映画『アニバーサリー』公開 スピン・オフ企画|MOVIE

MOVIE|映画『アニバーサリー』公開 スピン・オフ企画

MOVIE TOKYO Tips

発起人×総監督×プロデューサー 頂上鼎談
映画『アニバーサリー』はこうして作られた!

メディコム・トイ設立20周年を記念した、日本を代表するウェルメイド作品(となるであろう)映画『アニバーサリー』。その公開を祝して、映画発起人の須賀泉水さん(『アニバーサリー』エグゼクティブプロデューサー/メディコム・トイ代表取締役副社長)、本広克行監督(『アニバーサリー』総監督)、森谷 雄監督(『アニバーサリー』プロデューサー)、以上、中心メンバー3名による鼎談を収録。話の尽きない3人の話題は、まるでジェットコースターのようにあちらこちらへ……。その溢れ出るログをお届けする。

Text by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)

「お、これは!」と思った。by 本広克行

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広克行(もとひろ・かつゆき)監督(以下、本広):
メディコム・トイが映画界とコラボするってなったときに、この企画ならアーティストとして何かやれるんだと思って。

だから一番やってみたかったことをやろうと。

学生時代からずっと思っていた、ヌーヴェルヴァーグの頃にゴダールとかが本当にやりたかったことを……。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷 雄(もりや・たけし)プロデューサー(以下、森谷):
??

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
台本を持たずして映画を撮る!
カメラを筆のように扱う!!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
!!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
自由にやれてすごく面白かった。頭の中がうわあって回転し始めて。

学生時代は、こういう風に映画を作っていたなと思って。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀泉水(すが・いづみ)エグゼクティブプロデューサー(以下、須賀):
森谷さんは、どんなお気持ちでした?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
僕の大好きな映画が『ラブ・アクチュアリー』。そしたら須賀さんと赤司社長も同じで。あの映画のテイストにできたら面白いんじゃないかって。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
物語がクライマックスに向かって、繋がっていく……。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
そうです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
『ラブ・アクチュアリー』はイギリスの映画ですよね。Working Title Filmsというスゲェいい映画会社がやってる。ほかには『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』『ノッティングヒルの恋人』とか。

イギリスのウエルメイドの代表格です。観ていてほっこりできる点でも、作り方が上手い。

medicom_001

————————映画の冒頭で、「人はなぜ祝うのか」という問いかけがあります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
あれは脚本家のますもとさんからのアイデア。「アニバーサリー」、つまりお祝いごとの映画ということで、あのフレーズをますもとさんがお書きになって。「なるほど!」って感じでした。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
あの言葉なかなか難しいですよね。だって一切、祝わない人もいます。うちの家庭では祝わない。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
クリスマスもやらないんですか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
クリスマスも、お正月も。誕生日も、やらないですね。だってキリないじゃないですか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
たしかにキリはないですけど。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
誕生日とか、ウゼぇしって思うんですよ。この前、50歳の誕生日を会社の皆んなからお祝いされたんですけど。男ばっかりで誕生日。いらねえよこんなのって(笑)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
あまりされないのも寂しいものですけどね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
お祝いって、僕、本当に嫌いなんですよ。そうやって浮かれるのが。自分のなかで「お、50回目だな」くらいに思ってればいい。誕生日会なんかしなくても、普段から会えばいいっていう考え方です。

でも花火見物とかはスキ。

medicom_005
medicom_006

映画『アニバーサリー』から「生日快樂十分幸福」(監督:本広克行)のワンシーン。©2016 MEDICOM TOY

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
内容重視?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
そう。内容重視ですね。誕生日だからって皆んなで集まって、「誕生日おめでとう」ってケーキを焼いて、ロウソクを「フーっ」みたいな。これを皆んながやってると思うと、気持ち悪い(笑)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
お子さんの誕生日会は?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
やんないですね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
お誕生日プレゼントも?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
プレゼントの品は一週間くらい前から、これが欲しいとリクエストされます。じゃあ、お前はオレに対して、どういうことをしてくれるんだ? と。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
対価を求める?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
赤点取ったら人生アウトだぞ、みたいにすれば、普段の勉強も頑張るじゃないですか。人間は祝う生き物って、いやいやそんなワケないよなっていう見方もあるんです。ですから「アニバーサリー」に対して、アンチもいないとね。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
本広監督と、高橋監督の作品は、どちらかというとアンチなメッセージ。その2本が真ん中にあるんです。この順番は、すごく悩みました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
マトモなものばかり見せられても、つまらない(笑)。「何だ? コレ」というのがあってもいいじゃないですか。何事もバランスですよね。

「じつはまったくの後付けなんです」by 森谷 雄

————————もともと須賀さんがメディコム・トイから映画を出したいと考えた理由は何でしょうか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
正直言って、本広監督という存在が身近にいたことが大きかったと思います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
「これが本当の作品づくり」「わかる人だけわかってください」みたいな。自由に自分の好きなようにやってみたいっていう風に、今回この作品では完全に開き直ってます。最近、映画制作への気持ちが消極的だったんですが、なんかいい起爆剤になりました。

medicom_010
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
ショートムービー単体では、なかなか劇場公開にまで至りません。この「アニバーサリー」は、5つのショートムービーが並んでいますが、最後にストーリーの繋がりを作ることで、劇場で作品として観ていただける体裁になりました。

————————ということは、監督がそれぞれ撮りたいストーリーを作り、それを最後に森谷さんがくっつけたんですか? あたかも最初から脚本があったように感じましたが。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
まったくの後付けです。それぞれの短編がどうなるのか、自分でさえわかってなかったですから(笑)、最後までドキドキ。特に本広監督のところは、どうなるんだろうって。

本広監督はムチャ振りの人だって僕はいつも言ってるんですけど、そのムチャ振りが効いた感じ。かなり上手くいったと思いますよ。

medicom_002
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
ムチャクチャする人がいないと、皆んながまとめ上手だとつまんないですね。すべての物事においてそうです。カッチリと作るのって、案外、魅力的じゃない。陶芸の世界もそうらしくて、完璧な曲面よりも、多少、癖のある方がいいんですよ。

最後のゆらぎ、ひと捻り、みたいな。それで手に取りたくなっちゃう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
メディコム・トイもそうかもしれない。「これやりたい」「これやろう」って私が言うと、代表の赤司やスタッフが形にしてくれることも多々あります。

————————須賀さんも、ちょっとムチャぶりな感が……。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
それは間違いないですね(笑)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
でも、揺らぎを意図的に入れようとすると、メチャクチャになるんです。面白いもので、揺らぎのところに当て込んで映画を作ろうとすると荒れる。水槽の中で熱帯魚が喧嘩をはじめるみたいにうまくいかない。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

森谷:
それでも、やっぱり意識されてますよね。わざとズラすとか。ちょっと変なことをやるとか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
台本のセリフが終わってるけど、カットをかけない(笑)。「カットかかるまで、役者は役者だ!」とか言って。皆んなを必死にさせています。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

須賀:
一生懸命アドリブ入れたり。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

本広:
そうすると、また新たなキャラクターが出てきたりして。そういうおいしいところを褒めるんです。「今のアドリブ、グーだよ〜」って。