ポルシェ マカン ターボに試乗|Porsche
CAR / IMPRESSION
2016年7月26日

ポルシェ マカン ターボに試乗|Porsche

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

ポルシェ マカン ターボに試乗

SUVのかたちをしたスポーツカー

ポルシェのミドルサイズSUVとして人気を博している「マカン」。なかでも、最もハイパワーな3.6リッターV6ターボを搭載したホッテストモデルに小川フミオ氏が試乗した。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

完璧という言葉しか思い当たらない

マカン」に乗ると「スポーツカー」という定義一つではないとわかる。とりわけ、294kW(400ps)のハイパワーを誇る「マカン ターボ」は、「911」に代表されるスポーツクーペとはまったく違うスポーツカーだと、感心する出来だ。

ポルシェのSUVは、読者の方はご承知だろうが、「カイエン」と、このマカンからなる。2002年に発売された初代カイエンは重い車体とともに、ポルシェといえども、SUVの分野では多少の試行錯誤が必要なのだと思った記憶がある。14年に発売されたマカンは、10年以上におよぶ経験を積んできただけあって、素晴らしくスポーティだ。

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

マカンは、日本市場においては、4つのモデルで構成されている。2リッター4気筒の「マカン」、3リッターV6の「マカンS」、同じエンジンながら出力とトルクが上がっている「マカンGTS」、そして3.6リッターV6の「マカンターボ」だ。

スタンダードモデルでもかなりよく出来ていて、スポーティな楽しみを提供してくれるのがマカンの魅力である。なので、頂点のマカン ターボをどう表現するか。難しいのだが、完璧という言葉しか思い当たらない。

全長4,680mと、カイエンより17.5cmほど短い全長を持つボディを持つマカン(ターボは4,699mm)。ターボはそのフロントに、最高出力294kW(400ps)と最大トルク550Nmの3604ccV型6気筒エンジンを搭載している。「カイエンS」と基本的には同じユニットだが、あちらはパワーがより上がっている。

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

車種ごとの階層をことさら強く意識させるポルシェのマーケティングの結果だ。カイエンS(1140万円)は8段のトルコンAT搭載だし、7段ツインクラッチ変速機のマカンターボ(1028万円)とは性格を異にする。マカン ターボに乗ると、これ以上なにが欲しいのかと思えるほど、十分すぎるほど痛快なドライブが楽しめる。

マカンの本質的な魅力は、走りの質を高めることに気が配られてきたところだ。変速機のレイアウトなどによる重量配分や、4輪駆動でありながら後輪駆動を基本とする成り立ちなど、スポーティさを前提に煮詰められてきた。SUVのかたちをしたスポーツカーである。

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

ポルシェ マカン ターボに試乗

SUVのかたちをしたスポーツカー (2)

自分とクルマとが一体化したような楽しさ

マカンターボでは奇妙な感覚にとらわれる。走りはスポーツカーなのに、着座位置は高いからだ。ミスマッチ感覚のドライビング体験。逆を返せば、マカンターボだから可能になっている。

500リッターにおよぶ大容量のトランクを備え、インテリアは、大人が4人楽々座っていられる空間とともに、好きな音楽を聴いていられる遮音性の高さ。それでいて、爆発するようなトルク感と、ストレスなく回るスムーズなエンジンと、正確なハンドリング。ありえないような組み合わせが実現している。しかも4.7メートルと比較的コンパクトな車体も魅力的だ。

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

車重は2トンあるが、最大トルクは1350rpmから発生する。おそらくトルクの出方も細かく調整されているのだろう。重さを感じさせる場面はいっさいなかった。アクセルペダルの踏みこみ方で車速を微妙にコントロールしながら走れるし、ステアリングホイールの動きに対する敏感な反応もまた、自分とクルマとが一体化したような楽しさを感じさせる。

全高1,625mmもあるクルマで、セダンはおろか、へたなスポーツカー顔負けの操縦性である。試乗車にはオプションのエアサスペンションシステムが装備されていた。サスペンションの動きはストローク感はさほどなく、乗用車的にしっかりしたもの。自然な運転感覚だ。

SUVとは、いってみれば、無骨さの都市的解釈(グレイフラネルのパンツにワークブーツを合わせるみたいな)だと思っていたけれど、マカンターボは車高の高いスポーツカーだ。それほど繊細なのである。

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

ポルシェ マカン ターボに試乗

SUVのかたちをしたスポーツカー (3)

スポーツカーなみの操作を考慮したレイアウト

「スポーツカーを創る者として、私達はドライバーとクルマは一体となることが極めて重要であると確信しています」。ポルシェのホームページでマカンターボの項目をチェックすると、この一節が内装のところに掲げられている。

操縦性を重視して、ストレスないスポーツカーなみの操作を考慮した人間工学的なレイアウト。マカンターボの特徴の一つだという。「ドライバーがレーシングスタイルでのシフトチェンジを愉しめるよう」(ポルシェジャパン)7段の2ペダル式「PDK」変速機には、ステアリングホイールのコラムでもギアが選べるパドルシフトもついている。といっても、広い範囲で大きなトルクが出る設定のこのエンジンだけに、マニュアルでシフトをしなくても、十分に加速が楽しめるのだ。

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

炭素樹脂強化プラスチック製の軽量ステアリングホイールは、“9時15分”の位置で握ったときに、滑り止めになるよう、ソフトな感触が気持ちよいレザーのグリップが巻いてある。これはオプションなのだが、軽量ゆえの操舵感も軽快で、このスポーツカーなみに速いモデルにしっくりする装備だ。

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Porsche Macan Turbo|ポルシェ マカン ターボ

ボディサイズ|全長 4,699 × 全幅 1,925 × 全高 1,625 mm
ホイールベース|2,805 mm
トレッド 前/後|1,655 / 1,650 mm
重量|1,980 kg
エンジン|3,604 cc V型6気筒ツインターボ
最高出力| 294 kW(400 ps)/ 6,000 rpm
最大トルク|550 Nm/ 1,350-4,500 rpm
トランスミッション|7段PDK
駆動方式|4WD
サスペンション 前|ダブルウィッシュボーン
サスペンション 後|マルチリンク
タイヤ 前/後|235/55R19 / 255/50R19
ブレーキ|ベンチレーテッドディスク
最高速度|266 km/h
0-100km/h加速|4.8 秒
価格|1,066万円

問い合わせ先

ポルシェ カスタマーケアセンター

0120-846-911

           
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