新連載開始!|丸若裕俊がゲストと繰り広げる“旅のモノ語り”~同行逸品(どうぎょういっぴん)~|ThreeBond

新連載開始!|丸若裕俊がゲストと繰り広げる“旅のモノ語り”~同行逸品(どうぎょういっぴん)~|ThreeBond

同行逸品;Your Travel Must-Pack

新連載「同行逸品」~丸若裕俊が繰り広げる旅のモノ語り~

ゲスト|株式会社スリーボンド 常務取締役(取材当時)・土田耕作

伝統と革新、実直なモノ選び(1)

伝統的な匠の技と、最新の技術力を融合・投影したプロダクトをプロデュースする、丸若屋代表の丸若裕俊氏。彼をホストに、毎回異なるゲストが“旅に持っていくモノ”を持参して、旅について語らう新連載がスタートする。“旅には、人と人をくっつける力がある”――それは旅仲間同士の絆であったり、旅行者と地元住民の絆であったりする。連載開始にあたり、「旅の魅力」をそんなふうに語る、工業用シール剤・接着剤メーカー「株式会社スリーボンド」の常務取締役(取材当時)・土田耕作氏を招いた。ここから“旅のモノ語り”を始めようと思う。

※「同行逸品(どうぎょういっぴん)」とは、四国遍路の言葉「同行二人(どうぎょうににん)」からヒントを得たタイトルです。常に弘法大師と一緒に巡礼しているという意味で、笠などに書きつける語のことです。選び抜いた逸品とともにその人の旅がある――そんなイメージを表現しています。

Photographs by JAMANDFIXText by KASE Tomoshige (OPENERS)

何を守って何を変えていくか

丸若裕俊(以下、丸若) まずは簡単な会社紹介からよろしくお願いします。

土田耕作(以下、土田) 「株式会社スリーボンド」は、ごく簡単にいえば工業用シール剤・接着剤メーカーです。弊社の製品は輸送機器関連、電気・電子関連、工材公共関連、用品関連と、さまざまな分野に適用されています。また日本、アジア、中国、ヨーロッパ、北中米、南米の世界6極に分けて、会社を展開しています。

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株式会社スリーボンド 常務取締役(取材当時)・土田耕作氏

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丸若屋代表・丸若裕俊氏

丸若 出張は都市部が多いんですか?

土田 だいたい都市部が中心ですね。私自身の仕事はメインが人事、宣伝で、営業系ではありません。人事ですと現地の治安や、生活状況をチェックします。治安や衛生状態が悪い場所では、日本からケアする必要も出てきます。どういう人員を配置するか、赴任は家族全員なのか、とか。近くに病院があるか、日本語が通じるか……さまざまな状況を想定して調査します。

一方の広報・宣伝の仕事は、シール剤・接着剤という私たちの本業と、社会とどう“くっつけて”いくかということを考えています。たとえばモータースポーツと会社をリンクさせて、技術を磨いたり製品を開発したりしていく、という目的があります。マカオグランプリや世界選手権など、世界にチャレンジしていく――すなわち日本の技術が世界にチャレンジしていく、という。そのあたりが弊社オリジナルですね。そのような伝統というか、歴史や社風は、あまり崩さない方がいいと思っています。

丸若 今回の企画で、僕の関わっている仕事がまさにそうですが「何を守って何を変えていくか」が不明瞭になっている現状を、今一度考え直したいと思っています。明治以降、実は残さなくていいものを、伝統という形で残してしまったのではないか、という疑問がありました。

良いものを変えずに、続けていくことの重要性がある。それが「伝統」ではないか? でも変えていくべき部分もある。そういうことを、いろんな人たちに聞いてみたかったんです。会って、吸収して、共感できたらすごいなと。今までは自分が手がけてきたモノを「こんなにすごいんです」と伝えるばかりで、学ぶ姿勢が足りなかったのではないかと。

土田 わかります。私もこの業務に就いた最初のころと、いまでは、かなり変化した気がします。具体的に何かと言われると難しいのですが、他の人と会うとその情熱、技術、努力に胸を打たれます。業種は違えど最前線で頑張っている方々の話は、そういう共通点がありますね。

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ミネラルウォーター「ソラン・デ・カブラス」(スリーボンド貿易株式会社 http://www.threebond-trading.co.jp/

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丸若 モノを選ぶことはとても重要なんだけど、今まではトレンドという判断基準が大きな位置を占めてきたと思うんです。「こだわりの逸品を見せてください」って言うと、これまでは「このモノはトレンドなのだろうか」という判断が入ってきている気がしたんです。

でも旅っていうのは、そういう判断が少ないジャンルだと思うんです。最終的には自分に合ってるどうか、というのが自然なこと。モノを選ぶ瞬間は、おそらく身近な旅だと思ったんです。この連載にはこれからいろんな人が登場する予定ですが、「モノを選ぶのに」カラダを動かす人もいるし、アタマを使う人もいるし、それ以外の感性を使う人もいる。仕事においても、特に人と違う成果を生んで仕事している人は、選ぶ基準、判断の基準が、何か人と違うものがあると思うんです。

土田さんの場合は今までのお話をきいていると、人を選ぶ仕事、というのがひとつあると思います。ご自身の中でどんな基準を設けているんでしょうか。

土田 純粋な人、ですね。才能や処理能力よりも、どこか純粋な部分を見つけ出さないと、と思っています。採用面接でも、ちゃんと答えてくれる方が多いのですが、余りに当たり障りがなくて、素(す)の部分がわからない場合があります。ですから昨日何食べたかとか、そういう質問から、素(す)の部分を探そうとしています。最近特にこだわっていますね。

会社と同年代のクルマ

土田 旅ってその人の素(す)の面、価値観がそのまま出るところが面白いですね。スケジュールを綿密に立てる人もいれば、いきあたりばったりの人もいる。そして一緒に旅すると、人がくっつくというか、仲良くなったりしますよね。お互いに接点を見つけて。行ったその場所も好きになりますし。

丸若 ずっと思っていたことなんですが、本質的な旅の面白さが、最近では外側でしか語られてない――例えばテレビの旅番組って、シナリオに沿って進行するじゃないですか。でも本来旅ってそうじゃない。例えば宿がなかったとか、現地で知り会った人に教えてもらった食堂がとてもおいしかったりとか。“たまたま”が自分の経験になって、記憶になって、思い出になると思うんですね。冒頭で乗せていただいたあのクルマは、そのあたりと何か関係があったりしますか?

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土田 1955年頃に生産されたクルマで、弊社も1955年創業なんです。当時のクルマって、「エンジンオイルはボタボタ漏れる」ものだったんですね。エンジンオイルは足しながら走るもの、っていう。そんなところに弊社の創業者が「オイルがもったいない」と。戦争から帰ってきたばかりの人でしたので「ガソリンの一滴は血の一滴」と教えられていたようです。そのオイル漏れを防ぐ接着剤を作ったことが創業のきっかけなんですね。

で、今の若い人に昔のエンジンはオイルが漏れていた話をしてもピンとこないですよね。そもそもエンジンオイルは漏れないし。漏れても直せない。今のクルマって、素人がいじれないですし……そんな話をしていたときに、「ラ フェスタ ミッレ ミリア」という、イタリアのクラシックカーのレースの日本版を、弊社がスポンサードしていたのですが、スポンサードにとどまらず、実際にクルマを購入して、会社として参加することになりました。

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丸若 社員研修のような感じですか?

土田 そのような位置づけですね。例えばエンジン周りなどいろんなところに不具合が出るのですが――自分たちで修理することで、クルマに対する敬意とか尊敬とか憧れの念を抱くことができるんです。

そして行く先々での出会い、つながりが面白いんです。先日は、名古屋から和歌山、南紀白浜、奈良、京都、大阪へ。地方自治体がレースの主催者と取り組んでいるので、お祭り騒ぎです。クラシックカー100台くらいで。クラシックカー仲間になると、パーツがないとかみんな同じような苦労をしているので、とても仲良くなりますね。

丸若 クラシックカーが好きな方って、温故知新な、パワフルな人が多いですよね。新しいものをただ追っていっても、何も見い出せないこともありますし。新しいものって、飽和しちゃってる部分があるというか。

土田 今は売れるために安くしたりとか、グレードを下げたりする手法もあります。若者がクルマ離れしたと言われて久しいですけど、先日ある人に聞いたら、「そうじゃなくてクルマが若者離れしてる」っておっしゃっていました。

丸若 そう思います。マーケットばかり見て、本質にある、使う人たちのことをどこまで考えているかというと、疑問ですね。昔の人たちはクルマを愛していたと思いますし、作り手もユーザーと密接だったように思います。モデルチェンジが激しいっていう事実が、現状のクルマ業界を表している気がします。

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MARUWAKA Hirotoshi

1979年生まれ。東京都出身。日本の現代文化をしつらえる 「株式会社丸若屋」代表。普遍的な”美しさ […]