかということをパナソニックのような大きな企業と考えていくことに意味があると思う。機械的な配列のものだけでなく、“風景を作っていく要素”として、こういう考え方があるんだということを、来場者に気づいてもらえたら。太陽光パネルを見る視点が変わり、頭のなかの想像がオンになるでしょう」

また、平田氏が太陽光パネルをおもしろいと思う理由をきくと、「太陽光パネルは自分たちの暮らしに身近なものであると同時に、天候に影響を受けるもの。空や気象など、太陽のかかわりを考えると、少なくとも太陽系まで想像力を喚起させるはずです。もっともプリミティブな空や自然との関係を、最先端のテクノロジーを通して取り戻すようなところがある。今回は、会場で雲の関係、自然の変化やリズムのようなものと反応しあっていることを、空間としてみせたいと思いました」との説明が。

PANASONIC|ミラノサローネ2013 02

PANASONIC|ミラノサローネ2013 04

「製品」「アート」「教育」を融合した活動も

さらに、ミニチュアの世界を通り抜けると、鏡の空間が出現。メインプレゼンテーションで表現された「太陽光パネル」をはじめ「蓄電システム」「LED照明」「HEMS」など、エネルギーマネジメントを構成するパナソニックの商品によるインスタレーションが楽しめる。

LED照明は、「パネルミナ」と「シンクロ調色」のパナソニック独自の技術をもとにミ、ラノのデザイナーとコラボレートした4種類のシャンデリアが登場。光が幾重にも重なり合う、幻想的な鏡の空間で、LED照明の光の多様性を感じることができる。

また今回は、パナソニックの社会文化活動の一環として、ミラノサローネでのインスタレーション展示に合わせ、「製品」「アート」「教育」を融合した活動として、ミラノの小学校で「あかりのエコ教室」の開催を予定している。授業では、白熱灯、蛍光灯、LEDの3種類の光源(ランプ)を使い、光るしくみや、手回し発電の実験を通して、省エネについて「発見・気づき」を体験、LEDの行灯(あんどん)工作を通じ て、モノづくりの楽しさも伝えてい。

“創・蓄・省エネ”をベースに、LED商品の拡大と、光のデザイン性の追求、そして、あかり文化の啓発など、大きなテーマに挑むパナソニックに注目したい。

PANASONIC|ミラノサローネ2013 05

展示コンセプト|Energetic Energies
会期|2013年4月9日(火)~14日(日) 9:00~24:00
会場|INTERNI:HYBRID ARCHITECTURE & DESIGN
Università degli Studi di Milano:Portico Richini
ミラノ大学内 ポルティコ・リキー二
(via Festa del Perdono, 7 - Milano)
会場構成|平田晃久氏(平田晃久建築設計事務所)
出展製品|太陽光パネル、蓄電システム、HEMS、LED電球クリアタイプ、LEDシャンデリア
ミラノサローネ特設サイト
http://panasonic.net/milanosalone

問い合わせ
お客様ご相談センター
0120-878-365(受付 9:00~20:00)

平田晃久|HIRATA Akihisa
建築家。1971年大阪生まれ。1997年、京都大学大学院工学研究科修了。伊東豊雄建築設計事務所を経て、2005年に平田晃久建築設計事務所を設立。 2008年、<桝屋本店>でJIA新人賞、2009年、「animated knot」でELLE DECO Young Japanese Design Talent、2012年、ミラノサローネのパナソニックの会場デザインにてElita賞、共同出展した「第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展」日本館展示にて金獅子賞、釜石市災害復興住宅公営住宅・こども園プロポーザルにて最優秀賞など受賞多数。

2012年秋には、ロンドンにて個展「Tangling」を開催。建築を、生命の営みに寄り添い、周辺環境に連鎖し、秩序を織りなす<からまりしろ>と捉え、人間の身体感覚に生き生きと働きかける建築を目指し、現代日本の建築を牽引する若手の一人として国内外で活躍。著書に、『現代建築家コンセプト・シリーズ8:平田晃久 建築とは<からまりしろ>をつくることである』(INAX出版、2011年)、などがある。

           
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