番外編|エコカー3モデル乗りくらべ新潟ツアー 前篇
CAR / LONG TERM REPORT
2015年4月15日

番外編|エコカー3モデル乗りくらべ新潟ツアー 前篇

TOYOTA PRIUS G Touring
Mercedes-Benz E 350 BlueTEC AVANGARDE
Volkswagen Golf TSI Trendline

番外編|エコカー3モデル乗りくらべ新潟ツアー 前篇(1)

今回の長期リポートは番外編。リポート2号車のプリウスと、3号車のE 350 ブルーテック アバンギャルド、そして直噴エンジンとダウンサイジング・コンセプトにより低燃費を実現した話題のフォルクスワーゲン ゴルフ TSI トレンドラインの3台を乗り比べました。目指すは新潟の荻ノ島。今なお茅葺きの住居が残る集落です。昔ながらの暮らしを残す荻ノ島へ、アプローチの異なる3台の最新エコカーで、いざ出発。

文=オウプナーズ写真=荒川正幸

今回のツアーはエコカーの三つ巴戦

エコカーといっても、まったくちがうアプローチをしている3台。トヨタ プリウス(以下プリウス)は1997年のデビューから進化しつづけるハイブリッドカー、いっぽうヨーロッパでは熱効率がよく環境コンシャスであるとして新車登録台数の5割以上を占めるディーゼルエンジンに、いま最高の環境性能を搭載したとして注目される「BluTEC」を採用したメルセデス・ベンツ E 350 ブルーテック アバンギャルド(以下E 350 ブルーテック)。

そして、ここ最近のトレンドである過給機によるエンジンのダウンサイジング・コンセプトを採用したフォルクスワーゲン ゴルフ TSI トレンドライン(以下ゴルフ)。

日本でエコカーといえば主流であるハイブリッド、新機軸のクリーンディーゼル、既存のものをダウンサイジングするという考えのもとにうまれたTSI。今回のツアーはエコカーの三つ巴戦。それぞれの特徴を浮き彫りにさせるべくおこなったものである。

快晴の金曜早朝にエコカー3台が集合し、一斉に編集部近くのガソリンスタンドで給油。そこからツアーはスタートした。全行程は下記。

07:30 亀戸のGSで給油 0km
08:00 平井大橋入口(首都中央環状線) 2.9km
08:35 美女木JCT(首都埼玉大宮線) 29.4km
08:45 大泉IC(関越自動車道) 37.9km
09:05 鶴ヶ島JCT(関越自動車道) 65.3km
11:00 六日町出口(関越自動車道) 224.8km
11:30 昼食
12:30 再出発
13:00 柏崎市突入 259.9km
13:30 荻ノ島かやぶき環状集落到着 264.4km
15:30 東京へ向けて出発
16:30 六日町入口 (関越自動車道) 304.2km
19:00 三芳PAで休憩 491.5km
19:15 錦糸町出口 541.3km
19:30 亀戸のGSで給油 543.4km

往路の首都高速中央環状線で多少の渋滞に巻き込まれはしたものの、平日ということもあって、スムーズなドライブだった。途中に休憩や撮影の時間を挟んだ、往復12時間のロングドライブ。エアコンは常時オンの状態にし、走行時は交通の流れに沿った運転を心がけた。その結果の各車の1リッターあたりの走行距離は以下のとおり。


トヨタ プリウス 23.48km/ℓ
メルセデス・ベンツ E 350 ブルーテック アバンギャルド 14.65km/ℓ
フォルクスワーゲン ゴルフ TSI トレンドライン 19.05km/ℓ

やはり、燃費のよさではプリウスが圧勝である。予想どおりの結果だ。しかし、燃費のよさだけでエコカーのよしあしは語れない。次のページで、今回のツアーに参加した編集部のクルマ担当3人がざっくばらんに語りあってみた。

TOYOTA PRIUS G Touring
Mercedes-Benz E 350 BlueTEC AVANGARDE
Volkswagen Golf TSI Trendline

番外編|エコカー3モデル乗りくらべ新潟ツアー 前篇(2)

3モデルに乗ってみて感じたことは

担当A まず、走っていてもっとも楽しかったのはゴルフですね。プリウスは、まあ、移動手段としては十分という感じで。E 350ブルーテックは……なんだか足まわりのバタついた感じが気になった。で、調べてみたら、3.5リッターV6ガソリンエンジンを積んだE350 アバンギャルドは1,710kg。一方、3リッターV6ディーゼルのE 350ブルーテックだと、6.3リッターV8を搭載したE63 AMGの1,920kgに匹敵する1,910kg。単純には比較できないけれど、なんと200kgも重い。もちろん、すべてがエンジンの重量ではないけれど、尿素水溶液のはいった「AdBlueシステム」はかなり重いんでしょう。衝撃と温度変化から尿素水溶液を守るために相当頑丈に作られたタンクであると聞いてますから。その重さが負担になっているのかな。

エコカー3モデル乗りくらべ新潟ツアー|03

エコカー3モデル乗りくらべ新潟ツアー|05

担当B ランフラットタイヤを履いているせいもあったのでは? 重量があると比較的しっとりと落ち着いた乗り心地になるっていうこともありますよ。

担当A そういう場合もあるかもしれないけど、直噴ターボであるディーゼルエンジンの超高圧な噴射に耐えるようシリンダーの強度も高くしてあるぶん、エンジン本体も重量増を避けられなくなっているし、200kg増ではさすがにしっとりとはいかないんじゃないでしょうか。クリーンディーゼルがそんなに重量増になるのであればハイブリッドも重いのかな、と思ってこちらも調べてみました。たとえばプリウスとホイールベースがおなじ2,700mmのプレミオをみてみると1,230kg、プリウスが1,350kg。やはり単純比較はできないけれども100kg以上の差がある。

担当B 車重と足まわりのセッティングのバランスがよくなかった感じがしたということですね。ディーゼルはもともと燃焼効率がよく、低燃費でCO2排出量の少ないエコロジーなエンジン。だけど、さらに大気汚染の面を見直すべく、コモンレールのような高性能なシステムを使って、有害な窒素酸化物を無害な窒素と水に分解するため、コモンレールのような高性能なシステムを使って、排気ガスに尿素をふきかける装置を載せて……結果としてクルマ全体に負荷を増やしてしまっている。

担当A かといって、ダウンサイジング・コンセプトで燃費向上に成功していて、さらに今回乗り心地がよかったゴルフのフォルクスワーゲンが、一概にナンバーワンのメーカーとはいえない気もしますよね。フォルクスワーゲンのクリーンディーゼルやハイブリッドも見てみたいし。

エコカー3モデル乗りくらべ新潟ツアー|07

担当B そうですね。付加を増やさざるを得ない状況のE 350ブルーテックと、エンジンが小さくなったゴルフ。ターボエンジンは1905年に開発されたものですが、それをエンジンのダウンサイジングのために使うことへ応用した。そもそも付加するのではなく、削る、小さくするという考えかたで、両者はまったくアプローチが異なります。エコへの取り組みとして、どこがナンバーワンかは言い難いですね。

公開の後篇につづく

           
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