人間が到達できる描写力の限界地点へ。スーパーリアリズムの画家・上田薫の個展開催|ART
LOUNGE / ART
2019年3月12日

人間が到達できる描写力の限界地点へ。スーパーリアリズムの画家・上田薫の個展開催|ART

ART|きらめく瞬間を絵画に閉じ込める

『-画集刊行記念-上田薫展』生たまごやスプーンに映し出される
一瞬を描くスーパーリアリズムの巨匠の個展開催

スーパーリアリズムの巨匠・上田薫の個展『-画集刊行記念-上田薫展』が、2019年3月20日(水)~26日(火)まで、東京・日本橋髙島屋にて開催される。

Text by OZAKI Sayaka

モチーフに映り込む光まで緻密に描き、圧倒的な存在感を放つ

上田薫氏は1928年東京に生まれ、東京藝術大学を卒業後、アンフォルメル絵画(抽象的絵画)の影響を受けた作品を発表してきたが、’70年代以降は写実主義の絵画を手掛けてきた。’75年には第11回現代日本美術展で東京国立近代美術館賞、第10回ジャパン・アート・フェスティバルで優秀賞を受賞し、’80年代には大学教授も務めた。

作品は、中学や高校の教科書にスーパーリアリズム絵画として掲載されるほど良く知られた存在。モチーフの生たまごやスプーンに映り込む光や室内の風景まで緻密に描かれた作品は、圧倒的な個性と存在感で見る者を魅了するのだ。上田氏が制作を始めてから約半世紀、90歳を迎えるいま現在も精力的に制作活動を続けている。

「サラダD」 10F(油彩・キャンバス) 2008年。

「サラダD」 10F(油彩・キャンバス) 2008年。

「アカンサスB」 6F(油彩・キャンバス) 2013年。

「アカンサスB」 6F(油彩・キャンバス) 2013年。

このたび、上田氏の画集刊行を記念して日本橋髙島屋で開催される『-画集刊行記念-上田薫展』では、昨今の写実ブームに見られる工芸的、職人的な技巧の追求ではなく、また哲学的、概念的に偏重しがちなリアリズム絵画とは一線を画す上田薫氏の写実を再考察することを趣旨として作品がセレクトされた。鑑賞者に「リアルとは何か?」を問いかけ、モチーフの一瞬を絵画として閉じ込めた上田氏の作品世界にぜひ触れてほしい。

「なま玉子」 0号(油彩・板) 2017年。

「なま玉子」 0号(油彩・板) 2017年。

『-画集刊行記念-上田薫展』
会期|2019年3月20日(水)~26日(火)※最終日は午後4時閉場
住所|東京都中央区日本橋2丁目4-1
会場|日本橋高島屋S.C. 本館 6階美術画廊

問い合わせ先

日本橋高島屋S.C.本館

Tel.03-3211-4111(代表)

           
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