MOVIE|全編手話のみで描かれるウクライナ発の衝撃作『ザ・トライブ』
MOVIE|カンヌ国際映画祭で批評家週間グランプリなど数々の賞を受賞
全編手話のみで描かれるウクライナ発の衝撃作『ザ・トライブ』
ウクライナの新鋭、ミロスラヴ・スラボシュピツキー監督が台詞や音楽、字幕までをも排除し、全編手話で描いた『ザ・トライブ』。4月18日(土)より、ユーロスペース、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーされる。
Text by YANAKA Tomomi
監督は、本作で長編デビューを飾ったミロスラヴ・スラボシュピツキー
ろう者の寄宿学校を舞台に、若者たちの衝動を描いた『ザ・トライブ』。登場人物はすべてろう者を起用、全編手話のみで構成されるという前代未聞の作品が到着した。
監督を務めるのは、本作が長編デビュー作となるウクライナのミロスラヴ・スラボシュピツキー監督。2014年のカンヌ国際映画祭では、批評家週間グランプリなど3賞を受賞したほか、世界各国の映画祭で30以上の賞に輝くなど、大きな注目を集めた。
キャストは主演も含め、全員ろう者を起用。若者たちの怒り、喜び、哀しみ、愛、衝動を音声ではなく、手話や身体、表情すべてを使って表現する様は、これまでにない衝撃を観る者に与える。
リーダーの愛人であるアナを好きになってしまうセルゲイ
ろう者の寄宿学校に入学したセルゲイ。そこでは犯罪や売春などをおこなう悪の組織=族(トライブ)によるヒエラルキーが形成されており、セルゲイもまた入学早々、彼らの洗礼を受けるのだった。
何度か犯罪に加担していくうちに、組織のなかで次第に頭角をあらわしていくセルゲイは、リーダーの愛人で、イタリア行きのために売春でお金を貯めているアナに恋をしてしまう。そして、アナを自分のものにしたくなったセルゲイは、組織のタブーを破り、自らも制御しがたい激情の波に押し流されていく。
キャラクターの背景や心理的な説明は一切なく、純粋な身振り、表情、眼差しにより進む物語。しかし、それは観る者の想像力をおおいに刺激し、いつしか彼らの会話を理解していることに私たちは気づき、大きく感情を揺さぶられていくのだ。
『ザ・トライブ』
4月18日(土)より、ユーロスペース、新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督・脚本│ミロスラヴ・スラボシュピツキー
出演│グリゴリー・ゲセンコ、ヤナ・ノヴィコヴァ
配給│彩プロ、ミモザフィルム
2014年/ウクライナ/132分/R18+
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