祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.21 民間人宇宙飛行士 高松聡さん(後編)

祐真朋樹・編集大魔王対談|vol.21 民間人宇宙飛行士 高松聡さん(後編)

高松さんのFacebook (https://www.facebook.com/Cosmo.Takamatsu/)より

祐真朋樹対談

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前回に引き続き、今回も編集大魔王対談のゲストは、日本人初の民間人宇宙飛行士としてISS(国際宇宙ステーション)に旅立つ予定の高松聡さん。宇宙飛行士になって宇宙へ行きたい、という幼い頃からの夢が現実になりつつある今、実際に宇宙で何をするかという新しい視点が加わったそうだ。クリエイティブディレクターとして培ってきたキャリアを活かしながら、世の中にとって意味のあるプロジェクトを考案中だという高松さんに話の続きを聞いた。

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Interview by SUKEZANE TomokiPhotographs by SATO YukiText by ANDO Sara (OPENERS)

少年の頃の夢を叶えた今、目指す道とは

祐真朋樹・編集大魔王(以下、祐真) 過酷な訓練やテスト勉強をしてまで宇宙へ行きたいという思いが素晴らしいと思います。興味はあってもなかなかできませんからね。

民間人宇宙飛行士 高松聡さん(以下、高松) 6歳の時に、アポロ11号の月面着陸があって、テレビ中継を見たのがそもそものきっかけです。

祐真 僕も見ました。万国博覧会も並びました。

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高松 僕も並びました。とにかくほかの天体に人類が初めて行くということが画期的ですよね。火星に行くのもすごいけど、あの月面着陸のときほどの世界的興奮にはならないかもしれない。物心がついて記憶が残るギリギリぐらいの年齢の時に月面着陸を見て、ベランダから見える夜空に浮かぶあのお月様の上を人が歩いているのかと思うと、6歳ながらに「人間ってすごいな。科学ってすごいな。テクノロジーってすごいな」と感銘を受けて、宇宙飛行士になりたい

と思ったんです。子供の素朴な夢ですが、僕と同じように思った人は何千万人といたと思うんです。幸い理系が得意だったので、大学も理工学部に進学し、宇宙飛行士への道は最短距離で進んでいったつもりでしたが、大学を卒業する頃にNASDA(現JAXA宇宙航空研究開発機構)の願書を取り寄せたら応募条件の裸眼視力を満たすことができずに断念。その後、どこかの研究所で白衣を着て生活することにピンと来なかったので、ピュアな夢を忘れるためにピュアじゃなさそうな(笑)電通に入ったというわけです。

祐真 破れかぶれにでも電通に入れたということがすごいです。

高松 宇宙飛行士になって職業として宇宙へ行くというのが6歳からの夢。もう一つが、中1ぐらいから物理学にはまって趣味というぐらい好きになりました。アインシュタインの相対性理論に出合ってこれはすごいと思ったんです。光速に近いロケットで宇宙へ行って帰ってくると1万年経過している、とか。そういう宇宙のいろんな法則を知りたいという欲望が出て来たんです。大学でも物性物理学を専攻しましたが、僕はアインシュタインやニュートンのような天才ではないので、大理論を発見することはできない。でも人が発見したことを理解したくてしょうがない。だからたくさん本を読みましたが、百聞は一見にしかずで宇宙へ行ったら、これまでに読んだ百冊の本がリンクするのかもしれないと純粋に思ったんです。宇宙が知りたいから宇宙へ行きたい。夢は一度破れましたが、電通に入って宇宙でポカリスエットとカップヌードルの宇宙ロケCMを撮ることができました。青いつなぎを着た宇宙飛行士にコンテの読み方やカメラの使い方を教えて、本番では映画で見るような管制センターに入れてもらってインカムで宇宙飛行士と話しながら撮影もできました。宇宙にだんだん近づいていったけど、まさか自分が青いつなぎを着て訓練をする側になるとは夢にも思いませんでした。CMを撮影していても自分が役者として演じる側になるとは想像しないぐらい、こちら側とあちら側の別世界だったのが、いろんな縁があってこういうことになりました。

祐真 夢は叶うんですね。実際に宇宙へはいつ頃行けそうですか?

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高松さんのFacebook (https://www.facebook.com/Cosmo.Takamatsu/)より

高松 いろんなことが流動的なんですよね。今は2017年だから、2018年に行けるとは思えない。2019年から2021年が現実的でしょうか。

祐真 宇宙でしたいことはありますか?

高松 考え始めたらきりがないぐらいいろんなことがあります。

祐真 具体的にこういうことがしたいというのは?

高松 先ほど、なぜそこまでして宇宙へ行きたいの?という問いに一に夢、二に宇宙を理解したい、と答えましたが、ロシアで訓練を受けている間に、宇宙飛行士になりたいってなんだか馬鹿げてるなと思い始めたんです。宇宙飛行士とはプロフェッション=職業じゃないですか。僕は同じ訓練を受けたとはいえ、所詮職業じゃないんです。なんせまわり全員“本物の”宇宙飛行士なので、宇宙飛行士になることが目的といったら子供っぽいな、と。今でも宇宙へ行くことは夢ですが、それでは宇宙へ行った瞬間に夢が達成されちゃうじゃないですか。宇宙飛行士になること、宇宙へ行くこと、この子供っぽい夢が原動力だったわけですが訓練をすればするほど、宇宙へ行って何をするのかが重要なんじゃないかと思うようになりました。宇宙に行くことばかりに焦点を合わせていて、宇宙に行って何をするかということを考えていなかったことに気がつきました。

祐真 なるほど。数年前には宇宙へ行くことが考えられなかったわけですもんね。

高松 そうなんです。2014年はとにかく試験に合格すること。2015年は訓練を通過してサバイバルすること。そして数年後に宇宙へ行けるんじゃないかってなった今の夢は、宇宙で何をするかに変わってきました。

祐真 面白いです。とても素敵ですね。

高松 ISS滞在中のプロの宇宙飛行士は一分刻みでやらなければいけないことがたくさんあって忙しい。民間人はやらなくてはいけないことはほとんどなく、言ってしまえば暇なんです。

祐真 窓から地球を一日中見ていられるわけですね。

高松 1日はいいけど、4、5日窓の外を見ていたら飽きはしないにしても、何かしたくなりますよね。民間人はやりたいことができるんです。時間が限られているから、何と何と何を必ずやろう、というのをいろいろ考えているところです。

Page02. 自分がやりたいこと、得意なこと、世の中にとって意味のあることの接点探し

ABOUT
SUKEZANE Tomoki

1965年京都市生まれ。(株)マガジンハウスのPOPEYE編集部でファッションエディターとしてのキャリアをスタート。現在は『UOMO』『GQ JAPAN』『Casa BRUTUS』『MEN’S NON-NO』『ENGINE』等のファッションページのディレクションのほか、著名アーティストや文化人の広告のスタイリング等を手掛けている。パリとミラノのコレクション観覧歴はかれこれ25年以上。   Born in 1965 in Kyoto, Japan. He started his career as a fashion editor at POPEYE magazine of Magazine House. Currently, he is working on various magazines such as UOMO(SHUEISHA), GQ(Conde Nast Japan),Casa BRUTUS (Magazine House), MEN’S NON NO (SHUEISHA), ENGINE(SHINCHOSHA)and he is setting styling people such as artists and […]