「生誕110年 東山魁夷展」独自の心象風景を描いた作品約70件が集結|ART

ART|「生誕110年 東山魁夷展」独自の心象風景を描いた作品約70件が集結

《緑響く》1982年、東山魁夷、長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

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ART|自然の情景に自らの心を重ねた静謐な風景画

国民的風景画家と謳われた東山魁夷の
画業を回顧する「生誕110年 東山魁夷展」

戦後を代表する国民的風景画家と謳われてきた東山魁夷(1908年~1999年)。その東山魁夷の生誕110周年を記念し、東京では10年ぶりとなる大規模回顧展「生誕110年 東山魁夷展」が、国立新美術館にて2018年10月24日(水)~12月3日(月)まで開催される。

Text by OZAKI Sayaka

20世紀とともに生きた東山の画業の全貌

「生誕110周年 東山魁夷展」は、自然の景色に自らの心情を重ねた美しい風景画を描き、国民的画家とも謳われた東山魁夷の生誕110周年を記念する回顧展だ。

東山魁夷は横浜に生まれ、東京美術学校を卒業。1933年にドイツ留学を果たし、後の画業につながる大きな一歩を踏み出したが、太平洋戦争に召集、終戦前後に相次いで肉親を失うなど苦難の時代を過ごした。

どん底にあった東山に活路を与えたのは、自然が発する生命の輝きだった。

1947年に日展で特選を受賞した《残照》は、日没の光に照らされて輝く山岳風景に当時の東山の心情が色濃く反映された作品だ。

以後、東山は気負うことなく素直な目と心で自然を見つめ、そこに現れた生命に自分の心を重ねた風景画を描くようになる。

東山魁夷ポートレート(1984年・75歳) 撮影:日本経済新聞社

1962年、東山は自らの心に叶う風景を求めて北欧を訪れ、《映象》(1962年)、《冬華》(1964年)などの連作を発表。幻想的で清澄な画面が評価され、そこに青い色が多用されたことから「青の画家」というイメージが生まれた。

《冬華》1964年、東山魁夷、東京国立近代美術館蔵

北欧から帰国後、皇室から依頼された新宮殿の大壁画制作のため、日本的なモチーフを探して日本古来の文化の粋が集まる京都に赴き、古都を描いた連作を発表。北欧シリーズとは全く異なる、画家の大和絵的側面が現れた日本回帰の作風として、東山の画風に新たな魅力を加えた。

新宮殿の大壁画完成と同年の1968年に「京洛四季」展で連作を発表。ダイナミックかつ幻想的に花々を描いた《花明り》など新たな画風の作品を生み出したのだ。

京都シリーズを公表した翌年、東山はドイツ、オーストリアへ旅立つ。

長い年月に渡って人々が暮らし続けるドイツ、オーストリアの堅牢な石造りの建物や街並みに、古都の魅力である文化の蓄積を写し取った《窓》(1971年)、《古都遠望》(1971年)を発表。これまでの自然を描く画風とは一風変わった新たな魅力の幅を広げた。

東山の風景画の大きな特色は、

初期の代表作《道》(1950年)が早くも示したように、平明な構図と澄んだ色彩である。

日本のみならず、北欧、ドイツ、オーストリアを旅して研鑽を積んだ東山は、装飾性を帯びた構図においても自然らしさを失わず、青が印象的な清涼な色彩の力も駆使し、見る者の感情とも響きあう独自の心象風景を探求し続けた。

本展では、完成までに10年の歳月を費やした、東山芸術の集大成とも言える唐招提寺御影堂の障壁画を特別に再現展示。20世紀とともに生きた東山の画業の全貌を、壮大な障壁画を含む約70件の名作とともに鑑賞したい。

《行く秋》1990年、東山魁夷、長野県信濃美術館 東山魁夷館蔵

生誕110年 東山魁夷展

会期|2018年10月24日(水)~12月3日(月)
開館時間|10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)
会場|国立新美術館 企画展示室2E
住所|東京都港区六本木7-22-2
主催|国立新美術館、日本経済新聞社、テレビ東京、BSテレビ東京
特別協賛|大和証券グループ
協賛|大和ハウス工業、凸版印刷、トヨタ自動車、パナソニック、三井物産
特別協力|唐招提寺
協力|長野県信濃美術館 東山魁夷館

問い合わせ先

新国立美術館

Tel.03-5777-8600(ハローダイヤル)

http://www. http://kaii2018.exhn.jp/