モエ・エ・シャンドン醸造最高責任者、ブノワ・ゴエズ氏インタビュー|MOËT & CHANDON

MOËT & CHANDON|モエ・エ・シャンドン醸造最高責任者が語る、グラン ヴィンテージ ロゼという名の奇跡

LOUNGE INTERVIEW

MOËT & CHANDON|モエ・エ・シャンドン

醸造最高責任者、ブノワ・ゴエズ氏インタビュー

グラン ヴィンテージ ロゼという名の奇跡(1)

モエ・エ・シャンドンの醸造最高責任者を務めるブノワ・ゴエズ氏。その彼が「今日の会はちょっと特別です」と切りだしてはじまったランチ会。いかにも、この日用意されたのは「1985」と「1999」、そして「2006」という3つのグラン ヴィンテージ ロゼ。ロゼときて、グラン ヴィンテージときて、さらに年代物となると、かなり希少価値が高くなる。夏の昼下がり、最新作の「2006」がグラスに注がれると、特別なひとときが幕を開けた。

Text by TANAKA Junko (OPENERS)

シャンパーニュ界の王者を支えるもの

1743年に創業したモエ・エ・シャンドン。ゴエズ氏が「三代目にはおそらく先見の明があったのでしょう」というように、創業者の孫であるジャン・レミー・モエは、シャンパーニュを世界に広めるという偉業を成し遂げた。彼の尽力によって、地元の人が楽しむ程度だった“地酒”が、フランスからヨーロッパ、世界へと瞬く間に広まっていったのだ。

それから数世紀。モエ・エ・シャンドンはいまや、シャンパーニュの最王手メゾンとして君臨している。驚くのはブリュットからロゼ、ノンヴィンテージからヴィンテージまで、どのカテゴリーにおいても圧倒的なシェアを誇っていること。その理由をゴエズ氏は次のように分析する。

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もぎたてのブドウをおもわせるフレッシュな味わいが魅力の「2006」。この日は季節のフルーツを使った冷菜「帆立貝と甘海老のセビーチェ ライム風味 ザクロとラズベリーのドレッシング」とペアリング。口のなかいっぱいに果実味が弾けた

「ひとつには、豊富な資源があげられるとおもいます。とくに畑においてはそうですね。自社畑だけで約1200ヘクタール。全国のプルミエクリュ(一級畑)の4分の1がうちの所有ですし、グランクリュ(一級畑よりさらに格上の特級畑)も相当の面積を所有しています。これがシャンパーニュのクオリティを維持し、進化させるために欠かせないのです。なぜか?

自社畑がこれだけ多いと、収穫するブドウにも幅がでてきます。ワインの味というのは、当然ブドウのできに左右されますから、手もちのカードが多ければ多いほど、より質の高いシャンパーニュをつくれる可能性が高くなる。逆にブドウの分母に多彩性がないと、どうしても味わいにバラツキが出てしまう。この多彩な分母よって、ノンヴィンテージにおいては、一貫した味わいを再現できますし、ヴィンテージにおいては、より研ぎ澄まされた味わいのシャンパーニュを追求することができるというわけです」

気候が変わりやすいことで知られるシャンパーニュ地方では、毎年ブドウの質が変動するため、ブレンドしてシャンパーニュをつくるというのがお約束だ。異なる収穫年、異なる村、異なる畑で採れたブドウをブレンドしていく。これがもっとも主流なノンヴィンテージ。モエ・エ・シャンドンの場合、「モエ アンペリアル」がそれに当たる。

いっぽう、イレギュラー的なのが、単一年のブドウだけでつくるヴィンテージ。とりわけブドウのできがよかった年にのみつくるグラン ヴィンテージは、醸造最高責任者であるゴエズ氏の指揮のもと、独自の比率でアサンブラージュをおこなうことで、その年のブドウの魅力を惜しみなく表現。7年以上にわたって熟成させ、その味わいがもっとも魅力的になるときを待ってリリースされる特別なシャンパーニュである。

モエ・エ・シャンドンが創業されて270年以上。その長い歴史のなかでリリースされた白のグラン ヴィンテージは71本。ロゼにいたってはわずか40本。この数字を見れば、どれほど希少な存在であるかがおわかりいただけるだろう。では、白とロゼの本数にこれだけ開きがあるのはなぜか? 次ページでは、この謎を紐解いていくことにしよう。

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モエ・エ・シャンドン醸造最高責任者のブノワ・ゴエズ氏

白よりロゼの本数が少ないワケ