ジャガーXEのディーゼルモデルに試乗|Jaguar
CAR / IMPRESSION
2016年4月22日

ジャガーXEのディーゼルモデルに試乗|Jaguar

Jaguar XE 20d|ジャガー XE 20d

ジャガーXEのディーゼルモデルに試乗

メルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」、アウディ「A4」など競合ひしめくDセグメントに、ジャガーが2014年に満を持して投入した「XE」。そのなかでも、つい先ごろ日本に上陸したばかりの、新世代ディーゼルエンジンを積んだモデルを小川フミオ氏が試した。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ARAKAWA Masayuki

重要装備は全モデル共通

新世代のジャガーセダンとして先陣を切ったのが、「XE」だ。軽量化ボディと、新開発の4気筒を含めたエンジンラインナップで、俊敏な操縦性と効率的な燃費を追求。いっぽう、居心地のいいキャビンと、さまざまな安全装備など、豊富な特徴を持つモデルとして注目されている。日本導入は2015年だが、2016年3月に、高効率の新世代4気筒ディーゼルエンジン搭載モデルのデリバリーが始まった。

ディーゼルエンジン搭載のラインナップは3車種。

XE 20d ピュア(497万円)
XE 20d プレスティッジ(535万円)
XE 20d Rスポーツ(595万円)

インジェニウムという、エンジンやエンジニアの語源になったラテン語にもとづくサブネームを与えられた新世代の4気筒ディーゼルエンジンは、上記3車種で共用。1,999ccの排気量から、180馬力(132kW)の最高出力と、430Nmの最大トルクを発生する。ガソリンエンジンとブロックなどは共用しつつ、ボッシュ製のコモンレール式燃料噴射システムなど、最新の制御技術を搭載することで、パワーと燃費の両立をはかったのが特徴だ。

Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ

Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ

8段オートマチック変速機が組み合わされ、後輪が駆動される方式は、上記3モデルに共通だ。自動緊急ブレーキ、トルク ベクタリング バイ ブレーキ、アダプティブ クルーズ コントロール、車線逸脱警報システム、ジャガー ドライブ コントロール、タッチスクリーン式7インチDVD式ナビゲーションシステムなども標準装備される。重要な装備はモデルで差をつけないのが、日本におけるジャガーのポリシーなのだと、日本法人のジャガー・ランドローバージャパンでは話している。

「ピュア」はホイール径が17インチ、シート表地がクロース、ダッシュボードのフィニッシャーがグロスブラック(のみ)となる。「プレスティッジ」は、意匠が変わった17インチホイール、レザーシート、フロアマット標準装備、グロスブラックとブラシ仕上げのアルミニウムの組み合わせによるダッシュボードのフィニッシュだ。スポーツサスペンションがオプションで選べるようになっている。

今回試乗した「Rスポーツ」は、18インチホイール、パーフォレーテッドレザーによるスポーツシート、エッチング仕上げのアルミニウムとグロスブラックによるダッシュボードのフィニッシュ、スポーツサスペンションなどが標準装備だ。

ジャガーXE 20d Rスポーツは、すばらしくスポーティで、楽しいモデルだった。

Jaguar XE 20d|ジャガー XE 20d

ジャガーXEのディーゼルモデルに試乗 (2)

乗ると魅力にとりつかれる

ジャガー「XE 20d Rスポーツ」は、ディーゼルエンジン搭載のラインナップにあっては、トップの位置づけ。スポーツラインなので、「ピュア」や「プレスティッジ」とはやや方向性が違うとみることも出来るが、そもそもXEじたいが、スポーツサルーンを標榜しているので、キャラクターを最大限活かしたモデルといえる。実際、このクルマに乗ったところ、XEの魅力にとりつかれてしまった。

インジェニウム ディーゼルユニットは、同時に導入されたジャガー「XF」と同様、回転数を上げてというより、太い低回転域のトルクでもって加速性を得ていく。燃費効率も重視したダウンスピーティングの思想に基づいて開発されたものだという。数値をみても、430Nmと2リッターとは思えない大トルクが、1,750rpmから2,500rpmの間で得られることがわかる。

Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ

Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ

体験しての印象は、洗練性に感心した。そもそも室内にディーゼルエンジン特有のノッキング音がほとんど聞こえてこない。さらに走り出しのスムーズさはガソリンエンジンなみだ。ごく低回転域のトルクの太さはディーゼルエンジンならではだろうが、そこから加速を反応のいいターボチャージャーが引き継ぎ、さらに力を出していく。そのつなぎかたが上手で、加速していく時も、これがディーゼル?と思わせるほどのスムーズさなのだ。

昨今のディーゼルエンジンの中では、デンソーの制御技術をうまく採り入れたボルボの4気筒が出色だが、XEを体験すると、ジャガーもけっして負けていないと感じる。実際、海外で、従来から使っているディーゼルV6と比較試乗したことがあるけれど、インジェニム ディーゼルはなめらかな回転マナーや静粛性など洗練性において上をいっていた。燃費はリッターあたり17.1km(JC08モード)と発表されているが、伊勢志摩の山道をいいペースで走ってもそれに近い数値が出ていた。これにも感心させられた次第だ。

Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ

スポーツサスペンションは、ステアリングが正確で、ボディの反応がよいというメリットをもたしてくれるいっぽう、乗り心地に悪影響は感じられなかった。ダンパーは細かく動き、ていねいに路面の凹凸を吸収しつつ、スプリングは意外なほど快適な乗り心地を提供してくれる。上質な乗り味で、ドイツ製のライバルと互角の勝負である。シフトタイミングの制御などで燃費モードも設定されているジャガー ドライブ コントロールで「スポーツ」を選択すると、Rスポーツの真価が発揮される。独特の雰囲気ある内装とともに、他では得がたいキャラクターが光る。

装備的にもジャガーXEには魅力が豊富だ。

Jaguar XE 20d|ジャガー XE 20d

ジャガーXEのディーゼルモデルに試乗 (3)

イギリス車らしいバリエーションの豊富さ

いま、ことに高級車のマーケットでは、ドイツ車とイギリス車が競っている感がある。ドイツ車はブラック一色のなかで上質感を出すという伝統が基調になっているのに対して、イギリス車は華やかな世界を作るのが上手だ。ジャガーXEも例外でない。イギリス車の魅力を堪能させてくれる。

ここで試乗しているディーゼルモデルを含めてだが、XEのよさは選択肢が豊富なところにある。車体色は18色用意されていることがひとつ。エンジンのバリエーションも豊かだ。ディーゼルに加え、2リッター4気筒ガソリン、3リッターV型6気筒ガソリンと、走りの違いが楽しめるようになっている。トリムなど装備の面でも、たとえば20dだけでも3車種が用意されているのも感心する点だ。

Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ

Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ

試乗したXE 20d Rデザインは、視覚的にも気分が浮き立つ仕様だった。これも特筆点。ブラックとレッドという2トーンのカラースキームによるシートはこのモデルのキャラクターを際立たせるものだ。ダッシュボードにもシートと同様レッドのパラレルステッチが施されている。9時15分の位置で握ったとき、親指がひっかかるようなスポーツデザインのステアリングホイールも、このクルマのドライバーには喜ばしい装備だろう。

エンジンをかけると、円筒形のギアセレクターがせり上がってくる仕掛けは、ジャガーならでは。生命をもつクルマということをジャガーカーズは折りに触れて強調するが、そのコンセプトに即した“演出”なのだ。耳に心地よい乾いた排気音を聞かせる音による演出、赤など照明を使って気分を盛り上げてくれる光による演出、そしてしっとりした革による感触による演出。もちろん機能としても考えられているわけだが、乗員をいろいろな点で楽しませてくれるのだ。

ジャガーXE 20dは、どこに行こうが、すばらしいパートナーになってくれるはずだ。好みの仕様で仕立てれば、離れられなくなりそうだ。

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Jaguar XE 20d R Sport|ジャガー XE 20d Rスポーツ
ボディサイズ|全長 4,680 × 全幅 1,850 × 全高 1,415 mm
ホイールベース|2,835 mm
車両重量|1,660 kg
エンジン|1,999 cc 直列4気筒ターボ ディーゼル
最高出力|132 kW(180 ps)/4,000 rpm
最大トルク|430 Nm/1,750-2,500 rpm
トランスミッション|8段オートマチック
駆動方式|FR
0-100km/h加速|7.8 秒
最高速度|228 km/h
燃費(JC08モード)|17.1 km/ℓ
CO2排出量|109-111 g/km
タイヤ|325/55R22
価格|549 万円

問い合わせ先

ジャガーコール

0120-050-689(9:00-18:00、土・日・祝除く)

           
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