フォルクスワーゲンがディーゼルに注力し続ける理由|Volkswagen

フォルクスワーゲンがディーゼルに注力し続ける理由|Volkswagen

Volkswagen Passat Variant TDI

CAR NEWS

Volkswagen|フォルクスワーゲン

パサートTDI導入に際して行われた基調講演

フォルクスワーゲンがディーゼルに注力し続ける理由

フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、「パサート」のディーゼルモデル導入にあたり、国際モータージャーナリストの清水和夫氏と、このために来日したドイツ本国のフォクルクスワーゲンAG先進ディーゼルエンジン開発部長、Dr.エッケハルト・ポット氏による基調講演を開催した。その中で、同社がディーゼルエンジンに強くこだわる理由、技術研究、そして将来の展望などが語られた。

Text & Photographs by UCHIDA Shunichi

基調講演を開催し、よりディーゼルの認知度を深める

冒頭において、フォルクスワーゲン グループ ジャパンのシェア社長により「現在自動車業界を大きな変化を迎えています。特にパワートレインの分野においては何年にもわたって内燃機関が支配してきましたが、いまや電動化、プラグインハイブリッドが台頭してきて、社会全体がエネルギー供給の課題に注目しています。その中で、ディーゼルエンジンの役割を語っていきたいのです」と、今回の基調講演の位置づけを説明した。

s_001_vw_passat_TDI_lec

フォルクスワーゲン グループ ジャパン シェア社長

日本の空は一番青い

清水和夫氏は、サスティナブルなモビリティをテーマに、グローバルでの共通項とともに、日本の中でどのように交通問題、あるいは自動車の次世代の話を考えていくべきなのかについて語った。

地球温暖化に関してはグローバルな問題で、どこの国に住んでいる人でも同じような被害や災害を受けるが、大気汚染に関してはクルマがたくさん走っている都市部の問題、ローカルな問題だとし、「国や都市の政策によってさまざまな大気汚染の問題について解決の方法を模索しています。しかし、大気が汚れたからきれいにしようというのは今までの対策の仕方で、これは対処療法に過ぎません。しかし我々は1970年代の排気ガスの問題時、日本社会はアメリカのマスキー法に端を発した公害問題で嫌というほど経験していますので、これからは対症療法ではなく、予防という方向で考えていかなければいけません」と述べた。

s_003_vw_passat_TDI_lec

国際モータージャーナリスト 清水和夫氏

s_018_vw_passat_TDI_lec

清水氏はさまざまな取材旅行で各国を周ると、東京の空が一番青いことに気付いたという。その理由は、日本が排ガス規制のマスキー法を受けて、53年規制により厳しいNOx規制を施行した結果だと評価。続いて、1980年頃に起きたオイルショックでは省エネというテーマで、低炭素、脱CO2につながったと語った。

つまり、「かなり早い時期からNOxとCO2の両方を低減する技術を開発してきたのが日本の自動車メーカーです」とする。一方、アメリカはCO2よりもNOxを重視。ヨーロッパはNOxよりもCO2を重視してきたという歴史があるが、日本はその両方を削減する政策と技術のチャレンジの結果、「東京の空が一番青いことにつながっているのです」とした。

パワートレインの多様化

さて、清水氏は、「重いクルマを高速で連続走行をするとメリットがあります。つまり、負荷の大きいところで強いのです。例えばアウトバーンを160km/hで走行して16km/ℓぐらいで走れるエンジンはディーゼルエンジンしかないでしょう。一方でガソリンは負荷の大きいところで連続走行すると効率が落ちますので、小さいクルマで市街地のストップアンドゴーという状況では、ガソリン車のハイブリッドが最適です。つまり、それぞれのパワートレインがどういうところに最適に使われるといいのかを考えていかなければいけないのです。ここにパワートレインの多様化があります」と述べた。

s_016_vw_passat_TDI_lec

Volkswagen Passat TDI

s_017_vw_passat_TDI_lec

Volkswagen Passat Variant TDI

ゴットリーブ・ダイムラーやカール・ベンツがガソリンエンジンを考案したのは1886年。そのわずか6年後にルドルフ・ディーゼルが、ディーゼルエンジンを考案した。そのきっかけは、ガソリンが手に入らないドイツの片田舎でも動くエンジンが欲しいという想いから研究に取りかかったことだった。ピーナッツ油であればその辺りの畑で穫れるので、それを使って動く内燃機関を開発していたところ、偶然、自着火するエンジンを発明することとなった。

それがディーゼルとしてパテントを取ったのが始まりだ。清水氏は、「ディーゼルエンジンは生まれた時からバイオマスエネルギーを使っていました。つまり、生まれた時からエココンシャスのエンジンだったのです。今の時代でもそのようなDNAを持ちながら新しい時代にふさわしいディーゼルに進化していかに興味があります」と期待を寄せる。

そして、「最近GMはディーゼル燃焼をタイタンと呼ばれるスーパーコンピューターを使ってモデリングして開発をしています。ディーゼルは自着火するので実はよく分からない部分があるのです。そこで燃え方の研究をしています。まだまだこういうことをやっていけばディーゼルに可能性はあるでしょう」と結んだ。