特集|ロンドンからベニスへ、オリエント急行で巡る旅 Vol.1
特集|ロンドンからベニスへ、オリエント急行で巡る旅 Vol.1
クラシックとコンテンポラリーが交錯する都市
あたらしいロンドンステイの愉しみ方
東京を旅発ち13時間。木の葉が舞い、師走へと向かう2014年のロンドンは、いつになく活気に溢れていた。街中はイルミネーションで輝き、軽快なサウンドを鳴らしアストンマーティンが駆け抜ける。高級ブティックが建ち並ぶナイツブリッジの夜をさまよえば、気分は否応にも盛り上がる――。今回の旅の日程は5泊7日。ロンドンを起点に、イタリア・べニスまでをオリエント急行で巡るというルートだ。初日となる今宵は、ハイドパークの東にあらたに誕生したコンテンポラリーなホテル「45パークレーン」にステイする。
Photographs by Hiro MatsuiText by AKIZUKI Shinichiro(OPENERS)
ロンドンの“いま”を体現する45パークレーン
ロンドンの中心部メイフェアに居を構え、いまイギリスでもっともコンテンポラリーなホテルとして注目を集める「45パークレーン」。
2012年のロンドンオリンピック以降も、エリザベス女王の即位60周年、そしてキャサリン王妃の出産と、世界中から注目を集めるイギリスは、ファッション、アート、建築、フード、そして自動車までありとあらゆる“ひと・もの・こと”が活気づいている。
イギリス版のモノポリーでは、ここメイフェア地区を、もっとも高額の不動産がある街として設定しているそうだが、多くの高級ブティックが建ち並ぶことでも有名な、ニューボンド、オールドボンド、リージェントストリートなどはすべてこの徒歩圏にある。東京で例えるならば、銀座・丸の内界隈といったところだろうか。
だが近年、こうした伝統と格式を重んじたクラシカルな店舗のすぐ脇に、新スタイルのレストランやバー、ホテルが次々とオープンしているという。今回宿泊した45パークレーンも、その象徴的な建物のひとつだ。
ヒースロー空港を出て、クルマで約1時間。到着した45パークレーンのメインエントランスには、アメリカを代表するポップアート作家、ロバート・インディアナ氏による代表作『LOVE』がパブリックアートとして展示され、我々を出迎えてくれた。
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クラシックとコンテンポラリーが交錯する都市
あたらしいロンドンステイの愉しみ方(2)
エネルギッシュなロンドンを体感する
アールデコを現代風に解釈し、建築家のティエリー・デスポント氏によってデザインされた45パークレーン。外観はもとより、客室もすっきりとしたシャープな直線を基調とするモダーンなつくりを特徴とする。
用意される部屋数は全45室で、すべてがスイート。どの客室からもハイドパークを一望することができ、旅人に安らぎと、いま自分がロンドンに滞在しているということを実感させてくれる。
客室は、英国らしい雰囲気を持つエレガンスなホテルとは対照的に、極めて現代的なレジデンスだ。全室にタッチパネルを採用したリモコンが装備され、部屋の照明はもちろん、コンシェルジュの呼び出しまでも、ほとんどの機能が盛り込まれている。WiFiはもちろん、電源のソケットも十分に確保。多忙なビジネスパーソンでもきっと困ることはないだろう。
とは言え、仕事で滞在するにはもったいないほどの設備を有するのが、45パークレーンの魅力。館内には、日本でも“熟成肉”の火付け役となったウルフギャング・パックによるステーキレストラン「カット・アット・45パークレーン」で食を堪能するのも良いし、その後は深夜まで活気溢れる「バー45」で、シグネチャーカクテルを楽しむのも悪くない。
もちろん、45パークレーンの宿泊客ならば、近接の姉妹ホテル「ザ・ドーチェスター」内のレストランやバーも利用できるので、その日の気分に合わせて使い分けるのも楽しいだろう。
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クラシックとコンテンポラリーが交錯する都市
あたらしいロンドンステイの愉しみ方(3)
故きを温ねてあたらしきを知る
この姉妹ホテルである「ザ・ドーチェスター」は、イングリッシュ・レジスタンス・スタイルを基調とした、格式と伝統を重んじたロンドン屈指の老舗宿。45パークレーンを出て、わずか3分ほどの距離にあるが、その趣がまったくことなるのが面白い。
ザ・ドーチェスターの客室は全250室、ひとつとしておなじ内装の部屋が存在しないというこだわりようだ。エントランスをくぐれば、すべてが生花でアレンジメントされた広大な空間「ザ・プロムナード」に圧倒されることだろう。
ロンドンにせっかく来たのなら、アフタヌーンティーをためしたいという方にもザ・ドーチェスターはオススメだ。英国紅茶委員会からベストアフタヌーンティーに3度選ばれるという快挙を達成しただけに、もちろん予約は必須であるが。
こうしてふたつのホテルを同時に楽しむと、どちらも甲乙つけがたい魅力がある。もちろん、「45パークレーン」には、クリエイティブで、エネルギーに満ちたジェットセッターのユーザーが多いという話もうなずける。
しかし、人間とはわがままな生き物だ。45パークレーンに宿泊すれば、今度はクラシカルなザ・ドーチェスターが恋しくなるようで、事実、利用客の多くは、このふたつのホテルを交互に行き来しているそうだ。
こうした“故きを温ねてあたらしきを知る”という文化も、あたらしい世代のロンドンっ子の遊び方なのかもしれない。すでにクルマ文化がそうであるように。
自分はどちらが好みか、ぜひロンドンでためして欲しい。
45 Park Lane
Mayfair, London, W1K 1PN
+44-20-7493-4545
http://www.dorchestercollection.com/london/45-park-lane
The Dorchester
Park Lane, Mayfair London, W1K1QA
+44-20-7629-8888
http://www.dorchestercollection.com/london/the-dorchester