戸田恵子|B’wayの役者の演技、ダンス、歌、すべてにおいて訓練! 鍛錬!
Lounge
2015年5月27日

戸田恵子|B’wayの役者の演技、ダンス、歌、すべてにおいて訓練! 鍛錬!

行った! 観た! 感動した!
B’wayの役者の演技、ダンス、歌、すべてにおいて訓練! 鍛錬!

今回は、やっと! 手にした夏休みに訪れたニューヨークでのB’way(ブロードウェイ)三昧を日記風にお届けします!WOWOWドラマ『ママは昔パパだった』もご声援ありがとうございました!

まとめ=K-co Toda

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1年半ぶりのNYC(ニューヨーク)日記

9月1日(火)晴れ
18:05 成田発→NYC

ニューヨークは昨年のお正月以来だから1年半以上ぶり。
ハワイ旅行に引きつづき、幼馴染の三ツ矢雄二さんと「BG Brand」のロンTでおでかけ。マスクはインフルエンザ対策。
飛行機は乾燥するしね。
出発前にラウンジのお姉さんにマスカーズ2ショットの写真を撮ってもらう。
やれ逆光だの、バックに飛行機を入れたいだのあーだこーだ。もうすでに楽しい!
(またまたマイレージカードを忘れた私。あとで手続きは、いつもめんどくさい……)
今回、観劇にかんしてはノープラン。飛行機の中であれこれ考えるつもり。これがまた楽しいさ。
頑張れば6~7本は観られるはず。観る、寝る、観る、観る、寝る、の旅、行ってきます!!

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9月1日(火)晴れ
19:00(NYC time) ホテル着

フライトは12時間弱。長いよね~! それでもいつもより2時間くらい早く着いた。
以前は着いた日も街に繰り出して観劇していたけど、ここ数年はグッタリ寝てしまうことが多い。
でも今回は行く気満々! でも観たい作品はなぜか火曜日19時開演が多い。いつからこんなことに?
B’way(ブロードウェイ)は通常20時開演なのだ。今夜はあきらめる。
飛行機の冷房で冷えた身体があたたまったら、ホテル内のレストランにご飯を食べに行こう。ちょっと頭がキンキンする。かき氷を食べたあとみたい。ぐでぐで~!

9月2日(水)晴れ

久々のタイムズスクエアは相変わらずひとで賑わっている。不景気のあおりであちこちの知っているお店が潰れているのが淋しい。なかでもヴァージンレコードがなくなっているのに驚いた。私の夜中の遊び場が……。

14:00~ 「WEST SIDE STORY」 $125,5 @THE PALACE THEATRE

ブラボー! 「WEST SIDE STORY」はいつ観ても完璧だ! これぞ金字塔! 幕開きからかっこいいし、ぞくぞくする。劇場にも合っているし、音もダンスも照明も装置もパーフェクトだ。

作者はシェイクスピアを、振付のJerome Robbinsはボブ・フォッシーをそれぞれリスペクトしているのが垣間見られるし、マイケル・ジャクソンはこのWEST SIDE STORYをリスペクトしているのもうかがえるし、良いものはなんらか受け継がれていくさまがとてもうれしく感じた。

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20:00~ 「9 to 5」 $176,5 @MARQUIS THEATRE

アメリカお得意のオフィス物コメディーミュージカル。
OL3人がセクハラ上司をやっつけるお話。3人のOLをはじめすべての役者が硬軟自在の演技。観ていてスカッとする。
間もなくCLOSEになるのか? パンフレットを2部買ったら1部$20のところ2部で$20となった。Tシャツを買っている人にももれなくパンフを付けていた。
それにしても劇場が冷え過ぎ。連日頭が痛い。私はカーディガンはもちろん、膝掛け持参で観劇なのに、ノースリーブの人もいます……。
夜食はDELIで野菜や焼きそばetcを買い、ホテルでビールと。昼間は「サッポロ」で塩ラーメンと餃子を食べました!

9月3日(木)晴れ

ブランチはウェリントンホテルの1階にあるいつもよく行くPark coffeeで大好きなフレンチトースト。厚切り2枚をペロリとたいらげる。夜は日本料理「対馬」でニューヨーク在住の日本の知人たちとご飯。

20:00~ ミュージカル「Next to NORMAL」 $111,5 @BOOTH THEATRE

とても切ないお話のミュージカルでした。キャストは6人のみ。ダンスはなく歌が命! なかなかに難しい楽曲だし、大曲が多い。
この国のミュージカルは三重唱とか五重唱になっても、それぞれの歌がちゃんと聴こえてくる。歌が上手いのか、ミキシングが上手いのか劇場が良いのか。いやすべてであろう。
息子を亡くした主婦が精神の病にかかり、彼女を見守る家族の葛藤の日々がつづられている。
B’wayはまだまだ大人が主役でいられる舞台が多い。というか力をもったものがそれに見合った仕事をしている。当然の在り方だと痛感する。

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ホテルでブルボンの「酢てきスタイル」を飲む

9月4日(金)晴れ

三谷幸喜さんが11月に香取慎吾くん主演の舞台を上演するSKIRBALL CENTERを視察に出かける。ワシントンスクエアの目の前。
ニューヨークをご存知ない方のために説明いたしますと、ワシントンスクエアとはB’wayのど真ん中のタイムズスクエアからはちょっと離れている。歌にもなっている「ワシントン広場」である。のどかでいいところだ。こんなところでできるなんて素敵ですね。ホールもすっごく綺麗。外側からしか見てないけど(笑)。三谷さんに早速写メを送りました。

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20:00~ 「The 39 Steps」 $114 @HELEN HAYES THEATRE

今回1本だけストレートプレイを観ることに。言葉なんてまったくチンプンカンプンなんだけど笑いました。たった4人の出演者(女1人、男3人)でそのうちの男性2人が何役も演じるというのが呼びもので観に行きました。
4人とも達者でフル回転、抱腹絶倒! マジフル回転!! 海外でもこういうひとたちを観るとうれしくなります。あ~皆一緒だ~!って(笑)。
セットもセットチェンジも微に入り細に入りアイデア満載!! 帽子だけで何度も早変わるさまはメッチャ笑えるし「温水夫妻」の梶原善が思い出された。あと右半身、左半身の衣装チェンジは最近の私のアシュラ男爵! あるいは堺正章さんの伝統芸か……? この国でもこの手法ありなのだ!!(笑)

9月5日(土)晴れ
14:00~ 「BILLY ELLIOT」 $256,5 @IMPERIAL THEATRE

これはプレミアムチケット。これまでのチケットもすべてオーケストラシートの値段。日本のS席ね。夜のチケットの値段は$350ぐらいでした。それほど人気の高い作品。短い滞在中に観られただけでもラッキー!
映画版「リトル・ダンサー」で有名ですね。皆まで言うな! 素晴らしい!! 素晴らしすぎる!! すべて!!
これだからNYC・B’wayはやめられない。マジで生きてて良かった。私の友人、知人みーんなに観せてあげたいと思った。

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20:00~ 「IN THE HEIGHTS」 $121,5 @RICHARD ROOGERS THEATRE

私的にちょっと勘違いしていました。モロHipHop系の作品だと思っていたらラテン系のノリでした。
60歳を過ぎているであろうお婆ちゃんの迫力あるソロに圧倒されました。
B’wayでは大人すぎる大人がバリバリ活躍している。
滞在中は毎日、晴れの気持ち良い日がつづいた。
週末はニューヨークの連休となっていてものすごい人、人、人。
楽しいOFFはあっという間ですね。

ご飯をあまり食べてないようですが、もうそれこそ適当。デリで買ったりCAFÉで食べたり。アメリカではあまり「食」には興味なし!
総じてB’wayの役者の演技、ダンス、歌、すべてにおいて訓練! 鍛錬! の賜物。
それ以外のなにものでもない。そして押し並べて観客も訓練! 鍛錬! の賜物か? 素晴らしい!
文化、民族のちがいをいってしまえばそれまでだが、観客のリアクションは拍手と声援のみならず、たとえば舞台から言ってはいけない悲しい言葉が聞かれたら「オーッ」と絶望のため息がこぼれ、客席が悲しみに包まれる。

そしてあとはひたすらマナーが良い。ホントに不思議なくらい無音だ。咳とかアメの袋の音とかまったく聞こえない。ときどき顔を見合わせてKISSしているカップルがいるけど、音はしないしまったく気にならない(笑)。
昨年観た「Jersey Boys」も大好きでもう一度観たかったがtime limit残念。次にまた行けるときまでやっていてほしいです……。

WOWOWドラマ『ママは昔パパだった』撮影に想いを寄せて―

『ママは昔パパだった』──うん? どういうこと? 誰しも首を傾げるにちがいない! 演じた私もそのひとりでした。

「性同一性障害」という言葉は耳にしたことはある。
そしてそれは私自身ただ「言葉」として受け止めていただけであって「病名」としての意識というか、捉え方はまったくしていなかったように思う。
私のまわりにも実際そういった方が何人か存在するのだが、そういったデリケートな部分にはふれないできた。私は男とか女とかではなくひとりの人間として接してきただけだ。だからこそ触れないできた。
だけど当の本人にとっては「性別」はとてもとても大事なことで、まず問題はそこからはじまっているのだ。そこがハッキリしないと人間としても生きていけないのだということをドラマで学ぶことになりました。

このドラマのお話をいただいて「えー!? 私ですか!?」
率直な疑問。美しい男のひとが演じるか、大柄な女性が演じたほうがよいのでは……? よりによって、私は小柄で華奢ときてる。絶対無理! と思った。最初は御辞退モードでした。
しかしながらプロデューサーや脚本家の大石 静さんからラブコールをいただき、一度みなさんとお会いすることに。そこで感じたことは、どうやら私は「側」だけを演じようとしていたことに気づかされたのでした。問題はそこじゃない! と。はっきり方向性を示していただきました。

「性同一性障害」(※性同一性障害とは、心の性と身体の性が食いちがっている状態を指す医学的な疾患名のことです)という病気についてもだが、性適合手術を受けてからの性別の在りかた。子どもがいる場合、いない場合。法律はそれによってちがってくる。事態はそこでも闘いとなっている。

私はれっきとしたひとりの女性が母として暮らしているなかで、世間の偏見のまなざしを浴びたり、子どもたちを守ることだったり元妻との友情や恋愛についてや、法とも闘っていく姿、生き様を真摯に演じようとそう思ったのでした。役をお受けするにあたっては、物理的に大変厳しいスケジュールを乗り越えなくてはなりませんでした。寝る間を惜しむ感じです。

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余談になりますが、このお話を三谷幸喜さんにご相談を申し上げたところ、「やるべきです!」と即答! 戸田さんはなにかリスクを抱えている役がとても似合いますから。僕もぜひ見たいです、と言ってくださった。事実上その一言が私の背中を大きく押してくれました。

撮影は3月末「ザ・ヒットパレード」東京公演終了後にINをして、その間、ヒッパレの大阪公演、キバコの会「素。」のスズナリ公演、名古屋公演をはさみ、そのほかのドラマやバラエティもやりながらになりました。
私自身はやると決めた日からは役に悩むことなどなく、設定のなかでその都度直面する問題ひとつひとつに取り組み淡々と演じてまいりました。

スケジュールは予想をはるかに上回る厳しさで、『ママは昔パパだった』の台詞を覚える時間や、ほかのものを覚える時間が捻出されず、悔しい思いで毎日心は泣いていた。実際お風呂で眠りそうになりながらもドラマの長台詞を必死で覚えたりしていました。半泣き?(笑)
子役の息子たちが私を癒してくれました。長台詞のシーンなど横に座っていた下の息子がワンシーンずつ進んでいくうちに「あと少しだね」と励ましてくれたりしてホントに愛しいと思いました。
これまでたくさんのお母さん役をさせていただきましたが、珍しく子どもたちとの3ショットの写真を部屋に飾っています。

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撮影後半戦に入ったころ、ドラマのモデルになった実在の水野淳子さんとお会いする機会に恵まれました。テレビのニュースやドキュメンタリーなどでお見かけしたことはありましたが、お会いするのははじめて。

実際は新幹線のぞみの運転士さんをしていらっしゃる。髪型は私とおなじようにロングのストレート。普段スカートをはかない私からすれば、スカートをはいているだけでもう女っぽいのに、誰がどこから見ても女性でありました。もちろん、中身も。当たり前ですね。
以来何度かお会いしておりますが、いつもお子さんたちのことを気にかけている「ママ」以外のなにものでもありません。

水野さんにお会いして、私は知らぬ間にスイッチが入ったようでした。
まわりのスタッフさんもおっしゃっていました。「なにか水野さんとダブるものがある」と。撮影も訴訟のシーンや陳情のシーンが増え、私たちが実際目にした水野さんのスーツ姿に似た服装の衣装が多くなり、多分それもあったと思われますが、私のなかでも闘う姿勢がリアルになりました。撮影の最初にお会いするのではなく、とても良いタイミングだったと思います。

撮影終了後、取材でよく聞かれた「テレビドラマ初主演ですがいかがですか?」という問いに一瞬閉口しながらも、(もちろん先方に悪気はないのはわかっています)主演じゃなかったらどうなんでしょうか? そこ大事ですか? と逆に問いたい気持ちでした。主演だからどうするとかなんてまったく考えもしませんでしたし、私はこれまでも、そしてこれからも目の前の役をただ演じるだけなんだと思います。主役とか脇役ではなく、今作品では「小谷仁美役」だったと思っています。
たくさんの方に観ていただき、ご支援いただきまして本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。

戸田恵子 番組情報
NHK連続人形活劇「新・三銃士」
教育テレビ 18:00~18:20
第一話~第五話
10月12日(月)~10月16日(金)
第六話~第十話
10月19日(月)~10月23日(金)
第十一話~
10月30日(金)~毎週金曜日

「ブラタモリ」
NHK総合 10月1日(木)スタート
毎週木曜 22:00~22:43
ナレーションにて出演

舞台情報
岸野組公演
『か・ら・く・り』 原作 ロベール・トマ『罠』より
10月16日(金)~25(日) 下北沢本多劇場
ご予約・問合せ
劇団岸野組 Tel. 048-442-2187
http://www.h3.dion.ne.jp/~kishinog

戸田恵子

           
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