加工速度や完成品のクオリティに格段の差が出てくるため設計センスが問われるんです|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|加工速度や完成品のクオリティに格段の差が出てくるため設計センスが問われるんです

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

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カリモク ☓ BE@RBRICK 取材リポート 前編(1)

2001年に誕生したメディコム・トイのBE@RBRICKは、これまで様々な素材で製造されてきた。中でも日本を代表する木製家具メーカーであるカリモクとのコラボレーションは、1品ずつ熟練した職人のハンドメイドで仕上げられた究極の逸品として、多くのファンに愛されている。今回は愛知県知多郡東浦町にあるカリモクの工場を訪れ、製造工程を見学させていただく機会に恵まれた。そこではカリモク社製BE@RBRICKが誕生するまでの秘話、製造工程における工夫の数々、開発に苦労したモデルなど、これまであまり語られてこなかった貴重なお話をうかがうことができた。BE@RBRICKファンなら見逃せないエピソードの数々を、全3回にわたってお届けしたい。

Photographs by OHTAKI Kaku Text by SHINNO Kunihiko

多分できるよ。ちょっとやってみる

今回、取材に応対してくださったのは「BE@RBRICK カリモク」シリーズを立ち上げから現在に至るまですべて手掛けてきたカリモク家具株式会社 マーケティングセンター 新規事業部の池田令和さん。まずはカリモクの歴史から語っていただいた。

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池田 カリモクの正式名称は「カリモク家具株式会社」(※実際には複数企業で構成されているグループ企業であり、カリモク家具はその中のひとつ)という木製家具メーカーで、グループとしては製造工場が愛知県や岐阜県などに5箇所、資材工場が秋田県、北海道、マレーシアに3箇所、営業系では国内で28営業所、26ショールーム、3アウトレットを持っている日本で一番大きい木製家具メーカーです。取り扱っている商品もダイニングテーブル、ソファ、リビングテーブル、ベッド、ワードローブ、テレビボードなど家具製品はほぼトータルに揃っています。

ただし、昔から唯一やっていないのが婚礼家具なんです。愛知県の会社ということもあり、よく勘違いされて「昔は婚礼ダンスでさぞかし儲かったでしょう?」みたいなことを言われることも多いです(笑)。

創業は1940年。初代社長が愛知県刈谷市に木工所を作りました。

1947年に刈谷木材工業株式会社を設立。紡績機の木部分を製造するなど下請けの作業をしていましたが、1950年代に入ると当時、ミシン用木部品を製造していた関係から、ミシン工業会経由でアメリカの企業から家具の生産依頼を受け、ハワイとロサンゼルスへ輸出する家具の製造を委託されました。

それらはアメリカ人サイズなので日本では当然流通されず、フラットパックにして送ってアメリカで組み立てていました。

メディコム・トイ カリモク ☓ BE@RBRICK

カリモク家具株式会社本社
愛知県知多郡東浦町大字藤江字皆栄町108番地

その頃はまだ日本人の生活は座椅子や座卓が主流でしたが、これからは洋家具のような高い椅子に座る生活が広まるんじゃないかということで、海外向けだったデザインを日本人の体型や住宅に合ったものにダウンサイジングして改良を加え、1962年に自社製品として国産家具の生産販売を開始。国内向けの木工家具生産が本格稼働するようになります。

メディコム・トイ カリモク ☓ BE@RBRICK

カリモク60ブランドの「Kチェア」。

いま弊社で展開している「カリモク60」というブランドでは、「Kチェア」をはじめ1960年代から作り続けている家具をそのまま展開し、ミッドセンチュリー好きのお客様から高く評価をいただいています。

また今まで有効に活用されてこなかった小径の国産材を使った「カリモクニュースタンダード」など様々な取り組みをしています。

私は「カリモクニュースタンダード」のブランドマネージャーも担当しておりまして。今年で立ち上げから10年目になりますが、日本だけでなくオランダ、スイス、ドイツなど各国のデザイナーにも参加いただいています。

一般的な家具のイメージだけでなく「カリモク変わったね」「先鋭的だね」と言ってもらえる試みのひとつだと思います。

これは余談ですが、ファンの方ならご存知の通り、カップヌードルのCMなどで知られる漫画家・窪之内英策さんの『ツルモク独身寮』(1988年〜1991年、ビッグコミックスピリッツ連載)という作品は、窪ノ内さんがデビュー前に勤めていたカリモク家具がモデルなんです。漫画に出てくる工場の風景もそのままで、キャラクターの中には実在する当時の社員をモデルにして描かれた人もいるそうです。

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1962年、自社製品として開発されたカリモクの初期モデルの「Kチェア」は誕生から改良を続け、現在もなお作り続けられている「カリモク60」ブランドの代名詞的ロングセラー。また日本の家具デザインの新たなスタンダードとなるべくスタートした「カリモクニュースタンダード」では、これまで有効利用されていなかった日本原産のカエデ、クリ、ナラといった広葉樹を使用し、森林保全や林業地域の活性化にも取り組んでいる。

そんな家具メーカーであるカリモクがメディコム・トイと手を組み、木製のBE@RBRICKを誕生させるまでには、いったどんなことがあったのだろう? 出合いは今から14年前、2005年に遡る。

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池田 私が所属するマーケティングセンターというところは開発セクションで、インハウスのデザイナーが約30人いてソファやテーブルなどいろんなものを作っています。その中でも新規事業部は会社に有益な未利用木材を使った取り組みや、事業の可能性のあるものをゼロから生み出していくという、少し特殊な部署。なので社内だけでは生まれない斬新な発想を求めて、例えば外の方との話し合いの中で「これを木材でやったら面白いよね」と思えるような取り組みも比較的積極的に検討しています。

メディコム・トイさんとの最初の出合いは2005年でした。当時、私は企画・開発の部署にいまして、メディコム・トイさんが今度オリジナルのテキスタイル(織物・布地)を軸とする「FABRICK」というブランドを立ち上げるので協力していただけませんかというお話をいただいたんです。「うちに何ができますか?」とうかがったところ「家具をやりたいんです。ソファのように布を使った家具で、木部にカリモクさんの製品を使いたいんです」と。それならご協力できますねという話になりました。

そのときメディコム・トイさんから、こういうことをやっている会社ですという参考として、いろいろなフィギュアのサンプルをお借りした中にプラスチック製の400% BE@RBRICKがあったんです。我々は木工加工の応用範囲を広げたい、惰性としがらみから離れて木工の基本に立ち返りたいという思いで、究極の精度が求められる木製のBE@RBRICK作成にチャレンジしました。正直、私自身はこういう3次元的なものをうちの会社でできると思ってもいなかったんですけれども、職人は「多分できるよ。ちょっとやってみる」って。

当時はまだ弊社には3Dスキャンがなかったので、既存の加工機械にゲージをつけて、数ミリずつずらしながら形状データを拾って、作成データを作りました。もちろん現行の商品のようなきちんとした精度ではないのですが、形的にはきれいにできたんです。

しばらくしてメディコム・トイさんが「FABRICK」の展示会を東京の御茶ノ水にある小さなギャラリーでやりますというお誘いをいただいたので、うちの部署のリーダーが「これをちょっと展示会に持っていって皆さんに見せてみようか」と言って、ゲリラ的に展示会の場に並べてみたんです。

すると会場に集まっていたメディアの方がみんな「ナニこれ!?」みたい感じになりまして。我々としてはあまりに反応が高すぎるとまずいから、そろそろ隠した方がいいかもねって話をしていました。そこに赤司社長がいらして。怒られると思っていたら、すごく気にいっていただけたんです。展示会後、しばらく経って、赤司社長から木製のBE@RBRICKを本当に生産することが可能ですか? との打診がありました。我々は、「こういうことが木材でできます」ということをその展示会でお見せできたことは改めて良かったなと思います。

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