ミハラヤスヒロX怪獣芸術家ピコピコ先生 ちょっと長めの7000字怪獣放談|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|ミハラヤスヒロX怪獣芸術家ピコピコ先生 ちょっと長めの7000字怪獣放談

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ピコピコ先生! 怪獣芸術って何ですか?

昭和時代に育まれたニッポンの優れた造形“Kaijyu”を紐解く!(1)

ウルトラマンや仮面ライダーなど、TV画面を縦横無尽に駆け抜けるヒーローたちへの大きな羨望をよそに、その対戦相手として、登場しては敗れ去っていく怪獣たちに憧れた人もいる。怪獣マニアたちだ。今回はそんな怪獣マニアたちが、何を愛で、何に共感したのかを浮き彫りにするために、2人のマニア代表に集まっていただいた。ファッションデザイナー、ミハラヤスヒロさんと、怪獣芸術家ピコピコ先生である。じつはおふたり、今回が初対面なのだが、もう掛け合いのように話が止まらず……。

Photographs by OHTAKI KakuText by SHINNNO Kunihiko

“こんなの現実世界では見たことない!”

ミハラ はじめまして。今日は僕も大好きな怪獣について、いろいろ勉強させてください。

ピコピコ こちらこそ宜しくお願いします。

――まずは、お二人が小さい頃の怪獣原体験から。

ピコピコ 僕は1968年生まれで『帰ってきたウルトラマン』(’71〜’72年放送)からリアルタイムで観ています。

ミハラ 僕は’72年生まれなので、その少し後の世代ですね。福岡では夕方5時にウルトラシリーズを再放送していたので、よく観てました。

おばあちゃんに怪獣のソフビ人形を買ってもらったのを覚えています。当時はビニール袋に入った1個360円ぐらいのソフビ人形が玩具屋さんにたくさん吊られていて。本格的に怪獣に興味を持つようになったのは、シールをペタペタ貼っていくノートがあって……。

ピコピコ ワールドスタンプブック『怪獣の世界』ですね(笑)。

ミハラ ええ、そうです(笑)。東京がすごくうらやましかったのは当時、足の裏に足型がモールドされているウルトラ怪獣のソフビシリーズがありましたよね?

ピコピコ はい、ポピーのキングザウルスシリーズ

ミハラ そのヒッポリト星人とかベロクロンのソフビがほしかったんですけど、地元の玩具屋さんには並んでなくて。それは大人になってから買いました。

ピコピコ 僕は川崎なので、春休みや夏休みになると世田谷区にあった二子玉川園という遊園地に怪獣ショーを観に行ってました。

ミハラ いいですね。うらやましい。

ピコピコ うちは決して裕福ではなかったのでソフビをたくさん持っていたわけではなくて。やっぱり図鑑ですよね。『怪獣ウルトラ図鑑』(秋田書店)はボロボロになるまで読んで買い直しました。

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怪獣芸術家ピコピコ先生
1996年に開催した初個展「ピコピコ展」を皮切りに、ぬいぐるみ、着ぐるみ、絵画、立体造形と、多岐にわたる作品を創造。2014年に日本テレビ制作のドラマ『ST 赤と白の捜査ファイル』に登場したキャラクター「ガッキーくん」を創作し、一躍話題となる。

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ミハラヤスヒロ
多摩美術大学デザイン学科テキスタイル学部在学中から独学で靴を作りはじめ、1997年にシューズブランド「MIHARAYASUHIRO」をスタート。既存の枠にとらわれない発想や、深く踏込んだデザインワークを、シューズ、服で表現。注目を浴び続けている。

ミハラ これ、僕も持ってました! 懐かしいなあ。

ピコピコ 当時のベストセラーですよね。テレビの放送はたまにしかないので、これを見て何度も反芻して怪獣を覚えました。

――中でも一番お好きな怪獣はなんですか?

ミハラ 基本的に不思議なスタイルの怪獣が好きなんです。ガイガンバキシムみたいにシャープなエッジのあるものとか、王道ですけどキングジョーキングギドラも首が3つに尻尾が2本ってすごいですよね。

それからあとはタッコングみたいにわかりやすい怪獣も好きです。

タコの怪獣だからって手足がたくさん出てるんじゃなく、吸盤の付いた丸い形というのが子供心にかっこいいなと思って。あれは名作だなと思います。

ピコピコ やっぱりウルトラ怪獣は優れてますね。僕もタッコングとツインテールは二大巨頭です。

バルタン星人レッドキングゴモラジャミラなどを手掛けられた成田亨さんが一番メジャーな怪獣デザイナーで、その成田さんが降板されたあと、池谷仙克さんという方が美術監督を引き継いで『帰ってきたウルトラマン』でタッコングやツインテールをデザインされています。池谷さんのデザインは成田さんほどの先鋭性はない分、ちょっと野暮ったさも入った塩梅が子供にも伝わりやすいんですよね。

ミハラ いいですよね。あとは『ウルトラマンタロウ』の暴君怪獣タイラントを見たときは子供ながらゾクッとしました。ベムスターの腹とか、イカルス星人の耳とか。ウルトラ兄弟に倒された怪獣の怨念が詰まってて、かっこいいなあと思って。

ピコピコ 子供の思うかっこよさの集合体ですよね(笑)。やっぱり“こんなの現実世界では見たことない!”って思う部分が僕は重要です。タッコングとかツインテールはシルエットからして人間の形を崩そうっていう意志がありますよね。日本の怪獣は着ぐるみだから人間が入るわけです。そうなると、いかに人間の形を崩すかという部分に工夫があって。

ミハラ ガメラとか膝ついてるじゃないですか。「あれは人間が入ってるんだよ」って父親に言われたとき、夢を壊された気がして(笑)。

ピコピコ 中に人間が入ってるゆえにどうしても人間くささが出てしまうんですけど、そこがまたよくて(笑)。感情移入できると哀愁も出てくるんです。

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