ツラくて気持ちいい、アマネム滞在記。(編集大魔王・祐真朋樹)| AMANEMU
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2018年2月15日

ツラくて気持ちいい、アマネム滞在記。(編集大魔王・祐真朋樹)| AMANEMU

AMANEMU|アマネム

ツラくて気持ちいい、アマネム滞在記。(編集大魔王・祐真朋樹)

編集大魔王・祐真朋樹が、三重県・伊勢志摩にあるアマネムの〈パーソナル ウェルネス イマジネーションプログラム〉を初トライ!

TEXT by SUKEZANE Tomoki

ここ1ヶ月ばかり、僕は咀嚼に大変気を遣っている。咀嚼、つまり食物を噛むという行為に、僕はこれまでほとんど気を遣っていなかった。でも今は、何かを口に入れたら、噛みながら頭の中で噛んだ数をカウントしている。よく、撮影の合間などに「最低でも30回は噛んだ方がいいよ」とか「常に50回は噛まないとね」という話題になるが、言ってるわりにはせいぜいその場で試しにやってみるにとどまり、毎日の習慣として実行に移したことはなかった。

そんな僕が、昨年、アマネムの〈パーソナル ウェルネス イマージョンプログラム〉にトライした。スケジュールは12月7日~9日の2泊3日。本当は、最低でも3泊4日は必要とのことだが、どうしてもそのスケジュールが取れず、2泊3日の短縮突撃版であった。アマネムに赴く数日前にはメールで問診リストが届いた。それに答えると、僕の場合、〈デトックス〉コースが適しているということになった。その時期の僕は、身体状況にいくつか気になる点があった。

まず、夜、就寝しても4時間ほどで目覚めてしまうこと。そして左肩に慢性の凝りがあること。あと2キロくらい、体重を軽くしたいこと…。日頃、運動不足や暴飲暴食などで不摂生な毎日を送っているので、いい機会だからこの際一気に体調をアップさせてしまおうと思った。

もちろん最低3泊4日を2泊3日に短縮してのトライアル。そんな期待はそもそも間違っていることは承知の上なのだが、元来、僕は短期集中型。と言えば聞こえがいいが、要は一夜漬けで強行突破を狙うタイプ。ということで、今回も僕のチャレンジャー精神がうずいた。

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■1日目

さて、プログラムの初日であるが、前日まで淡路島で撮影をしていたので、まずは新神戸から名古屋まで新幹線で移動。名古屋から近鉄線に乗り換えて鵜方へ。駅にはアマネムからリムジンのお迎えが待っていて、スムーズにホテルへ到着。早々にカロリーカットされたマクロビオティックのランチを体験することに。

正直、「これだけ?」という物足りなさにショックを覚えたが、すぐに気を取り直し、「そうそう、これ! これだよね! 健康万歳! 痛風吹っ飛べ!」と自らを叱咤激励。

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書き忘れたが、僕は長年、痛風の気があって、しばしば足の甲が痛む。昼食を採っても腹ぺこ状態はあまり変わらなかったが、何とかひもじさに苛まれずに済んだのは、アマネムのラグジュアリーな環境に助けられたからだと思う。減量のため、ハングリーさに耐え抜くボクサーと違って、アマネムにはゆったりとした温泉プールや手入れの行き届いた庭、そして夕日が沈む間際の絶景や快適なベッドがあった。それらのおかげで、僕は空腹感を忘れることができたのである。

部屋には昆布チップや黒豆、クコの実などのドライフーズが用意されていて、一応それは適量であれば摂取可能。が、僕は適量をはるかに超えて食べてしまった。だって美味しかったから。特に昆布チップの美味しさは格別で、初日に2日分を食べきってしまった。もう、最初から僕はダメダメであった。

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初日の夕方には、ジムで〈ドローイン〉を習い、その後、ウォーキング。〈ドローイン〉とは、いわゆる呼吸法のひとつで、腹を引っ込めながら大きく呼吸をする。日頃使わない腹筋を使うので、ウエストをすっきりさせるダイエット法だそうだ。道具要らずでどこででも簡単にできるのがありがたい。必要なのは「やる気」だけだ。

これをウォーキングなどの前にしておくと、脂肪を燃焼させる効果が高まるとのこと。確かに、姿勢を正してお腹をへこまし、お腹と背中がくっつくイメージでいると、ただ座っているだけでもウエスト周りが刺激される。いいことを教えてもらった。

ウォーキングは、両肘を曲げて、上腕二頭筋を後方に、肘パンチをする勢いで上げる。すると、肩甲骨の間が刺激されるので、それによって身体全体の血流が良くなり、脂肪の燃焼効率が高まるのだそうだ。僕の実感としても、〈ドローイン〉から〈ウォーキング〉に入ることによって、身体に付いている無駄な脂肪が慌てている(?)ような感じがしたものだ。

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ウォーキングの後は夕食。この時既に、僕は腹ぺこである。レストランでは、マクロビオティックの理論を講義してもらいながら、食事。これでもかと思うくらい、たくさん噛んでゆっくり食べた。ゆっくり噛むということは、食物がかみ砕かれてたっぷりの唾液と共に体内に入るということ。当然消化が良くなるので身体にいいし、満腹中枢への「お腹いっぱい」信号も早く出るから、食べる量も減ってダイエット効果もある。

わかっちゃいるけど実行できなかったそれまでの僕。毎朝、家族と朝食を食べているが、ある日「いつも最後に食卓に着いて最初に食べ終わってる。ちゃんと噛んでないんじゃないの?!」と彼女に言われてハッとした。自分では「30回噛む」を目標にしていたのだが、噛むこと自体で頭がいっぱいで、いつのまにか「猛スピードで30回噛む」を繰り返していたのだ。これでは十分な唾液は出ない。「ゆっくり」「たくさん」噛むことを習慣にしていかないと意味はないのだ。

アマネムのシェフが腕を振るったディナーは、諸々制限された食事とは思えないほど素晴らしい品々であった。美味しい料理を味わいながら、「身土不二」「一物全体」「陰陽調和」「五行の相関図」などの話が、自分の体調不良に響くヒントとして、素直に頭と心に入ってきた。

人間の身体は食べたものでできている。だから、口に入れるものは十分考えて、自分の体調を整えるものにしなければならない。それはすこぶる当たり前なことではあるが、今回の講義を受けて、どんな食物が身体にどんな影響を及ぼすのか、その一端を知ることができた。これからも勉強を続けて、心身共に健やかな中高年になりたいものである。

ディナーの後に導かれたのは、中庭にある大きな温泉水のプール、サーマル・スプリング。最適な温度のお湯に浸かりながら、満天の星空を眺めた。この世のものとは思えない贅沢なひととき。お湯から出ると肌寒いのだが、浸かっているとポカポカ。ポカポカとヒンヤリを繰り返していると、そのうちお湯から出てもポカポカのままになってくる。最高のリラックス気分。

満足いくまでサーマル・スプリングを楽しんだ後は、広々としたロッカールームに戻り、シャワーを浴びて、その横にあるスチームサウナとドライサウナを交互に試す。サウナ好きにはたまらない環境だ。散々汗を流した後は部屋へ戻り、10時に就寝。健康的、を絵に描いたような1日が終わった。

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AMANEMU|アマネム

ツラくて気持ちいい、編集大魔王・祐真朋樹アマネム滞在記。(2)

■2日目

翌日の朝は、軽い朝食を摂った後、臨済宗の和尚さまご指導の下、ジムでの坐禅からスタート。坐禅を組みながら、前日に習った〈ドローイン〉を思い出して早速実行した。坐禅と〈ドローイン〉は繋がっているのだと納得する。

その後は部屋へ戻ってしばし読書。昼前に鍼灸を受ける。生まれて初めての鍼治療であった。90分のコースだったが、始まって10分くらいで寝てしまったので、鍼が気持ち良かったのかどうか、まったく記憶ナシ。

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そしてそのままランチへ。ランチの後は、鍼の効果なのか、身体がちょっとだるくなったので少々昼寝。小一時間の午睡を取ってからプライベート温泉に向かった。プライベート温泉は、温泉旅館でも見かける貸し切り露天風呂のような感じで使える温泉。室内外にひとつずつバスがあり、庭から海へ抜ける眺めが最高だ。ここでも、内と外にあるバスの温度差を楽しみながら、出たり入ったりして身体を芯から温める。

内側のプールにゆっくり浸かって身体を温めた後、寒い外に飛び出して外のプールに飛び込むのだ。十分すぎるほど身体が温まったら、バスローブにくるまって、プールサイドのベッドに身体を横たえる。肌から熱が発するのを感じながら、ミネラルウォーターでのどを潤す。至福。たまりませ~ん。

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夕方になると、ディナー前に〈アクアティックボディワーク〉を受けた。これは水中で仰向けに浮かび、頭を支えてもらいながらボディタッチ(マッサージ)を受けるというもの。浮遊する状態があまりにも気持ちよく、自分が今、寝ているのか起きているのか、わからなくなる。実際は90分受けたのだが、10分で終わってしまったような不思議な感覚。夢かうつつか、判然としない曖昧な時間・・・。結局は大半を水に浮かびながら寝ていたのだと思う。約60分の間、僕は母親のお腹の中、羊水にうかぶエンブリオだった。

とりあえず僕の〈アクアティック ボディワーク〉初体験は、ひたすら「気持ちいい~」で終わったのであった。軽いディナーを頂いた後は、ウェルネスマネージャー同席のもと、雑誌『Precious』のモデルさんとライターさん、女子2名と共に、その日体験した施術について話す。何かと非日常のツラさもある今回の滞在。美しい女子がそこにいるだけでなぜか救われる思いがしたものです。オホホ。

『Precious』チームが、翌朝、朝食の前に伊雑宮へ行くというので「僕も行っていいですか?!」。めでたく同行させて頂くことになりました。朝の5時半にレセプション集合とのことなので、この日は食事が終わったら温泉プールは諦め、部屋にある温泉風呂へ。冷蔵庫にある小豆水とコメミルク、そしてミネラルウォーターを飲んで寝た。飲み過ぎでしょうか?

■3日目

そしていよいよ最終日。4時半に起きてシャワーを浴び、レセプションへ。『Precious』チームとタクシーで伊雑宮へ向かう。到着してタクシーを降りると、雨がぱらついていたのだが、目の前には後光がさしているような神殿の姿があった。これは凄い! 神がかり的な光景を見て、神の国に来た気分になる。まさに「早起きは三文の得」。

僕の東京の事務所があるマンションのエレベーターで、昭和の映画スターと何度か一緒になったことがある。

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彼女の事務所も同じマンションにあるのだ。昭和の大女優は、薄く白っぽい霧のような何かに覆われているように見えた。目の前に見える神殿も、まさにそれと同じ状態だった。

2日に及ぶ低カロリーの食事と、堪能しすぎた温泉バディ、そして初めての鍼と〈アクアティック ボディーワーク〉。それらが四重奏となって、あの朝の奇跡を起こしたのかもしれない。たっぷりの精神的デトックス感を味わいながら伊雑宮から戻り、レストランへ。

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軽くて美味しい朝食を済ませると、2日間の修行(?)の結果を聞きにウェルネスマネージャーの部屋へ行った。今回のプログラムでは、僕の場合、小腸と肝臓、腎臓、そして肺にサインが見受けられたとのこと。たとえば僕は、杉と檜の花粉症で30年以上悩み続けているのだが、症状を緩和するには小腸を整えることが大事らしい。そのためには、味噌、醤油、糠味噌など、日本の発酵食品を常食するといいとのこと。

最近、アルコールは控えているが、肝臓には小松菜などの青味と、梅干しや梅酢などの酸味を合わせて食すといいと教えられた。また、腎臓には小豆や、黒胡麻、昆布、ひじきなどの黒味がいいそうだ。滋養効果の高いクコの実も「オフィスで召し上がってください」とアドバイスを受けた。

気になっていた肺には乾布摩擦がいいとのこと。質のよいボディブラシで胸周りや上背部を入浴前に軽くさするのも効果的らしい。深い呼吸を心がけて、手足を大きく動かして、意識して「気」を巡らせるとよいとのこと。あとは、ストレッチボールも勧められた。なるほど、と納得しながらランチへ。その後は帰途についた。

鵜方駅で電車を待っていたら、17歳のときにサーフボードを持ってこの駅に来たことを思い出した。帰りは疲れ切って、ボードを寝かせてアイスキャンディを食べた。その写真が今も家のどこかにあるはずだ。17歳のときに座ってアイスキャンディを食べたその椅子を、iPhoneで撮ってインスタに上げた。35年前の出来事が、昨日のことのように蘇った。

当時の僕の格好は、ボールドストライプのプルオーバーシャツに、オーシャンパシフィックのショートパンツ。足元はビーサンだった。なぜか着ていた服の記憶は鮮明に浮かび上がってくる。さて、この一時的にデトックス効果の出た身体を、いつまでキープできるのだろうか、と考えながら近鉄電車に乗った。

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東京に戻ってからの僕は、何でもしっかり咀嚼し、青味と酸味を合わせて食べ、肉を食べたら柑橘類を摂取するよう心がけ、黒胡麻、昆布、ひじきも意識して採るようになった。さて、この先、僕の身体はどんな方向へ行くのだろう。それを確かめるためにも、近々またアマネムに行きたいと思う。

僕のような年齢になると、ただ好きに生きているだけでは時として方向を間違ってしまう気がするのだ。それを修正するためにも、そして身体だけでなく心もリフレッシュさせるために、ときどきアマネムを訪ねたい。今度は短縮版でなく、3泊4日以上のロングステイでね。

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