パサートに追加されたハイパフォーマンスモデルに試乗|Volkswagen
CAR / IMPRESSION
2016年11月23日

パサートに追加されたハイパフォーマンスモデルに試乗|Volkswagen

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat Variant 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント 2.0TSI R-line

パサートに追加されたハイパフォーマンスモデルに試乗

ライバルに真っ向から勝負できる実力の持ち主

2015年にフルモデルチェンジを受けて8代目へと進化したフォルクスワーゲンのミドルサイズモデル、「パサート」および「パサート ヴァリアント」。これまで、いわゆるダウンサイジングコンセプトによる1.4リッター ターボ搭載モデルが中心だったが、新たに「ゴルフ GTI」と同様の2リッター ターボを与えられた「2.0TSI R-line」が追加。さっそく試乗した。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

従来のパサートとは明らかに違う

フォルクスワーゲン「パサート」に「ゴルフ GTI」の2リッターエンジンを移植した「パサート 2.0TSI R-line」が設定されて、2016年9月より発売開始された。従来パサートといえば余裕あるサイズのボディを1.4リッターという比較的コンパクトなエンジンで走らせてきた。いわゆるダウンサイジングの旗手ともいえる存在だった。そこに追加されたパサート2.0TSI R-lineは、出力は110kW(150ps)に対して162kW(220ps)とだいぶパワフル。かつ19インチタイヤにエアロパーツでスポーティ性が強調されている。

パサート 2.0TSI R-lineは従来のパサート TSI(1.4リッターモデル)と明らかに違うモデルだ。なにしろ約600ccの排気量アップの2リッターエンジンは、スポーティなゴルフ GTI用。先にふれたとおり最高出力は162kW(220ps)/4,500-6,200rpm、最大トルクは350Nm/1,500-4,400rpmだ。ツインクラッチタイプの6段DSG変速機を介して前輪を駆動する。

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

排気量拡大だけでなく、同時にR-lineというスポーティな装いをまとっているのもこのパサートの特徴だ。ボディタイプはセダンとヴァリアント(ステーションワゴン)の2タイプ。ともに専用の前後バンパー、サイドスカート、ヴァリアントはリアスポイラー、19インチのリム径を持つアルミホイールが装着されている。内装もスポーティな仕上げで、ナパレザー張りスポーツシート、アルミ調ペダルクラスター、革巻きのマルチファンクショナル ステアリングホイールなどの専用装備が備わる。

「従来の1.4リッターモデルでも十分によく走ると思うのですが ―― 」。そう語るのは、現地法人のフォルクスワーゲングループジャパンの広報担当者だ。

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

「新しいお客さまの中には(全長4.8メートル近い)この車体に1.4リッターでちゃんと走るのだろうかという疑問を持つ方がいらっしゃるようです。乗れば納得していただけると思うのですが、なにはともあれパサートに興味を持っていただくための間口を広げてほしいという販売店からの要望もあり2.0TSI R-lineの導入に踏みきりました」

たしかに1.4リッターでも十分な走りを味わわせてくれるのがパサートである。そこにあって2.0TSI R-lineは、しかしながら、まったく違う存在感を示したのである。

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat Variant 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント 2.0TSI R-line

パサートに追加されたハイパフォーマンスモデルに試乗

ライバルに真っ向から勝負できる実力の持ち主 (2)

エンジンは活発でハンドリングも俊敏

パサート 2.0TSI R-lineは従来のパサート TSIとどこが違うか。フォルクスワーゲングループジャパンでは「Rシリーズの流れを受け継ぐモデル」とスポーティさを強調する。Rとはご存知のように日本ではゴルフに設定されている高性能モデル。ただゴルフのキャラクターをそのままパサートにあてはめて先入観を持ってしまうのは、パサート 2.0TSI R-lineにとっていいことかどうか。僕には疑わしく思える。

パサート 2.0TSI R-lineは一言でいうと、かなりいい出来だ。エンジンは活発で、ハンドリングも俊敏。走る楽しさを味わわせてくれるセダン(ステーションワゴンもあるが)としては他のドイツメーカーが手がけるライバルに真っ向から勝負できる力量を持っているといえる。

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

エンジンはごく低回転域からもりもりとトルクを出すため出足はかなりよい。そのままアクセルペダルを強めに踏み込むとぐいぐいと加速していく感じは、1.4リッター車とは明らかに異なっている。回転が3,000rpmを超えたあたりからエンジン排気音が変わり、高周波のいい感じになってヤル気を高めてくれるのだ。

いっぽうでステアリングホイールは中立付近を含めて反応が上がっているように思える。操舵感は1.4リッターより軽めになっているのが最初に気づくことで、走り出すと車体の反応速度が上がっているように感じる。ここでも1.4リッターのやや弱点と僕が思っていた部分をきちんとカバーしてくれているのだ。細めのグリップ径を持つステアリングホイールはフラットボトムのスポーティな形状に加え、しっとりと手のひらに吸いつくような革の感触が素晴らしく上級感がしっかりある。

ひょっとしたらベスト パサート?と思える点はほかにもある。

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat Variant 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント 2.0TSI R-line

パサートに追加されたハイパフォーマンスモデルに試乗

ライバルに真っ向から勝負できる実力の持ち主 (3)

先進的安全装備も充実

パサート 2.0TSI R-lineの独自のキャラクターの大きな部分がエンジンによっているとしたら、それをうまく補佐してさらに魅力を高めてくれるのがDCCとフォルクスワーゲンが呼ぶアダプティブ シャシー コントロールといってもいい。「エコ」「コンフォート」「スポーツ」とダンパーの減衰力を切り替えられるシステムである。トルクバンドが太いうえに、上まで回す楽しさがあるエンジンを駆使してワインディングロードを走ろうというときはスポーツモードが楽しみを倍加してくれる。

コンフォートだと乗り心地は快適で、室内騒音のレベルは低い。パサートの持つ美点はしっかり継承されている。なのでパサートが潜在的に持つ2つの側面をフルに味わえるモデルだといえる。外観的にはクロームのグリルに、エレガントさと適度なスポーツさがバランスされたスタイリングも高級感を醸し出している。要するに現代のセダンに求められる要件をきちんとクリアしているのだ。

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

室内は広くてクリーンな造型が特徴だ。2,790mmのロングホイールベースと前輪駆動というメカニカルレイアウトを活かして、後席空間もかなり広い。社用車としても使えるほどだが、使っている素材など趣味性が高いから上質なファミリーカーといったほうがいいかもしれない。ステーションワゴンのヴァリアントは容量650リッターもの広大な荷室を持っているので実用性も十分。ロングルーフを活かしたスタイリングのよさとうまく両立をはかっている。

先進的安全装備も充実している。歩行者検知対応シティ エマージェンシー ブレーキ機能付きプリクラッシュ ブレーキ システム、後退時に衝突を避けるか衝撃を軽減するブレーキ機能も持つリア トラフィック アラート、レーン キープ アシスト、車線変更時にとなりの車線に走行車両がいる場合ステアリングホイール操作に車両が介入するレーン チェンジ アシスト システム、といった具合だ。

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート2.0TSI R-line

機能装備としては、先行車自動追従機能つきのアダプティブ クルーズ コントロールと、渋滞時に加速減速に加えてステアリングホイール操作支援機能も持つ渋滞時追従支援システム、トラフィックアシストも搭載されている。

「ガイド&インフォーム」なる最新のテレマティックス機能も搭載された。スマートフォンを通じてVICS情報が得られるのがメリットだ。さらにGoogle EarthやGoogle Street Viewを使える。それによって事前に目的地周辺の情報を目視できるのが利便性につながるのだ。Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応。音楽はもとより、ハンズフリーフォンやeメールの読み上げなども実際はかなり便利な機能である。

いろいろな面でアップデート化が進んだパサート。2.0 TSI R-lineはその嚆矢(こうし)たるモデルである。

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Volkswagen Passat 2.0TSI R-line|フォルクスワーゲン パサート 2.0TSI R-line
ボディサイズ|全長 4,785 × 全幅 1,830 × 全高 1,460 mm
ホイールベース|2,790 mm
トレッド 前/後|1,580 / 1,560 mm
最低地上高|120 mm
最小回転半径|5.4 メートル
重量|1,510 kg
エンジン|1,984 cc 直列4気筒 ターボ
ボア×ストローク|82.5 × 92.8 mm
圧縮比|9.6
最高出力| 162 kW(220 ps)/ 4,500-6,200 rpm
最大トルク|350 Nm(35.7 kgm) / 1,500-4,400 rpm
トランスミッション|6段AT(DSG)
駆動方式|FF
サスペンション 前/後|マクファーソンストラット / 4リンク式
ブレーキ 前|ベンチレーテッドディスク
ブレーキ 後|ディスク
燃費(JC08)|15.6 km/ℓ
タイヤ 前/後|235/40R19
トランク容量|586 リッター
ハンドル位置|右
価格|499万9,800円

Volkswagen Passat Variant 2.0TSI R-line
フォルクスワーゲン パサート ヴァリアント 2.0TSI R-line

ボディサイズ|全長 4,775 × 全幅 1,830 × 全高 1,485 mm
(TSI ハイライン、TSI Rライン)全長 4,775 × 全幅 1,830 × 全高 1,500 mm
ホイールベース|2,790 mm
トレッド 前/後|1,580 / 1,560 mm
最小回転半径|5.4 メートル
重量|1,560 kg
エンジン|1,984 cc 直列4気筒 ターボ
ボア×ストローク|82.5 × 92.8 mm
圧縮比|9.6
最高出力| 162 kW(220 ps)/ 4,500-6,200 rpm
最大トルク|350 Nm(35.7 kgm) / 1,500-4,400 rpm
トランスミッション|6段AT(DSG)
駆動方式|FF
サスペンション 前/後|マクファーソンストラット / 4リンク式
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク /ディスク
燃費(JC08)|15.0 km/ℓ
タイヤ 前/後|235/40R19
トランク容量|650-1,780 リッター
ハンドル位置|右
価格|519万9,000円

問い合わせ先

フォルクスワーゲン カスタマーセンター

0120-993-199

           
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