時が止まった「福島」を記録した写真展が開催|ART
LOUNGE / ART
2016年6月16日

時が止まった「福島」を記録した写真展が開催|ART

ART|福島第一原発事故の影響を記録

Retrace our Steps-ある日人々が消えた街

福島第一原発事故によって、無人地帯となった地域を記録した写真展「Retrace our Steps-ある日人々が消えた街」がシャネル・ネクサス・ホールにて開催。事故がもたらした終わりの見えない状況をリアルに伝える。

Text by WASEDA Kosaku(OPENERS)

ドキュメンタリーとアートの融合

東日本大震災を発端とした福島第一原発事故。放射能の影響で、立ち入り禁止区域が設定され、5年以上経過した今でも、ここの住人は自宅に帰ることが許されていない。

[caption id="attachment_1491086" align="alignnone" width="327"]© Carlos Ayesta + Guillaume Bression © Carlos Ayesta + Guillaume Bression[/caption]

この地域の様子を記録し続けた写真家たちがいる。ベネズエラ出身のカルロス・アイエスタと、フランス出身のギョーム・ブレッションだ。彼らは共同プロジェクトとして、事故直後から“no man’s land – 無人地帯”となってしまった地域に幾度となく足を運び、 撮影を試みた。その中で、この事故がもたらした終わりの見えない状況をリアルに伝えようと、 独自の方法で表現を重ね、ドキュメンタリーとアートを融合させた作品シリーズが誕生したという。

写真展「Retrace our Steps-ある日人々が消えた街」は、5つのシリーズで構成する。

「光影」
ある日80,000人が消えた街に残されたものとは

「悪夢」
無味無臭で目にも見えない放射線という脅威との共存

「不穏な自然」
時の経過とともに建物をも覆い尽くしていくもの

「パックショット」
現代のポンペイの遺物とでも言うべき取り残された品々

「回顧」
我が家に帰ることへの思い

二人の写真家たちにとって、 想像を超えた放射能の恐怖や無人化した村落、 自然の猛威等を写したドキュメンタリー写真の数々を展示する。

彼らの共同作業は2009年よりスタートし、多くの作品を世に送り出してきた。2011年、本展のもととなる、福島での原発事故を題材とした共同プロジェクトに着手。2015年、この作品群は第5回SOPHOT.comコンテストで表彰され、「Environmental Photographer of the Year(英国)」および「European Publishers Award for Photography」のファイナリストとして名を連ねている。

カルロス・アイエスタ
写真家。ベネズエラ・カラカス生まれ。 建築写真を専門分野としてパリを拠点に活躍。 2012年、 超高層ビルを命綱ひとつで外から撮影するプロジェクトを開始し注目を浴びる。 同年SFR Young Talented Awardを受賞。 パリ市役所で作品を展示する。

ギョーム・ブレッション
写真家。フランス・パリ生まれ。ドキュメンタリー撮影を専門とし、東京に拠点を置く。 2010年にエンジニアからカメラマンへと転身し、東日本大震災発生2か月前に東京に移住して新たな出発を遂げた。現在フォトグラファーとして数々のフランスの雑誌社や新聞社に写真を提供し、映像カメラマンとしてさまざまなテレビ局と仕事をしている。

Retrace our Steps – ある日人々が消えた街
会期|2016年6月24日(金)~7月24日(日) ※無休
時間|12:00~20:00
会場|シャネル・ネクサス・ホール
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング 4F
入場料|無料

問い合わせ先

シャネル・ネクサス・ホール事務局

03-3779-4001

www.chanel-ginza.com

           
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