「北斎漫画」世界一のコレクター浦上満が語る、天才・北斎と江戸時代|MITSUKOSHI

MITSUKOSHI|「北斎漫画」世界一のコレクター浦上満が語る、天才・北斎と江戸時代

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MITSUKOSHI|日本橋三越本店

日本橋三越本店で8月12日(水)より『北斎漫画の世界へようこそ』開催!

「北斎漫画」世界一のコレクターが語る、北斎と江戸時代(1)

この夏、日本橋三越本店は「北斎漫画」をフィーチャー。8月12日(水)より本館1階中央ホールで開催される『北斎漫画の世界へようこそ』では、北斎漫画の展示・販売と、木工や畳職人のワークショップなど江戸の町風情を再現する。江戸時代の天才絵師・葛飾北斎が「気の向くままに漫然と描いた絵」といえる、全15編・約4000図から成り立つ「北斎漫画」の世界一のコレクターである、東洋古美術の専門美術商「浦上蒼穹堂」の浦上満氏にその魅力をうかがった。

Photographs by SUZUKI Shimpei (INTERVIEW)Text by KAJII Makoto (OPENERS)

「北斎漫画」との出合い

東京・日本橋にある「浦上蒼穹堂」の浦上満氏は、現在約1500冊の「北斎漫画」を収集し、専門家のあいだでは質・量ともに世界一のコレクターといわれている。今回の展示販売会『北斎漫画の世界へようこそ』では、北斎漫画の展示・販売に協力。希少な初摺(しょずり)を中心にコンディションのよいものを選りすぐり、約100点を額装して販売する。

「北斎漫画とはじめて出合ったのは18歳、大学1年生のとき。父親が浮世絵のコレクターで、いっしょに出かけた古美術店ではじめて『北斎漫画』を見て、父からも勧められて、当時数万円で手に入れました。まさに衝動買いでしたが、以来45年間、国内外のオークションやコレクターからオリジナルを集め、買いつづけています」

日本橋三越本店|北斎漫画
日本橋三越本店|北斎漫画

江戸時代の版画の“初摺”の魅力

「ご存知のように葛飾北斎が生きていた時代の木版画は、絵師、彫(ほり)師、摺(すり)師の3人の共同作業で、初摺がだいたい200枚ほど。その後、売れる絵では数千枚刷るんですが、木版なのでだんだん原板が摩耗して、線や色が鈍くなっていきます。紙も最初は厚いものを使いますが、薄くなっていく。初摺は線が生きていて、力があって、色もとても美しい。刷りが早くて、保存状態がよいものを求めつづけて気がついたら1500冊にもなりました」

21世紀を迎えるにあたり、1998年にアメリカの『LIFE(ライフ)』誌が企画した「この1000年間に偉大な業績を残した世界の人物100人」で、日本人でただひとり選ばれたのが葛飾北斎(ちなみに1位はトーマス・エジソン)。北斎が世界に認められる契機になったのは、「北斎漫画」がフランス印象派の画家や文化人たちに大きな影響をあたえたからにほかならない。マネは北斎漫画を模写し、モネは“北斎の忠実なライバル”と評されるほど北斎に強い関心をもっていて、北斎漫画も収集していた。ドガは人体の動きを北斎漫画から学んだという。

北斎漫画のいちばんの魅力とは

「葛飾北斎はいろいろな作品を発表していますが、北斎漫画には北斎の全てのエッセンスが含まれています。集めはじめたころは、描かれているたくさんの江戸庶民を見ていて、『いまでもこんなおじさんやおばさん、いるよね』ととても親近感が湧いて、見ていて飽きるどころか魅力がぐんぐん増していきました。民衆そのものが主役で、犬や猫、昆虫、魚、カエルまで個性的に描かれ、カッパや妖怪まで出てくる。まさに、江戸時代の森羅万象が丁寧に描かれた“江戸時代の百科全書”で、大名から庶民まで見て楽しんでいたのが伝わってきます」

日本橋三越本店|北斎漫画
日本橋三越本店|北斎漫画

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