Jeff Mills 、日本科学未来館にて最新アルバム『Planets』について語る|INTERVIEW

INTERVIEW|Jeff Mills 、日本科学未来館にて最新アルバム『Planets』について語る

LOUNGE INTERVIEW

MUSIC|2017年初頭発売予定アルバム『Planets』インタビュー

ジェフ・ミルズ約35年のキャリア集大成の中身とは(1)

ヨーロッパを中心に、世界の音楽・アートシーンを股にかけて活躍するエレクトロニックミュージック・アーティスト、ジェフ・ミルズ。今年3月に行われた東京フィルハーモニー交響楽団との共演や、テレビ朝日「題名のない音楽会」への出演で、日本でも従来のクラブファンのみならず、クラシック界やよりアカデミックなシーンでも話題となっている。そんな彼が来年、初めてオーケストラのために書き下ろしたという新作『Planets』をリリースする。CDフォーマットと5,1chサラウンド音源を収録したBlu-rayの2フォーマットでリリース予定のアルバム先行試聴会が、日本科学未来館の5.1chサラウンドシステム環境で行われた。同日、一試聴者として自身の作品を聴いていたミルズ氏に、『Planets』ついて語ってもらった。

Text by ASAKURA Nao

5.1chサラウンドシステムで宇宙旅行体験を

――『Planets』の制作はほぼ完了しているとのことですが、今の心境を教えてください。

今回のアルバムは私が2005年からクラシックを始めて、今まで蓄積してきたものの集大成といえますし、エレクトロニックミュージック界にとって大切なターニングポイントになるのではと考えています。そういった意味で全ての要素が入り交じっているものなので、マスタリングやミキシングなど、制作のプロセスで非常に気を使い、自分にとってベストなものができるように様々なことをリサーチしました。

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――日本科学未来館でミルズさんの新作アルバムを5.1chサラウンドで聴く、という大変貴重な体験をさせていただきました。ミルズさんも今日ここ日本科学未来館で聴くのは初めてとのことでしたが、いかがでしたか?

“惑星”の物理的な特徴をサラウンドで細かく表現しようとしましたが、予想通り、それがきちんと再現されていると思いました。部屋が大きければ大きいほどサラウンドの効果が大きいのですが、特に土星のところでそのサラウンド効果がうまく出ていたと思います。

――私も実際聴いてみた感想なのですが、とてもリラックスできると思いきや、途中でちょっと不安というか、緊張感みたいなものに襲われました。

不安感を得るのは当然ですね。というのは、この日本科学未来館の館長であり、スペースシャトルに日本人宇宙飛行士として初めて搭乗した毛利衛氏と話をしたときに、彼から聞いた体験談の中で、宇宙飛行士でさえも宇宙飛行に出ているとき、いかに不安な気持ちになっているか、死と隣合わせの旅をしているという話が印象に残っていて、美しい惑星も実際には人間には危険なところである、ということを表現しているからです。

例えば、ループトランジット(惑星間の移動空間を表現した楽曲)は、現時点では“空間”が“何もない暗闇”と思われているけど、もしかしたらそこに何かあるかもしれない。また、一番最後の曲が終わった後、サイレンス部分の音量を、そこに音があったらスピーカーが壊れてしまうくらい大きくしているのですが、それは私たち人間には聞こえないけれど、もしかしたら犬だったら何か聞こえているかもしれない。太陽系を越えたところに、人間には見えないし聞こえないけれど、何かあるかもしれない、というようなことを表現しているのです。

――まさに宇宙旅行の疑似体験をしたのですね。先ほどのトークセッションで、ご自身の集大成であるという『Planets』の着想は約10年前の2005年頃からだとのことですが、「宇宙」への興味は幼少期の頃からでしょうか?

小学校のころかな。60年代から70年代にかけて実施されたアポロ計画のころ、そういう宇宙飛行計画の話題が盛んで、例えば学校でも先生が生徒にテレビでNASAのニュースを見せたり、みんなの生活の中に溶け込んでいた。私の周りの友達もみんな興味があって、よくそういう話をしていました。宇宙飛行士がセレブリティでしたね。

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――そのまさに“宇宙旅行“をテーマにしたアルバムをリリースされるわけですが、制作の課程で苦労したことはありますか。

特にないですね。長年とても細かく各惑星のこと、そこからそこへどう旅するか、など全部書き出していたし、録音に関してもミュージシャンは皆プロだし、アレンジャーとも話をして何を表現したいかを分かり合っていたから、そこからはスムーズにできました。簡単ということではないけれど、前もって準備がきちんとできていたので、大変だったということはないです。

Page02. 惑星の科学的根拠に基づいた音作り