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© Ferdinand Ullrich Recklinghausen, Germany
宮島達男|「Time Train」展 LOUNGE INTERVIEW
2010.11.08

Six(大阪・心斎橋)にて個展がいよいよスタート!

宮島達男が語る、「Time Train」で表現したかったこと

青く明滅するLEDを搭載した列車のモデルが、始発駅も終着駅もないレールの上を、あたかも永久に走りつづける──2008年にドイツで発表された宮島達男さんの作品が、このたびコム デ ギャルソンのアートスペースSix(大阪・心斎橋)にて日本ではじめて公開される。宮島さんがこの作品のなかで表現しようとしたこととは。
 
Text by OPENERS
 
 

生と死のあいだを彷徨う魂を表象──「Time Train」

 
宮島達男さんの作品のなかでもっとも象徴的であるのは、「1」から「9」までのカウンターがそれぞれ異なる速度で明滅を繰り返す、という手法だろう。これは人間のライフ・サイクルの連続性や永遠性を示している。じっと見つめているとまるで、ひとの生命というものの意味を思い、はたまたひとつの生命という枠組みを超えて、宇宙とは何であるか──そんなことにまで思いを馳せてしまう。
 
近年では、そのような時間と宇宙、生命といったテーマにくわえ、核なき世界に向けて自分の存在を影として残そうとする「PEACE SHADOW PROJECT」や第2次世界大戦中に長崎で被爆した柿の木の木の実から取り出された種から生まれた苗木を世界各地に植樹する「時の蘇生──柿の木プロジェクト」など、平和をテーマにした活動も精力的におこなっている。
 
今回、2010年11月3日(水・祝)より大阪・心斎橋にあるコム デ ギャルソンのアートスペース「Six」にて開催される「Time Train」展。2008年にドイツのKunsthalle Recklinghausen美術館で発表された個展「Time Train」の、日本初となるお披露目である。ここで発表される作品のタイトルは「Time Train To The Auschwitz(タイム・トレイン・トゥ・ザ・アウシュビッツ)」。その名が示すとおり、ドイツ、ナチスの暗い歴史であるホロコーストをテーマに扱ったものだ。1932年から1945年までのあいだ、実際にドイツを走行していた列車のモデルに青く明滅するLEDを搭載して、始発駅もなく終着駅もなく、あたかも永久に走りつづけるようなインスタレーションが展開される。
 
ここで表現したかったこととは、一体何なのだろう。宮島達男さんに話を聞いた。
 
 
――今回のインスタレーションは列車のモデルを使ったものですね。まず、作品が生まれたいきさつを聞かせてください。
 
最初にこの作品を発表したのが、ドイツのレックリングハウゼンという町の美術館。ここがどういうところかというと、コールマイン、つまり炭鉱の町。あの辺りにはものすごい数の炭坑があって、ヨーロッパ中に石炭を供給する拠点だったんです。当時は石炭を運ぶために、鉄道の線路が網の目のようにヨーロッパ中に広がっていたんですね。と、そこまでは普通の歴史の話なのですが、第二次世界大戦のナチス時代、ユダヤ人のホロコーストがあった時代は、その列車には石炭ではなくヨーロッパ中からユダヤ人が乗せられて、アウシュビッツまで運ばれた。
 
――ヨーロッパへと向けて運ばれた石炭とは逆の方向に、今度はユダヤ人が運ばれていったのですね。
 
そうです。つまりエネルギーの供給網として使用された鉄道が、今度は逆に人間を殺していくような、ホロコーストのために使用されてしまったという歴史があったのです。そのことを以前から知ってはいたのですが、今回は美術館がその石炭の町であるコールマインにあるということで、それを象徴するような作品をつくりたいなと思いました。それでわざわざその時代、1932年から1945年までに実際にドイツで走っていたブンベスバーン(ドイツ国鉄)のおもちゃの列車(エチオゲージ)をドイツで求めて。それを使って、ホロコーストのあった時代の光景を作り出して、みなさんに考えていただこう、それが今回の作品です。
 
――その列車には、宮島さんの作品にいつも使われている、LEDを使った数字のモチーフが載せられていますね。一見、フューチャリスティックで幻想的、かわいい感じもします。
 

©Tatsuo Miyajima Office
一見かわいらしいんだけれども、「Time Train To The Auschwitz(タイム・トレイン・トゥ・ザ・アウシュビッツ)」という作品タイトルによって、みなさんこれが何を意味しているのか、ハッと気づくわけですよ。この数字がじつは人間たちであって、ユダヤ人たちの象徴である、ということに。で、今回のLEDはわざとブルーの色を使っています。というのも、当時ユダヤ人たちが着けることを強要されていたバッジについていた六芒星、それがブルーなんですよ。ですので、LEDもブルーにしました。
 
ここではやはりLEDは数字をカウントしていて、ユダヤ人たちの命みたいなことをあらわしている。そしてよく見ると、貨車にもギュウギュウ詰めで乗っているわけです。すし詰め状態。その生きている命、ほの暗い命が遥か彼方まで殺されに連れていかれてしまうっていう、そういう情景を描いた作品なんです。
 
――作品のなかで、そのユダヤ人を象徴するLEDの数字を載せた列車が、レールの上を走っていきますね。そこには始発駅もなければ終着駅もない。そのような設定にされたのは、行きどころをなくした人間の感情のようなものも表現されていますか?
 
そうですね。遥かな感じ、永遠につづく感じ。どこまでも行っても到着しない、非常に遠い感じですよね。そういう感じを出すことで、悲しみだとか、辛さだとかを、感じてもらえるといいかなと思っています。それとともに、命の象徴であるLEDですので、ある種、命の永遠性みたいなことも裏テーマとして掲げられていますけどね。変な言い方なのですが、アウシュビッツは人類にとって非常に不幸な歴史なのだけれども、そのことによって逆に、アウシュビッツで亡くなった方たちは、ずっと永遠に語り継がれていく。語り継がれていかねばならない。そういうある種の永遠性をもっているのではないかと思っています。これは原爆もおなじ。「9.11」もそうですが、人類の、ある悲惨な歴史というものは、忘れてはいけないし、永遠に語り継いでいかないといけないものなのだと思っています。
 


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