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発起人・平野友康氏インタビュー kizunaworldを振り返る 01 kizunaworld.org
2012.02.03

発起人・平野友康氏インタビュー(1)

kizunaworldを振り返る

「音楽が持つ力を実感しました」

メディアクリエイターの平野友康氏は、坂本龍一氏とともに、発起人として陰日向に「kizunaworld.org」を支えてきた人物である。未曾有の災害に見舞われた2011年が幕を閉じ、年が明けた2012年1月6日、あらためて平野氏を訪ねてみた。現在進行形で被災地の一日も早い復旧・復興を支援しつづけているプロジェクトの発起人は、あのときなにを考えていたのか。

Text by KASE Tomoshige(OPENERS)
Photographs by NISHIMURA Saiko(SELF:PSY'S)

震災の緊張感漂う2作目

東日本大震災の被害に対して、さまざまなアーティストの作品を購入することで寄付を募り、長期的支援をつづけていこうというプロジェクトが、「kizunaworld.org」である。随時発表されるその作品と最新の動向は、これまでOPENERSで継続して紹介してきた。そして震災の年は幕を閉じ、2012年を迎え──いまあらためて発起人である平野友康氏に、「kizunaworld.org」を振り返ってもらった。
 
──そもそも「kizunaworld.org」という名称の由来は?

もともとはイタリア人アーティスト、ヴァレリオ・ベッルーティ氏の「KIZUNA」というアニメーション作品のタイトルからきています。震災が起こった数日後には、この作品からなにかできないか、ということを考え始めたわけですが、当時はまだまだ復興を支援するというような状態ではなかった。ただただ目の前で起こったことに愕然としている状態で。でも悲しく、壮絶な状況だからこそ、個人同士の繋がり、つまり絆を大切にしたい、見つめ直したいと思いました。だからこの「KIZUNA」という言葉に、いろいろな想いを込めようと思ったんです。その後、あちこちで絆という言葉を聞くようになって驚きましたね。みんな、同じ気持ちなんだなって。

 
──現在16作品がラインナップされています。もっとも印象に残っている作品は?

ひとつを挙げるのは非常に難しいのですが、個人的に印象深かったのは2作目の「kizuna world」のミュージック&ビデオ。坂本龍一氏が震災後初めて書いた楽曲でした。作品形式も決まっていないうちから、教授(坂本龍一氏)からどんどん曲が送られてきて──そこに映像をつけるという作業をしました。震災の緊張感が漂うなかで、「これは絶対出さなければいけない」と思いながらやりとりしていました。その後「kizunaworld.org」ではさまざまな作品を発表してきましたが、しいて1作と言われれば、この2作目です。いろんな意味で印象深かったですね。とても悲しい曲です。

──現状楽曲作品が多いのですが、写真やイラスがもっとあると楽しいですね。
 

奈良(美智)さんの映像作品もありますが、まだ1年経ってませんから、音楽以外の展開はまさにこれからなんです。それに教授とは少なくとも3年はやろうと話し合っています。被災地の皆さんと一日でも長く寄り添い、そして震災のことを忘れないためにも、この活動を長く続けていきたいと思っています。だからこの先いろいろな作品が出てくるだろうし、今は思いつかない展開が、今年や来年には生まれているかも知れない。時間によって変化していくのが、この「kizunaworld.org」という活動なのだと僕は思っています。たとえば最初のほうの作品は、緊張感があって、痛みを感じさせるものが多かった気がします。が、最近は少し違う。未来への希望を抱き、前進している今の状況を反映したような作品になってきています。あと、教授がどう思っていたかはわかりませんが、僕個人としては、最初の半年、なにを出したら“良い”のかわからなかったんです。 その点、音楽は凄いです。あの状況でも、音楽は人の心に入っていけたわけですから。
 
──なにが許されるか、ということですか。

音楽以外が許されるかどうかということよりも、とにかく音楽が持つ力は果てしないということだと思います。どんどん音楽作品が集まって、どんどん発表していったんですが──そのいっぽうで音楽以外ではなにがふさわしいのかっていうのはわからなくて。たとえば僕自身がこの「kizunaworld.org」に作品を提供するなら、デジタル作品だとは思っています。が、プロジェクトの最初のうちは、なぜかふさわしくない、そんな気がしたんです。デジタル作品は、テーマとしても難しすぎました。ただただ、音楽の力を感じるばかりでしたね。
 


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