TUDOR | チューダー
ファッションとの親密なリンクを楽しむ
「チューダー」のウォッチコレクション
ROLEX(ロレックス)の創立者、ハンス・ウイルスドルフが1926年に設立したTUDOR(チューダー)が、長い沈黙を終えて今年、いよいよ日本で正規展開されることになった。「BLACK BAY(ブラックベイ)」をはじめ、ブランドを象徴する充実のラインナップは、自社開発&製造するハイスペックなムーブメントを搭載するマニュファクチュールブランドでありながら、ファッションとの親和性の高いデザイン力の高さにも気づかされる。ステンレスやレザーのストラップはもちろんのこと、フランスはリヨンで150年の歴史をもつ工房で生まれる伝統的なファブリックストラップは、世の中に数多存在するコピー製品にはない、本物の風格が漂っている。文字盤とストラップ、組み合わせ次第で可能性が広がるチューダーのコレクションから、編集大魔王・祐真朋樹がスタイリング。25年の付き合いになる、俳優・村上淳が身につけ、着こなす。
Direction, Photographs and Styling by SUKEZANE TomokiHair & Make by hiro TSUKUI (Perle Management)Model by MURAKAMI JunText by MASAYUKI OzawaSpecial Thanks to PROPS NOW
【BLACK BAY GMT】
今の時代なら、GMTはスーツよりもカジュアルに合わせたい
バーゼルワールド2018で発表された「ブラックベイ GMT」は、1950年代製のダイバーズウォッチにインスピレーションを得たデザイン。チューダーが製造するキャリブレーションに新しい機能を導入した自社製のキャリバーMT5652を搭載している。GMTの象徴ともいえるバーガンディとディープブルーの2色のベゼルは、時差を超えて世界を飛び回るエグゼクティブにぴったりなデザインとして人気だが、あえてカジュアルな装いに自然となじませた。「スーツにGMTって、一昔前はすごく決まりきったイメージがあったけど、チューダーはクラシックだし、今の時代ならもっとラフに使いこなすほうが粋では。これは村上さんから撮影前に「着てみたい」と逆指名を受けた<ヤンチェ_オンテンバール>のチェックコート。鮮やかな<マルニ>のニットとロングマフラーも、カジュアルを意識しました。ベゼルと同配色のファブリックストラップにすることで、ステンレスのブレスよりも全体を落ち着かせてみました」。
【PELAGOS LHD】
ヴィンテージな風合いを生かしてカントリージェントルマンに
9時位置にリューズがある通り、レフトハンド仕様の「ペラゴス LHD」は2016年に発表されたモデル。1970年代にフランス海軍が左利きのダイバーのために特注したモデルがデザインのベースだ。スノーフレーク・・・通称「イカサブ」(蓄光塗料が施された針の面積が広いため、視認性が高いことが由来)と呼ばれるチューダーの人気ディテールを現代的にリファインしながら、500mもの耐水性を誇る本格的なダイバーズ ウォッチ。「針やインデックスのカラーリングなどに漂うヴィンテージ感を活かして、スタイリングもカントリージェントルマンを意識しました」。イザベル・マランのヘリンボーンコートに、シワ感のあるマルニのジャケットなど、今風のワイルドな感覚をプラスしたアイテムでコーディネイト。「マルニのシャツの大きな襟がポイント」という絶妙なバランス感も、腕時計のクラシックな魅力を引き立てている。
【BLACK BAY FIFTY-EIGHT】
ドレスとカントリーのミスマッチを調和してくれるデザイン
チューダー初のダイバーズウォッチが登場した1958年をネーミングに冠した「ブラックベイ フィフティエイト」。ブラックのダイヤルとゴールドの針やインデックスのコンビはラグジュアリーな印象を与えつつ、50s特有のミッドセンチュリーなムードを匂わせている。そして、39mmのケース径はその他のモデルに比べるとやや控えめな印象。そこで今回は、あえてスーツに合わせてみた。「ダブルのスーツにコーデュロイのモンクレールのダウンで、ドレスとカントリーのミスマッチを楽しんでみました。そこに「ブラックベイ フィフティエイト」が加わると、そのままSUVに乗って郊外へ行きたくなる、そんなカジュアル感が出ますよね。グレーのスーツの場合、白シャツよりもサックスブルーが雰囲気に合っている。タブカラーを外した遊び心も小さなポイントです」。12時位置に配されたレッドポイントもレトロを感じるディテールのひとつ。
【BLACK BAY BRONZE】
ブロンズのエイジング感があれば、個性的な服も着こなせる
「個人的にはコレクションの中では一番好きなカラーリング。ファッションとしてつけやすい」という「ブラックベイ ブロンズ」は、文字通り「ブラックベイ」コレクションでは初のブロンズケースを採用したモデル。43mmの大きなケース径と、本特集で紹介する中では唯一のアラビア数字を3、6、9時の位置に配している。ドーム型のサファイアクリスタル風防も、ブロンズのカラーリングと相まってアンティークな雰囲気を高めた。新品にして、このエイジング感が出せるルックスは、スタイリングに深みをもたらしてくれる。「とにかくカラーが印象的だから、その色を拾ってみました。イエローのニットベストとか、ちょっと個性的なウエアも似合っちゃうから、いつもと違う自分に出会えるのでは。今回は派手なミリタリースタイルにチャレンジ」。
【BLACK BAY CHRONO】
じつはデザイン性の高いクロノグラフは、カラーリングをリンク
2017年のバーゼルワールドで発表された「ブラックベイ クロノ」はやや厚めのケースが男らしさに気品を添える。クラシックな針のデザインと、ドットのインデックス、そしてモダンな2メーターのクロノグラフによる絶妙なコンビネーションがアイデンティティ。シンプルな中にもチューダーの新旧の魅力が詰まったデザインだ。「村上さんは大のライカマニア。今回の撮影のために真っ白な私物のM8を持参してくれたんです。と、いうわけでこのスタイルのテーマは「フォトグラファー」。クロノグラフって、僕の中で硬派なイメージなだけに、普段使いするとかえってファッション性が強く見えるんです。そこらへんが勝手にイメージしているフォトグラファー像(笑)。今回は茶色のレザーベルトを選んで、あえて裏返した<ロエベ>のムートンや足元の革靴と色を合わせてみました。もちろん白のタートネルネックニットは、M8とリンクしています」。
村上淳|MURAKAMI Jun
1973年生まれ、大阪府出身。モデル活動を経て、93年に映画デビュー。主な出演作に、『ヘヴンズストーリー』(10/瀬々敬久監督)、『希望の国』(12/園子温監督)、『戦争と一人の女』(13/井上淳一監督)、『2つ目の窓』(14/河瀬直美監督)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18/冨永昌敬監督)、『パンク侍、斬られて候』(18/石井岳龍監督)、『ここは退屈迎えに来て』(18/廣木隆一監督)などがある。公開待機作に『銃』(18/武正晴監督)、『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(18/大森立嗣監督)などがあり、テレビ朝日系金曜ナイトドラマ『僕とシッポと神楽坂』に出演中。