Chapter 5 ルイナール|くらくらするようなフェミニティ

Chapter 5 ルイナール|くらくらするようなフェミニティ

Wine&Liquor特集|フランスシャンパーニュ紀行

Ruinart|ルイナール

くらくらするようなフェミニティ

ルイナールは1729年に創業された最古のシャンパーニュ・メゾンである。生産量の多くが国内で消費されているため、日本では通以外に知られることは少なかったが、2001年に透明な瓶のブラン・ド・ブランが発表されると、輸入される本数がそう多くないにもかかわらず、その優雅で繊細な風味にくらくらするようなフェミニティを感じたシャンパーニュ・ラバーの間で、瞬く間に「ルイナール、飲んだ?」と噂されるようになった。

Photo&Cooperation by Kenichi SaitoEdit&Text by Yumiko Akita

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美しいミネラリティを与えるチョーク質の土壌

かくして、その味覚のナゾを解くため、まず最初に案内されたのは、地下深く掘られたクレイエール(チョーク質)のカーヴである。このカーヴはすでに2、3世紀のガロ・ローマ時代から存在し、何世紀もかけて石切り場として石を切り出しながら掘られていった。他のカーヴより地下深く、振動もなく、水分を蓄えやすいチョーク質のカーヴの湿度は85%と、ワインの保存に最適な環境である。

そして、全長8kmのカーヴを構成するこのチョーク質の土壌が、シャンパーニュに美しいミネラリティを与え、シャンパーニュ地方のクリマを決定づける重要な要素となっている。このチョーク質の土壌が地表近くにあるほど格付けが高く、その上に砂や砂利、粘土質の土壌が堆積しているほど下位となるのだ。さて、入り口から24メートルの深さまでは100段の階段を下りる。さらにそこから12メートル深い、地下36メートルまで下りていくことができたのだが、ひんやりと冷たい空気の地下カーヴにはすでに慣れていたものの、さすがにこの洞窟アトラクション(?)にはみな歓声を上げることになった。

ブラン・ド・ブラン=シャルドネ100%のこだわり

ルイナールでは他のどのキュヴェもシャルドネを40%は使用する。ピノ・ムニエはふくらみは出しやすいが熟成速度が早く、泡も大きくなるため、基本はシャルドネとピノ・ノワールになる。また、シャルドネ100%のブラン・ド・ブランと、ブレンドのロゼでは、最低でも3年瓶内熟成させる。シャルドネは熟成速度が遅く通常でも線が細くなりがちだからだ。シャルドネ100%のドン・ルイナールでは少なくとも8年の瓶内熟成をし、現行1998年ヴィンテージでは、グラン・クリュ100%のぶどうを使い、フレッシュで酸味がありエアリーな風味が特徴のコート・デ・ブランのシャルドネを66%、ストラクチャーや力強さ、果実味を与えるためにモンターニュ・ド・ランスのシャルドネを34%、使用している。

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忘れがたい印象を残すということ

シャルドネを多く使うようになったのは60年代のことで、ドン・ルイナールの初ヴィンテージは1959年、これは1967年にリリースされた。繊細でエレガントな味わいを出すシャルドネ主義ならではのこだわりは、最高級キュヴェであるシャルドネ100%のドン・ルイナールのリリース年にも現れる。たとえば、いくつかのブレンドスタイルのヴィンテージをリリースするシャンパーニュ・メゾンで突出したパワーがあると言われている2000年は、シャルドネ100%のドン・ルイナールでは、「理想の繊細なエレガンスが表現できない」ということで、現時点では「つくったけれどドザージュ(捕酒)用のリキュールワインにしてしまう」とのこと。確固たるスタイルを維持するメゾンとして、これは当然のジャッジなのだ。結果生まれたシャンパーニュのくらくらするような風味、忘れられないその余韻は、まるで美しい女性が立ち去るときの残り香のようである。

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デギュスタシオン記録

Ruinart Blanc de Blancs ルイナール ブラン・ド・ブラン
ぶどう品種|シャルドネ100%
希望小売価格|9240円

2001年に発表された透明な瓶のブラン・ド・ブランは、りんごや桃、柑橘類のフレッシュな果実の風味と、ムースのまるい軽さが心地よい。ほのかにバターの香りがしたかと思うと、フルーティでさわやかな余韻に包まれる。

Dom Ruinart 1998 ドン・ルイナール 1998
ぶどう品種|シャルドネ100%
希望小売価格|2万5200円

10年たっているとは思えないフレッシュさ、繊細さ。花の香りが豊で、第一印象は強くないけれど、余韻がものすごく長いのが特徴。石を彷彿とさせる香り、酸味がありながら、フルーティでやわらかい。ここにグラン・クリュ100%のシャルドネの美しい結晶を見ることができる。

取材協力|
Ruinart
http://www.ruinart.com/
サロン・ド・ヴィノフル
Tel. 03-5795-2553

日本問い合わせ先|
MHD モエ ヘネシー ディアジオ(ルイナール)
Tel. 03-5217-9738