先進技術が示す、日産のミライノクルマ 前編|Nissan

先進技術が示す、日産のミライノクルマ 前編|Nissan

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急速に進化する電気自動車

先進技術が示す、日産のミライノクルマ 前編

東京モーターショーで自動運転の電気自動車「IDSコンセプト」を出展し、注目を集めた日産自動車。すでに「リーフ」をもってEVを普遍的な自動車としつつある彼らは、この先のクルマをどう考えているのか。日産の先進技術開発センター(NATC)を訪れた大谷達也氏が、紹介された最先端技術をもとに、彼らが見据える“未来のクルマ”についてリポート。前篇はおもに電気自動車とその取り巻く環境について。

Text by OTANI Tatsuya

実用的な航続距離も時間の問題

ニッサンのビジョンは明快だ。未来の自動車に求められるのは“ゼロエミッション”と“死亡事故ゼロ”のふたつに集約でき、これを実現するには自動車の“電動化”とさらなる“知能化”が必要になると捉えているのだ。もう少しわかりやすくいえば、電動化とは電気自動車の発達であり、知能化とは自動運転の実用化にあるとなるだろう。

電気自動車でネックになっているのは、1回の充電で走行できる航続距離が不十分と見なされていることと、充電に手間と時間がかかることにある。

航続距離を伸ばすにはバッテリーの容量を増やすのがもっとも近道。もちろんニッサンもこれには取り組んでいて、現在のリーフ(バッテリー容量は24-30kWh)のおよそ2倍に相当する60kWhのバッテリーパックを開発し、今回の技術イベントでも展示していた。もしもバッテリー容量の増加に伴う重量増が極端に大きくなければ、リーフの航続距離280km(30kWh)を大幅に凌ぐ400km台の実現はもちろんのこと、場合によっては500km台にも手が届くかもしれない。

Nissan Advanced RandD EV|日産 アドバンスドランドD 電気自動車

60kWhのバッテリー

Nissan Advanced RandD EV|日産 アドバンスドランドD 電気自動車

60kWh向けに開発された薄型のバッテリーセル

そうなれば、電気自動車の航続距離は実用上、まったく問題ないレベルに到達したと見なされるはず。しかも、このバッテリーは数年程度で実用されると見込まれているのだ。となると、価格の問題はあるにせよ、電気自動車が爆発的に普及する時代はそれほど遠い将来ではなくなるかもしれない。

もうひとつ、バッテリーの容量が増えることのメリットは、充電時間の短縮に結び付く点にある。もちろん、これまでと同じペースで充電するのであれば、満充電までに要する時間は容量の大きいバッテリーのほうが長くなる。ただし、バッテリー容量が大きくなると短時間でより多くの電力を受け入れやすくなり、これが一定の距離を走行するのに必要になる充電時間の短縮に結び付く。つまり、おなじ100kmを走るのに必要な電力を充電するなら、30kWhよりも60kWhのほうが充電時間は短くなるのだ。

これは、バッテリーを細口のビン、電力を水にたとえるとわかりやすくなる。いくらたくさん水があっても、ビンの口が細くては速く水をつぎ足すのは難しい。けれども、おなじ細口でもビンの数を増やせば、トータルで見たときに水をつぎ足せるスピードは速くなる。バッテリーを増やすと、これと同じことが起こる。だから、充電時間の短縮に役立つのだ。