【北海道上川町・やってみよっ課】事業提案ビジネスピッチを開催|LOUNGE
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2024年3月13日

【北海道上川町・やってみよっ課】事業提案ビジネスピッチを開催|LOUNGE

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LOUNGE|北海道上川町

北海道上川町で事業の起ち上げを一般募集するプロジェクト

全国の地方自治体は現在様々な地域課題を抱えているが、北海道上川町もそのひとつだ。
近年地域創生に力を入れており、都市部のアウトドア企業と連携をしたり、地域おこし協力隊制度を利用して移住者を募ったりと、外部との接点を広げ着実にまちづくりの歩みを進めている。
上川町の冬のイベント氷瀑祭り。自然に恵まれ観光業が盛んな町。
そんななか、2023年に官民連携で地域課題の解決に取り組む中期型事業開発プログラム「上川町やってみよっ課」が発足した。
上川町を舞台に事業を行いたい者を年齢経歴不問で一般から募ったのである。参加者は、主な町の課題であるDX、ふるさと納税、教育、エリアイノベーション、ウェルビーイングの5つの項目に対して事業アイデアを提案する。
将来的に実施することも視野に入れながら新規事業を考える。まさに“やってみよっか”の取り組みというわけだ。
地域課題の詳細や、募集について詳しくは下記記事を参照。
2023年9月の参加者募集の締め切り後に、都内でのキックオフイベントと上川町の現地視察が行われた。
年齢や背景の異なる参加者たちが3名前後でチームを組み、それぞれ上川町の現地メンバーを加えた計6チームがつくられた。町内外の視点を集結させ、各チームで町が抱える課題解決につながる事業立案に取り組んでいく。
チームで構想し、まとめた事業案の発表の場が、2024年2月に行われたビジネスピッチだ。

2月・事業案を発表。ビジネスピッチを開催

2024年2月6日に都内で開催されたビジネスピッチでは、各チームの事業案を審査員が評価する形式で行われた。
審査員は、上川町地域魅力創造課・高野課長、小知井係長、上川町アドバイザー・高橋氏、上川町との連携企業である株式会社TSIホールディングス・下地社長の4名だ。
アパレルメーカー大手のTSIホールディングスと上川町は、2021年に「持続可能性な地域づくりに向けた包括連携協定」を締結。アパレル業界でのブランド開発など豊富なノウハウを活用して、特産品や体験型商品の開発など上川町の課題解決に取り組んでいることから、今回審査員として参加されることとなった。
提案は課題性、新規性、実現性、期待性、費用性の5項目の審査基準で評価され、《すぐに取り組みたいで賞》、《上川の未来に繋がるで賞》、《TSI社特別賞》、《MYP(Most Yattemiyokka Player)》の4つの賞が用意された。
キックオフミーティングから約半年間の構想期間を経て、練り上げられた各チームのアイデアでは、いったいどんなソリューションが展開されるのか。
会場は審査員をはじめとする上川町関係者の期待感を前に、参加者は緊張が入り混じる熱のこもったプレゼンが行われた。
ここからは各チームの発表内容を紹介する。

6チームが上川町課題解決の事業案を発表

DXチーム①:上川町独自のコミュニティアプリを開発
手厚い支援・予算があり、イベント催事に関する発信も活発な上川町だが、各発信媒体が多数あり情報伝達が煩雑になっている点を中心課題とした。
また、町の社会福祉協議会に寄せられる、お困りごとにも着目し、住民の要望をデジタルで可視化することを発案。上川町独自のアプリを開発、情報プラットフォームを構築することで、上川町に関連する人々の発信と情報の受け入れを充実させるという。
「KamikawaWalk」と名付けたそのアプリは、助けてほしいことの書き込みや、イベントの発信、役場からの情報発信が基本機能となる。
さらに、人材データバンクとしての活用や健康サポートなど、暮らしを助け、町の住民を繋ぎコミュニティをDXで推進するアイデアだ。
DXチーム②:「GX(Green Transformation)」森林と育む循環型ホームタウン
自然の豊かさが最大の強みである上川町。人口減少によって一次産業として誇っていた林業の力は弱まりつつある。
町で仕事をしたくても魅力的な雇用がなく、町外に人手が流出してしまうという雇用のミスマッチが発生しているところに、チームは目をつけた。
昨今クリーンエネルギーへの転換や、カーボンニュートラルへの取り組みが加速し「GX(Green Transformation)」というキーワードもトレンドとなっているのは、ご存知の方も多いだろう。こうした機運に乗じて、森林を中心に国や企業からの補助金など予算を循環させるビジネスモデルを構築するというのが今回の提案だ。
森林を学習の場、遊びの場、仕事の場などの拠点として6次産業まで活用する。
働き口を求めて町から流出してしまう高校生を起点として、森林関係の雇用に繋がるような魅力を伝承する仕組みづくりを行う。
注目度が高まるGXの先端として町をブランディングするという提案となった。
ふるさと納税チーム:商品開発と発信を強化したブランド作り
現地調査を経たチームの面々は、上川町が農産品や商工業品、コンテンツで溢れる宝の山だと気がついた。
ところが同時に、上川町には何もないと思っている町民も多く、商品や町の魅力が外部に伝わっていないという。
そこで、ふるさと納税をフックに売り先がない、売り方がわからない、価値のつけかたがわからないという事業者をサポート。販売支援をする過程で、上川町のブランドを強化しながら売上拡大を目指す。
例えば、「一口メロン農園オーナー」の案では、返礼品の購入者がメロンの栽培体験、育成の段階からオーナーなることで収穫物に価値を感じられる仕組みを作るという。
生産から消費まで発信することで上川町農産物のファンを形成するという、体験を含めた商品の情報発信だ。
このように、体験を切り口に商品をブラッシュアップし価値を上げ、事業者を支援する循環を描き、ふるさと納税の新しいモデルを構築する提案をした。
ウェルビーイングチーム:エリアマネジメントの構造を創る
単発的な事業の起ち上げではなく、持続的にウェルビーイングな取り組みを可能にする運営母体を組織するのが、チームの提案だ。
エリアマネジメント推進団体を作り、地域事業の取り組みをサポートする。
上川町では多くの事業者が商業を営んでいるが、それぞれが独立していて繋がりが希薄である点を課題とし、町内会や事業者が集まって組織を作ることで、地域に点在する様々な課題を連動して解決に導くことができるのではないかと考えた。
またこちらのチームも、町民が町の良さに気がつけていないことを指摘。エリアマネジメントの組織によって、「上川っていいな」を鍵に関係人口の増加を目指しながら、上川町の持続的幸福度を上げていく。
役場では手の回らない課題をサポートし、相互に解決に導いていくことを提案した。
教育:AIパーソナライズ学習支援
教育課題に挑むチームが考えたのは、町の子どもたちにAI型eラーニングでレベル別の学習を提供するというアイデアだ。
好きなことに関するアウトプットの機会が個人の能力を伸ばすのではないか。
それが尚且つ地域社会に貢献するプロジェクトに携わることであれば、町の課題解決にもなるだろう。
そうした発想で、町と人との繋がりを深化させることを提案する。
18歳以下の町民を対象に、得意な教科だけでなく興味や関心まで網羅した個人のカルテを作成し、集積した情報によってAI型eラーニングで学習を提供。
参加者が関心を持つ分野で、地域課題に対するプロジェクトを企画実行し、オンライン・オフラインで自発的な学習環境を整備する。
皆で学ぶ楽しさや夢中になれる学びを発見しながら、社会課題のプロジェクトに取り組むことで、主体性や能動性を育むという。
教育者やメンターのサポートなども交えた、行政と地域有志によって子どもたちを町ぐるみで育てようというプロジェクト内容となった。
エリアイノベーション:空き家を流通させ教育の場としても活用
上川町には約160戸の空き家が存在している。
過去に町の空き家物件で売買が成立した物件は8割以上になるというが、実際に空き家バンクに登録されている物件はたったの2件。
160戸の半数はリフォームすれば住める物件だが、流通しておらず空き家が有効活用できていないことが明確な課題である。
上川町を訪れる観光客のほとんどに市街地が素通りされてしまうのは、温泉街の層雲峡が地理的に離れていることもあるが、町に宿泊施設が少ないことも要因であると分析。いかにして空き家を流通させるかを筆頭に、不動産を活用しながらエリアイノベーション・ブランディングを行うことを考えた。
そこで、上川町で空き家活用のソフト面に教育をコンテンツとして入れ込み、ブランディングするのがチームの提案だ。
北欧に倣った学びの場を作るプロジェクトをはじめ、すでに行われている教育の取り組みを活用して「教育の町 上川」のブランドを打ち出していく。
また、建築の最後の仕上げを自分たちの手で行う「ハーフビルド建築」の企画を例に、空き家活用でコミュニティを形成しながら、上川町に愛着を深めることもできると付加価値をつけた。
上川町を皆で作り上げ、エリアイノベーションを起こすというアイデアだ。

受賞結果の発表

以上5項目6チームの事業案が出揃った。
半年間をかけ上川町への想いがこもった提案にどんな評価が下るのか。
TSI社特別賞:エリアイノベーションチーム
上川町が気に入り住居探しをされたというTSI社の下地社長は、空き家活用の提案に将来性を感じ驚きと発見があったと評価。
すぐに取り組みたいで賞:ふるさと納税チーム
高橋氏「数ヶ月以内に全国で最もふるさと納税返礼品をラインナップさせます!」と意気込みのコメント。
上川の未来に繋がるで賞:教育チーム
地域おこし協力隊の一期生による提案で、教育を盛り上げていこうという想いが感じられた。
MYP(Most Yattemiyokka Player):エリアイノベーションチーム
大人の学び直しができる環境を整備したばかりでもあり、特に教育に力を入れている上川町。
負動産とも言われる空き家をどのように活用できるか、教育と結びつけた点が評価された。
今回提案された事業案は、来年度以降実際に動き出すかもしれない。
上川町やってみよっ課の取り組みは、2024年度も行う予定だ。
興味があれば、ぜひ町の情報をチェックして欲しい。
                      
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