連載|美しきBoutique city、アデレードへ Vol.2

連載|美しきBoutique city、アデレードへ Vol.2 大自然をもっと身近に感じられるカンガルー島

©Julie Fletcher

連載|美しきBoutique city、アデレードへ

大自然をもっと身近に感じられる場所
オーストラリアの“ガラパゴス”カンガルー島へ

自然溢れるオーストラリアの中でも、大自然を身近に感じられる都市アデレード。ここから南へ約143キロの沖合に位置しているのがカンガルー島だ。総面積は4430㎢。東京都の2倍の広さを持つ、国内で3番目に大きい島だ。島内には1つの国立公園と23の自然保護区がある。本島から離れていたことで、人や外来種の影響を受けなかったため、手つかずの自然や固有種が残ったという。オーストラリアのガラパゴスとも称されている野生動植物の楽園だ。

Composition & Text by MAKIGUCHI June

Vol.2 UP-CLOSE and PERSONAL, WILD NATURE

1万年ほど前には、先住民アボリジニが住んでいたというカンガルー島。イギリス人探検家マシュー・フリンダーズにより再発見されたのが、1802年のことだ。名前は、後にオーストラリア大陸を周回し、“オーストラリア”という国名を広く知らしめる立役者となった一行が、この島を発見し上陸したときのエピソードに由来する。

Kangaroo, Adelaide Hills, SA

©Tourism Australia

Kangaroo at Cleland Wildlife Park, Adelaide Hills, SA

©South Australian Tourism Commission

当時、すでにアボリジニたちは島から忽然と姿を消しており、先住民がいなくなってから4500年ほどが経過。島は忘れられた存在となっていた。上陸時、フリンダーズ一行は水と食料に不足していて、島で見つけた多くのカンガルー(中には、ワラビーも含まれていたと言われるが)で飢えをしのいだという。島の名は、カンガルーたちに感謝と敬意を表して、フリンダーズがつけたものだ。

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島を移動していると、多くのカンガルーに出会うが、人を見ても逃げることなくリラックスしている様子からは、島民たちに愛され、大切に保護されていることが伝わってくる。より確実に野性のカンガルーに出会うなら、フリンダーズ・チェイス国立公園に向かうといい。島の西側に広がり、実に全島の20%を占める広さを誇る。空港のあるキングスコートから約110㎞、車で1時間半ほどの場所にある。

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まずは、ビジターセンターで入園料(一人A$11)を支払って入場。敷地内は自由に移動できるのだが、野生動物が多く生息しており、警戒心のないカンガルーが近づいてくることもある。

また、ビジターセンター横の駐車場にはユーカリの木が立ち並んでおり、そこでコアラを発見できる可能性も高い。ユーカリの木の上で佇む野性のコアラを始めて見る瞬間は、大人であっても興奮するもの。入園前から、“野生動物の楽園”を実感できる場所だ。

もっとコアラと近づくなら、コアラに触れることができる施設のひとつ、カンガルー・アイランド・ワイルドライフパークへ。オーストラリア国内でも、南オーストラリア州は“コアラ・カドル(抱っこ)”が許可されている3州のうちのひとつ(他2州は西オーストラリア州、クイーンズランド州。その他の州では接触が禁じられている)。

このカンガルー島では、カンガルー・アイランド・ワイルドライフパーク内で体験可能なのだ。ここにいるのはケガや事故などから救われた保護コアラ達。彼らが疲れないよう、時間制限、抱き方などルールが設けられている。

のんびりとした保護施設内では、ゆったりと暮らすコアラ達の、意外にも活発な一面を見られることもあり、自然の中で観察するのとは違った表情に触れることができるのも魅力だ。

広大な園内を車で走っているだけで、カンガルーはもちろん、その小型版ともいえるワラビー、木の上にはコアラ、運が良ければ、ハリモグラやカモノハシといった珍しい固有種に出会うことができる。

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国立公園内には、息をのむような自然の景観にも出会うことができる。島の南西端の崖には、御影石が風や波、雨によって浸食されてできた巨大な奇石リマーカブル・ロックスが鎮座する。奇跡のバランスで佇む30mもの高さの石は、数億年かけてこの造形に。視界をさえぎる物のない広い海を背景に、どっしりと佇む姿は実に圧倒的で、いつまでも眺めていたくなる。まさに、自然が創り上げた芸術品だ。

Exceptional Kangaroo Island, South Australia

©Exceptional Kangaroo Island

Remarkable Rocks, Kangaroo Island, SA

©Will Cho

近くには、せり出した岬の内部が長年にわたって風と波に削られ、アーチ状になったアドミラルズ・アーチがある。岬に立つ赤い帽子のアイコニックな灯台が目印だ。そこから敷かれた遊歩道を進むと、崖を下るように階段が伸びている。その先にあるのが展望スペース。アーチ越しに臨むことができるのが、この造形を生み出した南極海の荒々しい波濤。ここから南にある大陸は南極のみだと思うと、この風景にもより神秘性が増す。付近では、ニュージーランド・ファー・シールというオットセイが身体を休める様子も同時に観察できる。

Seal Bay Conservation Park, Kangaroo Island, SA

©South Australian Tourism Commission

Sealion, Kangaroo Island, SA

©Southern Ocean Lodge

カンガルー島は、野性のアシカを間近で見られることでも有名だ。シール・ベイ自然保護区は、キングスコートから南へ約50km、車で45分ほどの距離にある。オーストラリアで2番目に大きいアシカのコロニー(繁殖地)で、多くのオーストラリア・シー・ライオン(アシカの一種)を間近に観察することができる。保護動物に指定されている野性のアシカが、ゴロゴロと寝転ぶ様子は何とも微笑ましいが、ときおり子供同士がじゃれ合ったり、オス同士が小競り合いを始めたりするのを、柵も檻もないオープンスペースで、しかもわずか数メートルという近さで眺められるのは貴重な経験だ。アシカの生態や保護活動の様子を学べるビジターセンターまでは無料だが、野性のアシカがのんびり昼寝をしているビーチを歩いて彼らに近づくには、個人でレンジャーにエスコートを頼むか、1日10回ほど開催される約45分の有料ガイドツアーに参加する必要が。豊富な知識と経験を持つレンジャーたちの解説を聴きながら、アシカを眺められるのは特別なひとときだ。

Sea Lion, Baird Bay, SA

©Tourism Australia

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また、ここは野鳥の楽園としても有名だ。ラプタードメインという施設では鳥だけでなく猛禽類による飛行や狩りのデモンストレーションを見ながらその生態について楽しく学びながら、鳥たちに触れる貴重な体験もできる。そのほか、イルカと泳ぐことのできるドルフィン・スイムや、野性のペンギンが歩く町ペネショーなど島での楽しみは尽きない。

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ABOUT
牧口じゅん

牧口じゅん|MAKIGUCHI June 共同通信社、映画祭事務局、雑誌編集を経て独立。スクリーン中のファッションや食、音楽など、 ライフスタイルにまつわる話題を盛り込んだ映画コラム、インタビュー記事を女性誌、男性誌にて執筆中。