USM|ユー・エス・エム 丸若裕俊と吉岡更紗が語る「USMカラールネッサンス –美しさの方程式-」

USM|丸若裕俊と吉岡更紗が語る「USMカラールネッサンス –美しさの方程式-」

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USM|ユー・エス・エム

丸若裕俊×吉岡更紗が語る「USMカラールネッサンス –美しさの方程式-」(1)

<INTERSECTION>USMの美の方程式

「USMモジュラーファニチャーショールーム」のオープン5周年記念として展開された「USMカラールネッサンス」。本プログラムの集大成として、2月18日、ディレクションを務めた丸若屋の代表・丸若裕俊氏と、染司よしおかの吉岡更紗さんによるクロストークがおこなわれた。

Photographs by ASAKURA KeisukeText by TAN Miho(OPENERS)

USMの家具は、色で生活が変わることを体感させてくれる

丸若裕俊 吉岡さんは、日々のものづくりにおいて美しさをどう意識していますか?

吉岡更紗 美しいという定義はみなさんそれぞれ違いますよね。方程式というと固いですけど、仕事のうえで意識しているのは、鮮やかな色を出すことです。

丸若 まさに今回吉岡さんとご一緒させていただいたのには、色の感じ取り方の本質を考えたいということがありました。

吉岡 いかに自然なかたちで引き出せるかというのが、いちばん目指していることです。季節感をどう表現するかというのもすごく大事ですね。今回の企画のテーマの「カラールネッサンス」って、色の再構築ということ。春夏秋冬それぞれで丸若さんが考えられたことや色に対して、うちが答えを出して“もの”で語る。お手紙が来て返事を返すみたいな、そういう感じでしたね。

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丸若 ちなみに今日のお着物はどういったいわれのものなんですか?

吉岡 愛媛県の西予市野村町で、工房に戻る前に2年ちょっと染色の勉強をしたんですけど、そのときに養蚕のお手伝いもさせていただきまして。分けてもらった繭で、自分で糸を引いて織るところまでを勉強して作ったものなんです。それと、これにしたもうひとつの理由が色です。これからの時期、山や野で咲き始める花ってなぜか黄色が多いんですよね。福寿草とか菜の花とか。

丸若 撮影の現場でも、これから春だね、これから夏だねなんて、季節を思いながらやっていましたね。

吉岡 昔は、色で季節を表現するっていうのが教養の高さを表していたみたいですね。桜の季節なのに梅を感じさせるものを着ていると「あの人おバカさんね」みたいな。早すぎず、ちょっとの先取りがいいみたい。

丸若 そうなんですね、日本文化の中には多く見られる考え方ですね。

吉岡 季節に敏感な人が、美しさを知っているということだったようです。

丸若 美しさという言葉と季節という言葉って、同義の部分がありますよね。“ルネッサンス”って横文字にすると大きなことみたいなイメージがあるけれど、日本の四季っていうのは、毎回季節が変わるたびにルネッサンスをしているのかなと。

吉岡 そうですね。そう、そう、その通り。

丸若 USMの家具も、パネルを頻繁に替えるのは大変だけど、色を楽しむっていう意味では同じ感覚がある。日本人はそんなに強く、家具に色を求めないですよね。でもUSMの家具は、色があると生活がこれだけ変わるんだっていうのを体感させてくれるなって思いますね。色への感覚って、日本とヨーロッパで違うんでしょうか。

吉岡 海外に作品を持っていくと、「この色がなんで植物から出るんだ?」ってびっくりされます。特にヨーロッパの方に持っていくと、反応が大きいですね。ちなみに化学染料ってイギリスとドイツで生まれたんです。それまでは自然のもので染めていました。

丸若 化学染料を作ったっていうことは、ヨーロッパの方たちはそれだけ色への思いが強かったっていうことかな。でもいつしか、色への思いっていうスタート地点を忘れて、どんどん前に行っちゃったっていうことなのでしょうか。吉岡さんのところは、代々ずっと自然の色ですか?

吉岡 そうではないんです。初代は江戸の末期で、そのころの日本は、みんな植物で色を出していたんですね。明治に入って化学染料が入ってきて、世の中が「あたらしいものを取り入れたらかっこいいやろ」みたいな感じになって、京都の染物屋が全部化学染料になるんですよ。なので、うちも二代目の後半から化学染料。三代目はずっと化学染料で。

丸若 …吉岡さんには、化学っていう言葉すら使ってはいけないんじゃないかって思っていましたよ。

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吉岡 四代目は私から見ると祖父になるんですけど、一度染屋を戦争で畳んでいるんです。再開するときに染色ともう一度向き合ったときに、昔から残っている植物で染められたものを見て、その美しさにやはり感動したらしいんです。戦後は化学染料がいいと言われる時期だったので、祖父は植物での染め方を研究しなおしたんです。五代目の父になってからは、化学染料を完全にやめて、すべて植物にっていう感じです。

丸若 なるほど。いろんな歴史があるんですね。

吉岡 日本全体がそういう時代だったんですね。

丸若 当時は、化学染料を使うことが美の方程式だって、みんなが言ったってことですよね。時代によって、そして性別や国によって、美しさの方程式って変わりますね。そのなかでいま、吉岡さん含め多くの人たちがきれいだというのは、最終的に自然の色なんですね。

ABOUT
MARUWAKA Hirotoshi

1979年生まれ。東京都出身。日本の現代文化をしつらえる 「株式会社丸若屋」代表。普遍的な”美しさ”と今という”瞬間”を、モノとコトに落とし込む事で現代に則した価値を導き出す。伝統工芸から、「北嶋絞製作所」を始めとする最先端工業との取り組みまで、日本最高峰との”モノづくり”を行う。「九谷焼花詰 髑髏お菓子壷」(金沢21世紀美術館所蔵)、「上出長右衛門窯×JAIMEHAYON」(ミラノサローネ出品)、「PUMA AROUND THE BENTO BOX」を主導。 http://www.maru-waka.com hhttp://www.facebook.com/maruwakaya http://www.cultivatemeisters.com