INTERVIEW|メゾン・ラデュレの新パティシエ、ヤン・メンギに密着!
LOUNGE / EAT
2015年2月23日

INTERVIEW|メゾン・ラデュレの新パティシエ、ヤン・メンギに密着!

INTERVIEW|150年以上つづく老舗メゾンが惚れ込んだ才能

メゾン・ラデュレに新パティシエ、ヤン・メンギ就任(1)

今年のバレンタインは、「ラデュレ」からはローズとフランボワーズの甘い香りに包まれるアントルメ「サントノレ・ジュリエット」や、ハート形のマカロン、バレンタイン限定ボックスなどが登場する。このバレンタイン・コレクションを手がけたのは、昨年10月にメゾン・ラデュレのシェフ・パティシエに就任したばかりのヤン・メンギ氏。今回、初来日を果たした彼に、ラデュレの銀座店「サロン・ド・テ」で話をうかがった。

Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)

「年齢を聞かれて、30歳と答えると驚かれます(笑)」

「人生初の日本ですが、ラデュレの店内に入ると“Art de Vivre(アール・ド・ヴィーヴル/暮らしのなかの芸術)”の世界観は変わりません。東京の中でそれが見つけられるのが面白い。ロワイヤル通りの本店も、シャンゼリゼも銀座も、どこもラデュレだなと思います。でも一旦外に出ると、そこは東京。不思議な感覚もあります」

ヤン・メンギ氏は、パリ生まれパリ育ちの30歳。とっさに「若いですね」と問いかけると、「日本に来て30歳と答えると、皆さんから若いと言われるのがとても不思議です(笑)。30歳は若いんですか?」と、逆に質問を返されてしまった。

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

ラデュレは150年以上もつづく老舗メゾン。「自分にとってラデュレは、パティスリーのオートクチュールメゾンです。15年前にパティシエになったとき、いつかはラデュレで仕事ができたらいいなと思っていました。目標というよりは夢ですね。そして昨年の10月、縁あってこのフランス菓子最高峰のシェフ・パティシエに就任しましたが、打診されたときは、誇り高い思いとプレッシャー、ある種の怖れ、そしてワクワクする気持ちが交錯しました」

ラデュレがあなたのどんな資質に注目したと思いますかと尋ねると、「パティスリーは、ただ技術だけでなくクリエーションが必要です。こうしてラデュレにかかわることができた理由は、まずクリストフ・ミシャラク(※)のもとで働いていたこと。そしてもうひとつは、世界で通用するパティスリーメゾンで働きたいという思いです。クリストフ・ミシャラクでは、あたらしいことを考えて取り組んでいくことを学びましたが、そういう姿勢に共感してもらえたのではないでしょうか」と分析する。

ラデュレは伝統や絶対的な世界観を守りつつ、あらたな風を吹き込んでくれることを彼に期待しているようだ。

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

そんな彼の資質を感じられるのが、2015年のバレンタインコレクションだ。「10月に就任してから、すぐにこのコレクションに取りかかりました。ポイントはフルーツとバラの香り。なかでも、バターをたっぷり使ったサブレ・ブルトンの上に、フランボワーズとジンジャーのコンフィチュール、ローズ風味の口当たりのやさしいカスタードクリーム、フランボワーズの果実を重ね、最後にローズ風味のクレーム・シャンティで飾った『サントノレ・ジュリエット』は個人的にも思い入れが深い一品です」

では、定番メニューのなかで、メンギ氏がもっともラデュレらしいと感じるものとは?

「キャラメリゼしたパイ生地に、バニラ風味のカスタードクリームを合わせた『ミルフィーユ ヴァニーユ』でしょうか。パリにいるときに、ラデュレでよく食べるのはこのミルフィーユなんです。個人的にはコーヒーベースのパティスリーが好きなので、次のコレクションではあたらしいパティスリーを作ってみたいですね」

※クリストフ・ミシャラク=2000年からホテル『プラザ・アテネ』のシェフ・パティシエを務め、パティスリー界の新世代を率いているパティシエのひとり

INTERVIEW|150年以上つづく老舗メゾンが惚れ込んだ才能

メゾン・ラデュレに新パティシエ、ヤン・メンギ就任(2)

自分の個性をどう仕事に生かしていくか

「パリ生まれ、パリ育ちというのは、ぼくのクリエーションに少なからず影響を与えていると思います」とメンギ氏。パティスリーに求められる姿勢については「目を開いて、いろいろなものをしっかり感じることが大事」と語る。

「わたしの夢は花のように生きていくこと。あたらしくなにかをはじめるときというのは花のつぼみに似ています。わたしはこれから、ここで花を咲かせていかなければなりません。それも最高の花を。ラデュレではなにが大切なのかをしっかり見極めて、多くの人に喜びを与えたい。愛されるメゾンに育てていきたいですね」

2015年のバレンタインコレクションは、前ページで紹介した「サントノレ・ジュリエット」のほかに、限定マカロンボックス「クール・クリスタル」や、限定マカロン「ローズ・フランボワーズ・ジャンジャンブル」、ハート形限定マカロン「クール・マカロン」などもラインナップ。

「1年のイベントのなかで、クリスマスとバレンタインは“愛”がテーマ。バレンタインの次はイースターで、遊び心がたっぷりある楽しいコレクションを考えています。こういうイベントは、私たちが子どもの目をもつことが大切。年始のガレットも、イースターも、子どもたちが楽しいと思うものは大人も楽しめるはずです」

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

メゾン・ラデュレといえば、化粧品ブランド「レ・メルヴェイユーズ・ラデュレ」なども展開する女性にとって憧れのブランド。最後に日本のラデュレ・ファンに向けてこんなメッセージを寄せてくれた。

「ラデュレは訪れるたびにあたらしい商品が並び、つねにあたらしい発見があるメゾン。店頭に並ぶパティスリーやマカロンが、直接ラデュレの世界観と繋がっているのです。この春からは、そこに自分らしい“ひねり”をくわえていきたいと思っています。ラデュレのあたらしい世界観に注目ください」

メンギ氏のデビュー作、2015年のバレンタインコレクションは、そんなラデュレのあたらしい一面が垣間見れる絶好のチャンス。一年でもっともロマンチックなこの時期に、甘美な芸術品に酔いしれてみてはいかがだろうか。

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

メゾン・ラデュレ|バレンタインデー

Yann Menguy|ヤン・メンギ
パリの料理学校「グレゴワール・フェランディ」でパティスリーを学び、2004年に「エディアール・レストラン」でキャリアをスタート。店員からパティスリーの責任者まで、パティシエとして必要なすべての段階を経験した。2008年、ホテル・ウェストミンスター内の「セラドン(le Céladon)」のチームに参加。2009年からは「シャトー・ド・シリー(Château de Chilly)」のシェフ・パティシエとして経験を積む。2011年にはスイス・ジュネーブに移り、レストラン「Buffet de la Gare des Eaux Vives」でシェフ・パティシエを務めたことも。2013年、クリストフ・ミシャラクの「ミシャラク・マスタークラス(Michalak Masterclass)」に参加。そして2014年10月、メゾン・ラデュレのシェフ・パティシエに就任した。

ラデュレ 銀座店
営業時間|10:30~22:00(ブティックは~20:00)

住所|東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越 2F

Tel. 03-3563-2120

http://www.laduree.com/

           
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