ジュネーブ現地リポート|Audi
CAR / MOTOR SHOW
2014年12月5日

ジュネーブ現地リポート|Audi

Audi|アウディ

懐深きアウディの技術力

「S」や「RS」など、ハイパワーで高性能なモデルをラインナップする一方、「e-tron」に代表されるハイブリッドモデルの研究、開発にもとても熱心なアウディ。今回さらに、ガソリンと天然ガスのどちらも燃料に使用できる「g-tron」というモデルも公開するなど、その技術力の懐の深さを見せつけた。アウディが見据えている未来はどんなものなのか。現地でそれらを直接見た大谷達也氏の見解。

Text by OTANI Tatsuya
Photographs by MOCHIZUKI Hirohiko & Audi A.G.

いかにも最近のアウディらしい

フォルクスワーゲンとアライアンスを組むアウディのブースにも完全なニューモデルや派手なコンセプトカーはなく、展示は既存モデルのバリエーション追加が中心。省燃費モデルとハイパフォーマンスモデルを組みあわせた点もフォルクスワーゲンとよく似ていた。

アウディブースのステージに展示された3台のうちの1台が「RS Q3」だ。昨年の北京ショー登場したコンセプトモデルの量産仕様で、直列5気筒 2.5リッターエンジンは最高出力310psを発揮。

実は、今年はRS Q3以外にも「RS5カブリオレ」「RS6アバント」「RS7スポーツバック」などの発売が決まっているため、RSモデルはかつてないほど充実したラインナップになるという。

同シリーズにたいするアウディの意気込みが伝わってくるエピソードだ。なお、すでに発表済みのRS5カブリオレ、RS7スポーツバック、RS6アバントは今回ステージを飾ることなく“平地”での展示に留まった。

では、アウディでスポットライトを浴びた残る2台が何だったかといえば、1台はガソリンと天然ガスのバイフューエルモデルである「A3スポーツバック g-tron」。そして残る1台は新開発のプラグインハイブリッドシステムを搭載する「A3スポーツバック e-tron」だった。

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

Audi A3 Sportback g-tron|アウディ A3 スポーツバック gトロン

このうち、A3 スポーツバック g-tronはアウディ独自のプログラムであるe-gasプロジェクトを利用できる点が目新しい。これは昨年開催された「アウディフューチャーラボ」にて発表されたもので、風力発電の余剰電力によってCNGを生成するため、基本的にCO2ニュートラルな燃料とされる。

ただし、A3 g-tronのユーザーはe-gasプロジェクトで生み出されたCNGを直接購入するのではなく、ドイツなどで身近な存在になっている街のCNGスタンドでガスを補給。その際、e-gasプロジェクトの利用を申し出ることで、実質的にe-gasを購入した形を取る。日本のグリーン電力とよく似た形態と考えればわかりやすい。A3 g-tronの基本構成などは昨年、発表された時点からの変更はない。ヨーロッパでは年内に発売されるという。

Audi A3 Sportback e-tron|アウディ A3 スポーツバック eトロン

Audi A3 Sportback e-tron|アウディ A3 スポーツバック eトロン

Audi A3 Sportback e-tron|アウディ A3 スポーツバック eトロン

Audi A3 Sportback e-tron|アウディ A3 スポーツバック eトロン

A3スポーツバック e-tronに搭載のハイブリッドシステムは、前述のアウディフューチャーラボで公開されたデュアルモードハイブリッドとも別物だった。2基のモーターを利用するデュアルモードハイブリッドは基本的にシリアルハイブリッドとして機能するが、こちらはモーター1基のパラレルハイブリッド。このため、デュアルモードハイブリッドにはなかった変速機“6段 Sトロニック”が搭載されている。専用の開発が施された1.4TFSIは150psと250Nmを発揮。

いっぽう電気モーターは75kw(約102ps)と330Nmを生み出す。なお、外部電源で充電可能なリチウムイオンバッテリーの容量は8.8kWhで、純粋なEVモードでも130km/hの最高速度と50kmの航続距離を実現する。

ハードウェア的な完成度は極めて高いと想像されるA3 e-tronだが、現状では発売時期などは公表されておらず、シングルフレームグリルのデザインから見ても現状ではコンセプトモデルに留まっているようだ。

RSモデルとエコロジーモデルの組み合わせはいかにも最近のアウディらしいが、フォルクスワーゲン同様、現実的で手堅い戦略であることも確か。この辺にもヨーロッパ経済危機の影響は表れているのかもしれない。

car_brand_top

exclusive_auto_collection
openers_car_top

           
Photo Gallery