ランボルギーニ50周年イベントリポート 後編|Lamborghini
Grande Giro Lamborghini 50th Anniversary|
グランデ・ジロ・ランボルギーニ 50゚アニヴェルサリオ
ランボルギーニ50周年を祝う一大イベント 後編
誕生から50周年を迎えたランボルギーニ。その記念すべき年を祝うべく、全世界から「ランボファナティック」たちが自慢の愛車とともにイタリアに集結した。ミラノからランボルギーニの故郷、サンタガータ・ボロニェーゼまでの“猛牛ドライブ”。西川淳氏によるリポートの後編。
Text by NISHIKAWA Jun
5月9日―首都ローマへ
5月9日、フォルテ・ディ・マルミ~ローマ 403km
海沿いのリゾートに別れを告げ、南下する。目指すは、首都ローマ。
まずは、ピサの街を訪問。斜塔のある広場に、特別に乗り入れることができた。クラシックカーラリーではよくあることだけれども、最新モデルと古い建築物の組みあわせも、なかなか面白い。
午後、ローマ街道のひとつで、紀元前3世紀にまでその歴史を遡ることができるアウレリア街道をひたすら走る。何世紀にも渡って、旅人を見下ろしてきたのだろう。街道沿いの木々には、ほかにはない風格がある。
ランチは、グロッセートのイタリア空軍基地で。300台以上のランボルギーニが、広大な青空のもと、滑走路に並ぶ様子は壮観のひとこと。どうして空軍基地に立ち寄ったのか……その謎はツアー最後の夜に明かされることになる。このときは、ランボ関係者以外、誰もまだ知らない。
ローマが近づくと、やはりというべきだろう、大渋滞に巻き込まれた。こればかりは、国家警察でも処理しきれない。ところどころで、立ち往生する古いモデルたち。おそらく、クルマよりも人がツラかったはず。何しろ、その日は気温25度を超える夏日で、とても暑かった……
渋滞を抜けると、もうローマの中心部。夕暮れ。はんなりとピンクに染まる街並。サン・ピエトロ広場の前を走り抜け、ローマ市外を見下ろす丘の広場が、今宵、猛牛たちのやすらぎの場だ。
われわれドライバーはシャトルバスで市内のエクセルシオールへ。「サン・スピリト・イン・サッシア」で、ローマの要人やVIPたちを招いての晩餐会がおこなわれた。
Grande Giro Lamborghini 50th Anniversary|
グランデ・ジロ・ランボルギーニ 50゚アニヴェルサリオ
ランボルギーニ50周年を祝う一大イベント 後編 (2)
5月10日―猛牛と牛肉
5月10日、ローマ~ボローニャ 440km
出勤途中のローマっ子を、少しイライラさせながら、アウトストラーダで北上する。まずは、個人的にも大好きな山岳都市、オルヴィエートのドゥオーモへ。子供達のかわいい声援を受けつつ、今度はミレミリア ルートをなぞって、カントリーロードでひたすら北を目指す。
この日はもっとも長い行程ということもあって、ポリツィアもさらに急ぎ気味だ。100km/h制限のカントリーロードでは、平気で150を超えていた。勢い、参加者の走りもヒートアップ!
ランチは、「サルバトーレ・フェラガモ」が街ごと運営するという、イル・ボッロ・エスターテでトスカーナの名物料理を大いに堪能する。なかでも、4種類のモッツァレラチーズとビステッカ・フィオレンティーナが最高で、仲間達とおもわず、“夜に食わせてくれよ~”と叫んだ。ワインガ、ノメナイナンテ……
ビステッカと格闘しはじめた頃、急に雲行きが怪しくなり、アッという間に、にわか雨。
濡れるステーキよりもクルマを心配しろよ、と言いたくなったが、みんな構わず食事をつづける。
クルマはクルマ、メシはメシ、人生は人生、それぞれにそれぞれの楽しみと苦しみがあるというわけだ。
というわけなので、午後、楽しみにしていたフータ峠(ミレミリアで有名だ)は、ウェットコンディション。それでも、この三日間ですでにカラダの一部と化した(と勝手に思いこんでいる)ガヤルドで、がんがん攻め込んでいく。遅い12気筒をぶち抜いて、地元の走り屋たちと戯れた。スーパーカーのマニュアルミッションって、こんなに楽しかったんだ、と再発見。我を忘れて楽しんでいるうちに、ボローニャの街が見えてきた。
沿道には大勢の人出。旗を振り、もっとアクセルを吹かせとそそのかす。町中に響き渡る、ランボサウンド。不思議と、“やっと辿り着いた”ではなく、“帰ってきたなあ”という気分になった。
この夜は、翌日の大パーティに備えてか、カジュアルなディナー。
Grande Giro Lamborghini 50th Anniversary|
グランデ・ジロ・ランボルギーニ 50゚アニヴェルサリオ
ランボルギーニ50周年を祝う一大イベント 後編 (3)
5月11日―次は100周年だ
5月11日、ボローニャ~サンタガータ・ボロニェーゼ 35km
マッジョーレ広場は朝からたいへんな人だかりだった。それもそのはず、普段でもボローニャっ子たちで賑わう大きな広場がほとんど猛牛に占拠されているのだ。広場内に入れるのは、参加者とゲスト、そしてスタッフ、メディアのみ。うかうかクルマの前を歩いていると、「ちょっと、写真撮っているからどいてよね!」、なんて言われること、しばしば。
午前中は、コンクール・デレガンスだ。古いクルマを中心に、ハットとブレザーの審査員が吟味していく。オーナーは、審査員の指示にしたがって、ライトを点灯させたり、エンジンを吹かしたり。どこのコンクールでも、審査員にくっついてクルマを見てまわるのが、もっともタメになって面白い。
午後。いよいよ、最後のミッションがスタートした。本社工場のあるサンタガータ・ボロニェーゼまでの35キロを、パレードランだ。
さすが生まれ故郷の街だけあって、ボローニャ市街はもちろん、通過する街街で大歓迎を受ける。みんなが笑顔で、“おかえり!”と叫んでくれているようにみえた。
本社の正門がみえてきた。
いつもより、建物が、なんだか暖かい。特設ゲートをくぐる。スタート時よりも、もっともっと晴れがましい気分になった。包まれた空気すべてが断然、ハートウォーミング。
ウルス、そしてエゴイスタ
夜も更けたころ、パーティがはじまった。招待客千人の、ガラディナーだ。
ここでの主役は、ランボルギーニの最新作。
まずは、「ウルス」の市販が正式にアナウンスされた。
次に、轟音が響き渡ったかとおもうと、あの「ヴェネーノが、会場内のレッドカーペットを進んできた。
そして、もう1台、ヴェネーノとはちがうエグゾーストノートを響かせて、入ってきたのが……エゴイスタ!
そう、ジェット戦闘機をイメージした、一人乗りのワンオフコンセプトカーだ。ボクはおもわず叫んだ。
「クーンタッチ!!!!」
50周年はあらたなスタート地点
ランボルギーニは、これからもずっと、我々を驚かせつづけてくれるに、ちがいない。そう、50周年の区切りは、100周年に向けたスタート、折り返し地点にすぎないのだから……
ノスタルジーにひたるだけでは決してない。これは、いわば区切りの祝祭。次の50年のために、そろそろ過去を物語に整理して、もっともっと前を向いていこうぜ!
グランドツアーは、そんな彼らの宣言でもあった。