ROLLS-ROYCE PHANTOM/PANTOM EWB|新生ロールス初のサルーン
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2015年4月27日

ROLLS-ROYCE PHANTOM/PANTOM EWB|新生ロールス初のサルーン

ROLLS-ROYCE PHANTOM/PANTOM EWB

ロールス・ロイス ファントム/ファントムEWB

新生ロールス初のサルーン

2003年、BMW傘下となったロールス・ロイスがイギリス・グッドウッドの新工場から送り出した初めてのモデルが「ファントム」である。1930年代から同社の最高級モデルを表す伝統の名前と、パルテノン神殿をイメージしたフロントグリル、そして、“スピリット・オブ・エクスタシー”を身につけた贅沢なサルーンは、誰の目から見てもロールス・ロイスとわかる威厳に満ちたフォルムが印象的だ。

真横からの眺めは、幅広いCピラーと観音開きのドアが特徴。ドアを開ければ、乗り降りや車内の移動を容易にするフラットなフロアが目に入る。上質なレザーシートとカシミアのトリムが織りなす空間はこのうえなく優雅な雰囲気に包まれ、後席で過ごす時間を極上のものに変える力を持つ。

一方、やや高めのポジションが与えられる運転席は、優れた視界が確保されるだけに、もうひとつの特等席ということができる。あくまでロールス・ロイス流のデザインやパッケージングを持つファントムだが、その中身は時代の先端を行く。

ボディはアルミのスペースフレーム構造を採用。大柄のボディを力強く導くのは、専用設計の6.75リッターV12エンジンである。最大トルク720Nmの実力を持つこのパワーユニットはわずか1000rpmでその75%を発揮、その柔軟さこそ高級車にはふさわしい。

伝統を重んじながら、最新のテクノロジーでその存在を確固たるものにするファントム。2005年にはロングホイールベース版のEWB(EXTENDED WHEELBASE)も追加されて、その存在感はますます高まっている。

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ロールス・ロイス ファントム/ファントムEWB

ボディ:全長5835(6085)×全幅1990×全高1655mm
エンジン:6.75リッターV型12気筒
最高出力:338kW[460ps]/5350rpm
最大トルク:720Nm[73.5kgm]/3500rpm
駆動方式:FR
トランスミッション:6段オートマチック
価格:4578万円、5323万5000円(EWB)
(2008年5月26日現在)

BRAND HISTORY
ヘンリー・ロイスとチャールズ・ロールスが初めて会ったのは1904年のこと。イギリスでモーターなどを手がけていたロイス社が、新しいビジネスとして自動車を試作したところ、評判を聞きつけたロールスがこのクルマを試乗に訪れる。その仕上がりの良さに感銘を受けたロールスが、ロイスがつくるクルマの販売を申し入れたのがロールス・ロイスのスタートになった。

高級車ブランドとしてその名を知らしめたのは、1906年に生産を開始した「40/50HPシリーズ」。6気筒エンジンを搭載したこのモデルは、後に「シルバー・ゴースト」と呼ばれるのだが、そのエンジンの滑らかさや静粛性、クルマとしての高い信頼性、そして、質の高い素材による仕立の良さから、上流階級から大きな支持を得ることとなった。ロールス・ロイスのマスコットとして知られる“スピリット・オブ・エクスタシー”が生まれたのもこの時代だった。

その後、1929年には「ファントム」を世に送り出し、1931年には同じイギリスのベントレーを買収するなど順調な歩みを進めた同社。第二次世界大戦中は航空機エンジンなどに専念する時期もあったが、1947年から自動車の生産を再開。ファントムシリーズをはじめ、「シルバークラウド」「シルバーシャドウ」といった名車をつくりだしていく。しかし、1971年に航空機エンジン部門の不振から会社が倒産。この際、航空機エンジン部門は切り離され、残された自動車部門は一時政府の管理下へ。そして1980年にはヴィッカーズ社の傘下となった。

さらに1990年代後半にはフォルクスワーゲン(VW)とBMWによる買収劇が巻き起こる。混乱の末、工場とベントレーのブランドはVWの手に渡り、一方、BMWはロールス・ロイスの名前だけを手に入れる。そして2003年、新体制のもとで開発が進められてきたファントムにより、ロールス・ロイスは新しい歴史を踏み出すことになった。

           
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