ポルシェ75年&テノールの巨星が選ぶ「至高のエンジン音」──コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2023が開催| Concorso d’Eleganza Villa d’Este
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2023年7月11日

ポルシェ75年&テノールの巨星が選ぶ「至高のエンジン音」──コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ2023が開催| Concorso d’Eleganza Villa d’Este

エンジンの歌声も讃える

今回のヴィラ・デステでは、最も美しいエンジン音を奏でた参加車のための「トロフェオ・イル・カント・デル・モトーレ」が新たに設けられた。選考を委ねられたのは、国際的声楽家、ヨナス・カウフマンであった。
大会スポンサー「BMW」のふるさとでもあるミュンヘンで1969年に生まれた彼は、テノールでありながら独特の重厚な声を聞かせ続けてきた。
『トスカ』における画家、カヴァラドッシも、天界から人間界に降りた『ワルキューレ』のジークムントも、その心理的内面を独特の重厚な声で表現してきた。2022年には初のベストアルバム『ザ・テナー』をソニー・クラシカルからリリースした。
その彼が選んだのは、同じくポルシェ75周年クラスに参加した180度V型12気筒4900cc 580hpターボチャージド・エンジンを搭載する1970年「917 K」だった。
現在は、ベルギーのクリストフ・ダンサンブール伯爵のもとにある。アクセレレーションペダルが踏まれ、雨を降り続けさせる空にとどめを刺すような轟音が響くたび、ギャラリーから大きなアンコールともとれる拍手が沸いた。
EXPERIMENTING WITH THE POST-WAR EUROPEAN GT Mention of Honor : Alfa Romeo 6C 2500 SS Berlinetta Riva “La Serenissima” (1950)
冒頭では未来派美術家について記したが、エンジンとエグゾーストサウンドは、たびたび音楽家の心を動かした。
20世紀を代表する指揮者のひとり、ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)もそのひとりだ。プライベートジェットを操縦するとともに、自動車好きでも知られていた彼はエンツォ・フェラーリに、このような手紙をしたためている。
DESIGN AWARD FOR CONCEPT CARS & PROTOTYPES: Pagani Huayra Codalunga (2022)
「私があなたの12気筒サウンドを聞くとき、それは、いかなるマエストロもプレイできないハーモニーを解き放っています」
果たして次回は、どのような音が、このコモ湖畔でマエストロを心酔させるのか。湖畔における自動車園遊会の楽しみが、もうひとつ増えた。
Lancia Florida Coupé Pinin Farina(1955 : 手前)
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